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超・ULな「夏の家」。SEA TO SUMMIT 「エスケーピスト15Dタープ&ウルトラメッシュバグテント」

(2017.08.15)

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 眠ることさえままならない熱帯夜を、南の島で幾度も過ごして結論した。夏に低地で使うシェルターに求められるいちばんの特性は「圧倒的な通気性」だ。

 野外でも、寒いぶんにはいくらでも対処できる。重ね着する、火に当たる、湯たんぽを作る……。積極的に保温や加熱をすることは、そう難しくはない。

 しかし、酷暑のなかで積極的に体を冷やすのは難しい。せいぜい沢などに浸かって放熱するくらいだ。日中の熱をそのまま持ち越す熱帯夜には、極力薄着になって大汗をかきながら眠ることになる。

 こんな夜の寝床には「圧倒的な通気性」が求められる。しかし、夏の野外にはヤツらがいる。そう、吸血昆虫だ。いくら通気性が欲しくてもヤツらを隔てるメッシュを捨てるわけにはいかない。

 通気性を確保しつつ虫と距離をおくために、私が行き着いたのがタープとネストの組み合わせ。ここ数年、夏の低地や南の島でのキャンプでは、このスタイルで過ごしている。タープとネストでは四方に大きな開口部ができるので、フライをかけたメッシュテントよりも格段に涼しく、また、ポールがないぶん大幅に軽量化できる。

 この春から夏にかけて、南西諸島への旅で使ってみたのが「SEA TO SUMMIT」の「エスケーピスト15Dタープ」と「エスケーピストウルトラメッシュバグテント」。極薄の布地を使った超軽量なタープとネストの組み合わせだ。「ESCAPIST」とは逃避主義者、現実から逃避する人という意味のよう。逃避行にはぴったりの軽量なシェルターだ。

 ネストのいちばんの特徴は、とにかく大きいメッシュ面。どの方向から風が吹いても、ネストのなかを風が抜ける構造になっている。

 雨の降り込みを抑えることとビーチでの使用を想定してか、バスタブの立ち上がりはやや高め(バスタブは高いほうが、砂が室内に入りにくい)。しかし、通気性がほしいときは、あえてたるませることで立ち上がり部分を下げ、風を通すこともできる。

 ネストの愛好者にもフロアレス派とフロアあり派がいるだろうが、私は断然のフロアあり派。垂直に立ち上がるフロアがある場合、体とメッシュの間に空間をとれるので、メッシュごしに虫に刺されることがない。また、這って地面から侵入する生物も防ぐことができる。蚊やブヨ程度ならまだいいが、ハブのような有毒生物のいる場所では、フロアとネストが一体になっているのは安心感が大きい。

 室内はマットを2枚敷いてもまだ余裕があるゆったりとした設計。天頂部の高さは1mあるので、座って作業するときも背中を丸めずに済む。そして、奥に向かって天井が下がっているので、雨が強いときには足側を風上にしてタープを低く張ることができる。タープ&ネストでは雨の降り込みが問題になるので、この構造はありがたい。

 このネストに対応するのが「エスケーピスト15Dタープ」。もちろん、ネストは別のタープとも組み合わせられるのだが、「エスケーピスト15Dタープ」の四隅にはホールが空いているので、ネストのトグルをくぐらせるだけで簡単に設営ができる。

「エスケーピスト15Dタープ」はM(2×2.6m)とL(3×3m)の2サイズ展開。テストではMサイズをネストと組み合わせて使ったが、Mサイズだとネストに対してタープがちょっと寸足らずな印象。吹きっさらしの場所で使うならLサイズと組み合わせたほうがバランスがいいだろう。

 しかし、ネストなしで単体のタープとして使うならMサイズでも十分な居住空間を確保できる。また、このタープの布地は15デニール(一般的なシルナイロンのタープは30D〜)。Mサイズの重量はわずか290gで、収納サイズもコンパクト。この薄さでも10泊ほどしてみて耐風性や耐水性はまったく問題なかった。軽量タープの購入を考えている人には、この軽さだけでも手にいれる理由になるだろう。

「エスケーピスト15Dタープ」のMサイズと「エスケーピストウルトラメッシュバグテント」を合わせた重量はわずか670g。2人で使用した場合のひとりあたりの重量は340g弱となる。得られる居住空間の広さに対して、非常に軽いことが特徴だ。UL系メーカーのアイテムでは、居住性より軽さを重視する傾向があるが、その点でこのモデルは軽さも居住性も両立している。

 軽さ、涼しさ、広さにおいて、頭ひとつ抜きん出たエスケーピスト。南の島や夏の海辺に逃避したい人にぴったりの「夏の家」だ。

エスケーピスト15Dタープ
M/2×2.6m 286g(実測) ¥18,000+税
L/3×3m 440g ¥20,000+税

エスケーピストウルトラメッシュバグテント
2.2×1.3×1m 380g(実測) ¥21,000+税

<ギアレビュー協力=ロストアロー>

 
 
ライター
藤原祥弘

採集系野外活動を中心に執筆とワークショップを展開。著書に『海遊び入門』(小学館・共著)ほか。好きな獲物はカンパチとノコギリガザミ。twitterアカウントは@_fomalhaut

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