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オヤジも若者も盛り上がる、酒場の鉄板曲 実戦主義選曲録 其の十六

(2017.10.05)

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野外選曲家・河合桂馬の実戦主義選曲録 其の十六
初恋/美吉田月

 188日間、酒を一滴も飲まなかった。人生で初めて断酒したのだ。
 みんな同じだと思うけど、二日酔いで目覚めると「もう酒辞めよう」と軽々しい決意をし、その夜には飲んでるっていうパターンでしょ?!
 でも去年の12月24日は違ったのだ。前日に恵比寿のとあるクラブでDJをして、そこでしこたまテキーラのショットを飲み続けたのがいけなかった…富士そばのトイレまでは記憶があるんだけど、そのあとはなんとか帰巣本能で家に帰った様子。朝目覚めると案の定二日酔い。まあいつものことだから夕方ぐらいには復活するだろうと思いながら、トイレと布団を何度も行き来していた。18時になってもまだ吐き気がおさまらない。20時なってもまだトイレにこもっている。

「俺はいつまでこんなことを続けるんだ」と便器に顔を突っ込みながら苦悩していると、「この先こんなんじゃお前のカラダもたねぇぞ」と、すっかりマブダチになった便器くんが語りかけるかのようであった。
 
 結局その日1日潰してしまった。そこで僕は自宅トイレで決心したのだ。「今回はほんとに酒辞めよう」と。

 それからというもの、忘年会、新年会、GW、野外フェス、クラブイベント、パーティーなどなど、あらゆる酒のシチュエーションをジンジャーエールで乗り越えていった。すると人間不思議なもので、酒なしでも十分楽しめるように適応していくものなのだ。

「なんだ、もうこのまま酒なしでも生きていけそうだな」と思っていた矢先、事件はおきたのだ。

 7月1日、JR北陸新幹線飯山駅前ターミナルのこけら落としイベントでDJをするために長野県飯山市に来ていた。イベント開始直後、まずは市長の挨拶から。そしてその後市長と、飯山市の僕の友達と、何故か自分も一緒に3人で鏡開きをすることに。
「この展開はまずいなぁ…」と思ったのもつかの間、「どうぞ!」と地酒がなみなみとつがれた枡が3人に手渡された。みんなが見ているこのステージ上で、なんと断るのがベストなのか…・
 頭をフル回転させていると「今日車で来てるから…」と市長が断った!!
 ナァ〜〜〜イス市長さん!!!
 それに便乗して「僕もちょっと…」
 何がちょっとなのかまったく意味不明だったが、その緊急事態は事なきをえた。
 その後のDJもおかげさまで盛況でイベント終了。
 その場で友人から、7月21日にまたここでビアガーデンイベントがあるから、そこで「立ち呑み桂馬」をやって欲しいとオファーをもらった。「立ち呑み桂馬」とは、僕が色々な場所で不定期に開催しているイベントで、簡単にいうと河合桂馬と一緒にただ呑んで、河合桂馬が昭和歌謡DJをする企画(笑)。せっかく依頼してくれたからこれを引き受けた。しかし、断酒して以来「立ち呑み桂馬」は封印していた。だって、河合桂馬と呑む企画なのに、本人が呑まないんじゃ意味ないじゃん。

 ということで、「俺はこのまま断酒するべきなのか?」帰りの新幹線でものすごく悩んだ。鏡開きのくだりも、市長さんが先に断ってくれたからいいものの、それがなかったらおそらく飲酒は免れなかったし、せっかく「立ち呑み桂馬」やるのなら呑まないとやっぱり盛り上がらない。それ以前にも、地方のイベントへDJしに行くと、地元の酒蔵さんから「桂馬さんこの地酒飲んでください!」とか、DJ中にお客さんがビールを持って来てくれたりという好意をお断りしてしまう事が何度もあったのだ。その度に、せっかくの好意を受けられなくて申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
 そして7月中に弟の結婚式を控えていたこともあって、新幹線が東京駅に着く直前、「飲めるんだから、飲めばいいか、適量を」という結論を下した。

 その翌日7月2日、188日ぶりにビールを飲んだ。恐る恐る口をつけたが、意外と以前と何も変わらなかった。
 7月21日、飯山での初野外「立ち呑み桂馬」。みんなとビールで乾杯しながら、この曲をかけた

初恋/美吉田月

 村下孝蔵氏の名曲のカバー。ビアガーデンのように年齢層が幅広い現場ではこの曲は鉄板です。おじさんたちは当時の青春時代を思い出しながら熱唱。原曲を知らない若者たちも、スカアレンジなのでテンション上がる。おじさんと若者の一体感が生まれ、乾杯!!!
 やっぱお酒はいいね。そう言いながら、もちろん適量では済まないのであった。

PS;
次回10月28日に、飯山駅前ターミナルにて「立ち呑み桂馬」開催しますので、ぜひ一緒に乾杯しましょー!!

文=河合桂馬 http://keimakawai.com/

 
 
ライター
A kimama編集部
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