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雨と湿度大国・日本から生まれたレインウェア。パタゴニアの「クラウド・リッジ・ジャケット&パンツ」を使ってみた

(2017.06.12)

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 また今年も憂鬱な季節がやってきてしまった。ウェアや道具をしんなりとさせ、髪型もビシッと決まらず、気持ちまでじっとりとしてきてしまうあの季節、そう梅雨の到来である。

 近年は天気予報の精度が上がり、分刻みのピンポイント予報なんてものまであるせいで、天気が崩れる予報の日には山小屋宿泊者のキャンセルが相次ぐのだそう。かく言う私も、ピンポイント予報をマメにチェックしては、「ちょっと降りそうだから今週はやめとこうかな」と山から足が遠のきがちだ。そんなことを言っているうちに、先週も今週も山に行けなかったなあ……。

 とはいえ、夏休みには雨は避けられないであろう長期の縦走計画も控え、雨でも山に足を運びたくなるレインウェアの確保は急務である。

 そこで白羽の矢を立てたのが、今年パタゴニアからリリースされた新作レインウェア「クラウド・リッジ・ジャケット&パンツ」。なんでも、日本の高温多湿な気候から着想を得て企画・開発されたのだとか。早速、着用感を試しに、雨に煙る奥多摩に向けて車を走らせた。
パンツのサイドジッパーは膝上まで解放できるダブルジッパーを採用

 この日のテストは、気温18℃、無風の稜線上(樹林帯)、雨は小雨からたまに土砂降り、湿度100%と、非常にジメジメした「まさに雨の日の日本の山」らしい環境下で行った。

 歩き始める前に袖を通してみて、まず気がついたのはデザインとシルエットの美しさ。以前の同社のレインウェアは、海外企画だからか少しシルエットの太さが気になったものだが、今回の新作はスッキリした印象。とはいえ、膝などには立体裁断が施されており、動いた際の突っ張り感は皆無だ。ブーツを履いたままでも楽に着られるダブルジッパーのサイドジッパーも使いやすい。
ポケットはハーネスに干渉しない位置に配置されている

 バックパックを背負ってみると、ポケットの位置がウエストハーネスともショルダーハーネスとも干渉しない絶妙な位置に切られていることもわかる。ポケット内はメッシュになっているので、暑くなってきたらベンチレーションも兼ねてくれそうだ。

 それほどハードなアップダウンはないルートだったので、たまにペースを上げてみたりしながら、生地の性能もチェックしてみた。結果から言うと、それなりに登山の運動量をあげれば、この環境なら当然汗はかく。しかし、汗をかき始めてからがこのレインウェアの秀逸なところ。しなやかで肌触りのいい裏地がウェア内の湿度を吸い上げて発散してくれるからか、レインウェア特有のベタつきをまったく感じなかったのだ。透湿性能や防水性能の高さを売りにしたモデルや、しなやかさに優れたモデル、軽量コンパクトなモデルなど、今までさまざまなレインウェアを着てきたが、この快適な着心地はほかにはない特徴である。
3レイヤーの防水透湿性素材「h2no」が快適な着心地を生む

 従来、同社のエントリー層向けのレインウェアは、軽量性とコンパクト性を重視した2.5層構造の生地を採用していた。しかし、こちらのモデルは肌触りと吸湿速乾性に優れた3層構造の生地を使い、より快適性を重視した造りとなっている。

 近年、各ブランドから超軽量コンパクトな雨具が数多くリリースされている。しかし、雨具本来の役割を考えると、多少の軽さよりも(ハイキング、もしくはグラム単位で荷物を削りたいような山行は別として)この快適性を取る方が賢い選択だろう。

 さらに、3層構造によって耐久性が高まるという利点もある。軽量なモデルにはもちろんそれなりの利点があるが、岩場の通過を伴う縦走や藪を漕ぐなどさまざまな使用シーンを考慮すると、この「クラウド・リッジ」は圧倒的に信頼度が高くバランスのいい一枚と言える。
そのまま着用した場合と、キャップの上から着用した場合のフード形状比較。しっかりとしたひさしが付くので、キャップなしでもしっかり雨を防ぐ

 世界中を見回しても、日本ほど特殊なレインウェアの使用環境は少ないそうだ。つまり、海外で企画されたものでは、どうしたって日本独特の高温多湿な気候に対応できない部分が出てくる。

 しかし、この製品は日本のような高温多湿な山岳気候に最適なレインウェアを、日本のアンバサダーのフィードバックを元に日米共同で開発していることが見逃せないポイント。そもそも企画の発端は、夏山登山に最も適した「パタゴニアの雨具」が欲しいというアンバサダーたちの強いリクエストだそう。ショップに訪れるお客さんたちから長年寄せられていた「日本の山でも快適なレインウエアを」という声も後押しになったのだとか。

 つまり、「クラウド・リッジ」は日本からのリクエストが形となり、世界に認められた世界基準のレインウェアとも言えるのである。
雨の日の山には、雨の日の山の魅力がある。快適なレインウェアさえあれば、雨の登山もたまにはいいものだ

 この日の行動時間は5時間ほど。途中、少し汗をかいた時間もあったものの、下山してウェアを脱ぐとアンダーウェアはからりと乾いたままだった。初めは乗り気ではなかったが、雨の日の山にはガスに包まれた幻想的な風景が広がっており、濡れて色濃くなった緑や苔を愛でながら歩く楽しみが発見できた。しっかりとしたレインウェアさえあれば、雨の山でも快晴の山とは違った視点で快適に楽しむ余裕が生まれるのだ。

 2着目、3着目のレインウェアならば軽量なモデルも選択肢のひとつだろうが、1着だけ持つならばこんな快適なレインウェアが断然オススメだ。
(撮影:矢島慎一)



パタゴニア/
メンズ・クラウド・リッジ・ジャケット

¥32,400(税込)
■サイズ展開:XS, S, M, L, XL, XXL
■カラー展開:ブラック、レッド、ネイビーブルー、トゥルーティール
■重量:391g

メンズ・クラウド・リッジ・パンツ
¥20,520(税込)
■サイズ展開:XS, S, M, L, XL, XXL
■カラー展開:ブラック、ネイビーブルー
■重量:309g

*ウィメンズはこちら(ジャケットパンツ)から

【ギアレビュー取材協力:パタゴニア】

 
 
ライター
池田 圭

サーフィン誌、登山誌などの編集部を経て、フリーランスの編集者として独立。最近のマイブームは植物と食材探し。足元や斜面、下山後の直売店ばかり見るようになり、山との接し方がだいぶ変わって参りました。

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