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<老舗山専さかいやスポーツ>8月に売れた夏山小物7選!

2016.09.16 Fri

東京・神田に店を構えて60年。
多様なブランド展開と取り扱い数に定評のある
「さかいやスポーツ」の高橋典孝さんに
夏山ハイシーズンの8月に売れた
「夏山小物」を教えていただきました!

 先月ご紹介した「7月に売れた縦走向けバックパック」でも書いた通り、今シーズンはアルプスデビューをめざす大勢の方にお越しいただきました。

 雪が少なく、例年より長く夏山が楽しめたからでしょうか。大定番のベストセラーやニューモデルを中心に、道具を新しく買い換える方も多くいらっしゃいました。

 そんななかで、いつもは売れないのに、山の状況を反映して爆発的に売れたアイテムや、業界の誰にも気づかれずに、ひっそりと売れまくっているダークホース的アイテムも……。

 それでは、8月に売れた山小物のご紹介です!

 
■ヘッドライト
ブラックダイヤモンド/スポット
¥5,000+税 88g


日帰り、テント泊、山小屋泊のどの登山でも欠かせないのがヘッドライト。LEDの登場に沸いたのもいまや昔。現代ではヘッドライトはLEDが当たり前になりました。しかも性能、価格ともに驚くほど進化しています。その代表格ともいえるのが、この春夏シーズンにモデルチェンジしたブラックダイヤモンドのスポット。全光束200ルーメンと十分すぎる照度をもちながら、その価格はなんと¥5,000+税!! これは安い! おまけにIPX8(これの説明をすると長くなるので、山中の雨に継続的に耐えられるぐらい、と申しておきましょうか)の防水性能をもちつつ、重さはわずか88g! 88gなら常にザックに入れておいても気になりません。売り場の私たちも驚きを隠せない急進化です。今期、LEDヘッドライトはブラックダイヤモンド以外にもペツルやマイルストーンなど各社がさまざまなモデルをラインアップしています。登山用としてはもちろん、災害時の備えとして購入されるかたも目に付くようになりました。ヘッドライトを新調するなら今がおすすめ。BDスポットは大注目株です!

■ガスストーブ
プリムス/P-153
¥9,000+税 116g


いうまでもなく、山ご飯の調理器具の主役はガスストーブ。現在日本で販売されているものであれば、どのモデルも用途に応じた性能がはっきりしていて、甲乙つけがたい、というのが本音です。しかし、そんななかでも安定した人気を誇るのはプリムスのP-153。全メーカーの全モデルを通じて、プリムスP-153はきわだってよく売れています。その秘密はP153の汎用性にあると思います。軽量化志向の方やソロキャンパーは、より軽量でコンパクトなプリムスのP115Fを選ぶ場合が多いのですが、2人以上で調理をするときや気合の入った山ご飯を調理するときには、P115Fの2,100kcalではちょっと火力不足。大き目のクッカーを使うときにも、P115Fの3本ゴトクでは安定感に欠けます。そんな状況も考えれば、59g重くなっても4本ゴトクで3,600kcal、コンパクト性能にも優れたP-153がよく売れるのは納得です。いやー、お客様たちが吟味して商品を選ばれているのがよくわかるチョイスですね。

■クッカー
EPI/TS201 ATSチタンクッカー TYPE-3M
¥5,900+税 総重量175g


ストーブの売れ行きNo.1がプリムスなら、やはりクッカーもプリムス……かと思いきや、みなさま、EPIをチョイスされています。とっても売れているんです、このクッカー。なんといっても容量が絶妙。ラーメンなど麺ものや鍋物でも余裕でつくれる900ccの内容量をもちながら、チタン製のため175gと超軽量。おまけに230ガス缶がぴたっとスタッキングできる直径。これは便利です! これで、熱伝導率の悪いチタンクッカーの宿命である焦げつきさえクリアできればねぇ……って、なんとこのクッカーその弱点もクリアできてる!! このモデルの「ATS」は「Aluminum Thermal Spraying」の略。チタンのなべ底に特殊技術でアルミが吹き付けてあるんです。これによって全体的に熱が伝わりやすくなり、料理の焦げつきも低減。おまけに底面がザラザラするからゴトクから滑り落ちにくいというおまけもついた。本当によくできたクッカーです。よく売れるのも納得です。

■携帯浄水器
ソーヤー/ソーヤー ミニ
¥4,000+税 フィルター本体:約55g


病原菌などを99.9999%除去できる、中空糸膜を使った携帯型浄水器は数あれど、多様な使用方法とコンパクト性能ではこの ソーヤー ミニ がきわだっています! 特徴は使用法の幅広さ。直接ストローで吸うもよし、ペットボトルにセットして飲むもよし、プラティパスにセットして山行に必要な量の水を浄水するもよし。1つ持っているだけで危機的状況から身を守ってくれそうな安心感がこの小さなシステムに詰まっています。おまけに付属の注射器で逆洗すれば、フィルターの清掃だってできちゃう。本当に便利だし、登山で使わないときは災害時の備えにもなる。この価格をだしても損はありません! 最近は以前に比べて多くの登山者、ハイカーたちが自分で自分の身を守る術を身につけているな~と、感じます。こちらもよく売れるのが納得の商品です。

■熊よけスプレー
カウンターアソールト/ CA230
¥9,980+税 320g


10%唐辛子エキスを主成分とするこのスプレーは、その刺激と痛みでクマを追い払います。毎年、ポツリポツリと売れるアイテムですが、クマの被害が多かった今年は例年にない売れ行きに。一度は類似商品も含めて在庫が払底しました(今は再入荷しています!)。動物たちが住む山の中に足を踏み入れるわけですから、こちらのほうがお客様。ばったりでくわさないように注意したいものですが、それでもときには接近戦になることもあるでしょう。そんなときの最後の手がこのスプレー。人のためにもクマのためにも、できれば使わずに済ませたいアイテムですが、今年はドングリが不作の山域もある模様。夏山に引き続き、遭遇の増える秋山でも注意が必要かもしれません。

■速乾タオル
ハイマウント/ウルトラライトタオル
¥1,300+税 27g


肌触りがよく伸縮性に優れた軽量速乾タオル。もちろん抗菌・防臭加工済みです。これの何がいいって、速乾タオルにありそうでなかったスポーツタオル型(100cm×20cm)なんです。そう、首にかけて使えるあのサイズ! やっぱりこのスタイルがしっくりくるんだよな~なんて思うのは私だけではないようで、入荷するたびに売れて行く隠れた人気アイテムです。

■サコッシュ
ライペン×さかいやスポーツ/オリジナルサコッシュ
¥1,100+税


さかいやオリジナルカラーバージョンのサコッシュ。¥1,100+税と安価なため、多くのお客様に喜ばれています。山好きならビビッとくるであろうこのカラー。そう、こちらのサコッシュはライペンのテントと同じ生地を使って作られたもの。よく見れば生地だけでなく、ループや自在もテントと共通! テントと合わせて、コーディネートを楽しまれる方も多いようです。私はサコッシュをまったく使わないのですが、みんながこぞって使っているのを見ると、何かと便利なんだろうな~と心が揺らいでしまう1品です(笑)。

■総評
 G.Wからひっきりなしにお客様にお越しただいた今年の夏山シーズン。雪解けが早く、長く楽しめたこともありますが、「山の日」と「サバイバル意識の高まり」も購買意欲を強く後押ししていたと思います。

 山の日はスタートに合わせてテレビなどのメディアで連呼されたり、身近なところではスーパーなどでもアピールされていました。

 日常的に見聞きすることで山へと意識が向き、背中を押されるようにしてお客様が訪れたのかもしれません。

 バックパックなどの大物をエイヤ! と購入される方に加えて、「なんだかちょっと山のものを買いたい」という雰囲気でいらっしゃる方も多かったように思います。

 上で紹介したタオルは隠れた名品ですが、手頃な価格の便利アイテムが爆発的に売れたのは、みなさんの山への気持ちがくぐすられたことも影響していたのではないでしょうか。

 そして、3.11から続いている自然災害。熊本地震や風水害などが防災意識を高めたのでしょう。ストーブや浄水器などの小物は、山だけではなく、災害時にも使いやすい物が動いていました。

 ストーブや浄水器、ヘッドライトなどは、「いざというとき信頼のおけるものを」と、登山者ではないお客様にもお求めいただいています。

「身を守る道具を用意する」という流れは、街、山を問わずこれからも続いていきそうな気がしています。

「いやー! やっぱりいいですよね、夏山!」

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