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ついに出た! パタゴニア史上初、あの〝山の必需品〟の「日米共同開発モデル」がリリース!

2017.03.17 Fri

 本格的な春を目前に、先日パタゴニア史上初となる「日米共同開発モデル」がリリースされました。

 その名も「クラウド・リッジ・ジャケット&パンツ」!

 モデル名にCloudと付くことからすでにお気づきの方もいるかもしれませんが、製品カテゴリは「レインウェア」。2014年の発案から完成まで要した時間は3年間に及びましたが、開発の多くの部分は米国ではなくパタゴニア日本支社の主導だったそうです。

 そこには大きな理由がありました。それは……

雨が多く、高温多湿な日本の夏山登山に適したパタゴニアの雨具が欲しい

 という、日本で活躍するパタゴニアのアンバサダーたちの強い強いリクエストがあったから。

 じめじめと湿度の高い山歩きで、ときにアンバサダーたちがガイドとして接するお客さんに、日本の山向けに作られた他社製品を勧めるほかないといった葛藤もあったようです。それほど、乾いた海外のフィールド向けモデルと、湿気から切っても切り離せない日本の山向けモデルとでは、機能や快適性に大きな隔たりがありました。
登山好きなら、多湿な環境下で山を登ることになった経験は一度や二度ではないはず。涼しければまだよいが、これが25度を超えるような日は、まさに蒸れや汗とのガマン比べだ。写真=JEFF JOHNSON
「湿度の高い状況下でトレッキングやクライミングをする地域は、アメリカの太平洋岸北西部やニューイングランドなど日本以外にもあり、多湿でもベタベタしないレインウェアの必要性は本社も強く感じつつありました。そこに日本からの強いリクエストが加わったことが大きな後押しとなって、本プロジェクトが動き出したんです」

 とは、パタゴニア日本支社のマーチャンダイジング部(商品部)の片桐星彦さん。

 日本独自のレインウェアの必要性を訴えたクライミングアンバサダーの花谷泰広さんを中心に、谷口けいさん、加藤直之さん、横山勝丘さん、今井健司さんという5人のアンバサダーが開発スタッフとなり、日本支社主導で開発が進んでいきました。
素材のラボテストや工場とのデベロップメント作業以外はすべて国内で行われ、必要とされる機能や実際のデザイン、使用する生地の選択などのフィードバックセッションが、アンバサダーの活動拠点の山梨県で何度もおこなわれた。右写真=JEFF JOHNSON
 さて、「クラウド・リッジ・ジャケット&パンツ」の主な開発コンセプトは以下。

■多湿な状況下でもベタつくことのない素材であること
■風や悪天候への耐性が高いこと
■汎用性が高くシンプルなデザインであること
■生地のリサイクルができ、環境負荷が少ない製品であること

 そうして完成したのが、この製品です。

左)メンズ・クラウド・リッジ・ジャケット¥30,000、メンズ・クラウド・リッジ・パンツ¥19,000 右)ウィメンズ・クラウド・リッジ・ジャケット ¥30,000、ウィメンズ・クラウド・リッジ・パンツ ¥19,000(すべて税抜き)
 まさにシンプル!

 素材は日本の繊維メーカー「テイジン」とタッグを組みました。

「『湿ってベタつく』という状況をなくすため、もっとも重要なのは素材選びでした。2.5層構造と比べて肌触りがよく、吸湿発散性の高い3層構造にすることはすぐに決まりましたが、採用する素材は水分を防ぐための防水性はもちろん、湿気に対応する透湿性に優れていなくてはならないし、山での使用のための耐久性も要求されます。日本の夏山登山に適した雨具の実現にはそれらのバランスの取れた生地が必要になります」(片桐さん)

 そうしてパタゴニアの厳しいテストをクリアし、完成したのが3層構造の「H2Noパフォーマンス・スタンダード」採用の生地でした。

 軽量で柔らかく、防水性はもちろん高い透湿性、耐久性を備えているもよう。裏地には肌触りが気持ちいいポリエステル・ワープニットを使用し、汗など身体の水分をスムーズに吸い上げメンブレンを通して外へ蒸気として拡散。テイジンの循環型リサイクルシステム「エコサークル」で何度でも生地をリサイクルできるという点でも開発時の目標を達成しています。

 では〝言い出しっぺ〟の花谷さんの感想はいかがだったのでしょうか?
「この製品の開発は、ハイエンド製品と考え方はなにも変わりません。どんな状況でも安心して使える耐久性を備えています。必要な機能にこだわってシンプル仕上げ、防水/透湿/撥水性についてもフィールドテストを通して大変満足しています」

 と、上々のコメント。

 さらに 「ジャケットは、ヘルメットに対応したフードで、穂高や立山剣など、ヘルメットを使用することが多い日本のフィールドに対応できるようにしました。防水ジッパーやベンチレーション兼用ポケットなど、雨天や快適さにもこだわっています。そして、とくにパンツはこだわって作りました。サイドジッパーはブーツを履いたままパンツを脱ぎ着でき、ダブルジッパーでベンチレーション効果も得ることができます。なかでも膝の立体裁断は、大きく足上げを行うときにも動きに追従して突っ張らず、行動しやすいようにデザインされています」

 つまり、濡れず蒸れず、岩場歩きも足上げもスムーズ。満を持してパタゴニアが打ち出した「日本の登山向けレインウェア」というわけです。

 実際の着用感や、蒸れにくさ、動きやすさ、細部の形状は大いに気になるところ。後日Akimamaではこの新レインウェアを実際に山で着用し、レポートを予定しています。請うご期待!
 

詳細はこちらから▶
パタゴニア・クラウド・リッジ」公式ページ

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雨のために作られたウェア:パタゴニア・クラウド・リッジ
花谷泰広さんが語る誕生秘話、パタゴニア本社スタッフの製品解説など。映像もとても美しく必見です。

 
 

 

 

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