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ゲリラ豪雨でも台風でも濡らさない!「ドライバッグ」のタイプ別活用術

2017.08.04 Fri

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

 毎年、仲間と楽しんでいる南の島のコースタルトレッキング。なにやらカタカナで呼んでみれば、小洒落た外遊びに思えますが、その実情は泥の干潟を四つん這いで突破し、ときに岩伝いに泳ぎ、ときにカキ殻で膝を擦りむく大人の冒険ごっこです。

 こんな旅で活躍するのがドライバッグ。濡らしたらマズい寝具やテント、着替えなどを水から遮断し、乾いた状態に保ちます。

こんなところを歩くから、キャンプ地に着くまでは荷物が浸水していないかドッキドキ。自分が浸水していたら泣き、誰かが浸水していたら指をさして笑う。

 この数年、薄い布地を選んではパンクで荷物を浸水させ、厚い布地を選んではその重さに辟易し、とトライ&エラーを繰り返してきました。

「薄いのは軽くていいんだけど、すぐにパンクすんだよなー。でも分厚いのは重すぎんだよなー。どうしてメーカーはちょうどいいやつ作らないんだろ?」

 だなんて思っていたら、決してそんなことはありませんでした。

 ちょっと調べてみたら、メーカーは薄くて軽いのから、程よく丈夫で軽いやつ、超ヘビデモデルまで本気でドライバッグを作っていたのです。しかも、素材もコンセプトもすごく進化している!

 ……ということで、めくるめくドライバッグの世界を用途別にご紹介。ドライバッグの使い方が上手になると、遊びの幅も広がりますよ!


◾ 防水袋タイプの基本

「ドライバッグ」といわれて、多くの人が思い浮かべるのがこのタイプ。荷物を入れてから開口部のテープを複数回折り返すことで防水します。登山用品店などに並ぶのは、薄手で軽量なシルナイロン製のものが多いですが、カヌーやダイビング用品のお店には、今も大型で厚手なものが並んでいます。


◾ デイパックタイプもあるぞ!

 ドライバッグ自体がバックパック、あるいはバックパックがドライバッグになっているタイプ。目止めの施された布地を使うことで、内容物を濡れから防御。開口部を折り返して防水するものと、水を通さない特殊なファスナーを使うものがあります。薄手からヘビデまで、用途に合わせてさまざまなモデルをラインナップ。

 それでは、タイプ別に正しい使い方を見てみましょう。


◾ 軽薄一辺倒! シルナイロン製

 着替えや小物を小分けにして「取り外せる隔壁」的な使い方をされる軽量モデル。布地に使われるのは15Dのシルナイロン。強さはそれなりでも軽さは抜群。穴をあけてしまわないように、ちょっとだけ取り扱いを注意すれば、重量の増加を抑えつつ、簡易に荷物を防水できます。

SEA TO SUMMIT
ウルトラシルナノ ドライサック
1ℓ(13g 1,200円+税)〜35ℓ(46g 3,190円+税)
2、4、8、13、20ℓもあり。


◾ ほどほど軽くてほどほど強い ナイロン製

 70Dの安心感のある布地を採用。15Dのシルナイロンと比べると重量では2.5倍ほど重たくなるものの、耐久性はかなりアップ。「荷物を小分けにする」機能と「積極的に防水する」機能を両立。

SEA TO SUMMIT
ライトウェイト70D ドライサック
1ℓ(30g 1,000円+税)〜35ℓ(115g 2,200円+税)
2、4、8、13、20ℓもあり。


◾ 袋の外から中身をチェック! スケスケ袋

 薄手のナイロン生地に透明なTPU製クリアウィンドウを装備。中に収めた荷物が視認できるので、サックを開けることなく内容物の確認ができます。

SEA TO SUMMIT
ビュードライサック
1ℓ(32g 1,300円+税)〜35ℓ(130g 2,700円+税)
2、4、8、13、20ℓもあり。


◾ 軽量&タフ 中厚ドライバッグ

 420Dの厚めのナイロンを採用。布地そのものが丈夫なので、背負子にそのまま取り付けたり、カヌー・カヤックのデッキにもそのまま載せられます。バックパックとほぼ同寸のものをいれれば、収める荷物の全てを防水することもできます。このモデルよりも丈夫で厚い布地もありますが、自身で担いで行くならこの厚みが現実的。

SEA TO SUMMIT
ビッグリバー ドライバッグ
3ℓ(79g 2,300円+税)〜65ℓ(293g 5,400円+税)
5、8、13、20、35ℓもあり。


◾ タブレットもスマホも防水!

 アウトドアでも当たり前に使われるようになったタブレットやスマートフォン。とはいえ、まだまだ防水性能は野外で使うには十分とはいえません。そんなデジタル ガジェットを収めるのが薄手のウォータープルーフケース。水深10mに沈めても1時間は浸水しない性能をもち、中に収めたままでも画面を操作できます。

SEA TO SUMMIT
TPUガイドウォータープルーフケース スマートフォン 27g 2,200円+税

TPUガイドウォータープルーフケース XLスマートフォン 37g 2,700円+税

TPUガイドウォータープルーフケース スモールタブレット対応 49g 3,400円+税

TPUガイドウォータープルーフケース ミディアムタブレット対応 66g 3,700円+税

TPUガイドウォータープルーフケース ラージタブレット対応 81g 4,000円+税


◾ 手のひらサイズの防水デイパック

 布地には30Dのシルナイロンを採用。収納時はにぎりこぶしよりもひとまわり小さく、展開すればデイパックに変身。いつも持ち歩いておいて、エコバッグがわりに使うもよし、不意の雨の防水バッグにするもよし。もちろん、肩にある小屋から頂上までのアタックザックとしても活躍します。

SEA TO SUMMIT
ウルトラシルドライデイパック(右)
22ℓ 110g 4,900円+税

ウルトラシルデイパック(左)
20ℓ 72g 2,900円+税
※このモデルは防水タイプではありません。

ウルトラシルナノデイパック
18ℓ 30g 3,400円+税
※このモデルは防水タイプではありません。


◾ 背負える軽量ドライバッグ

 薄手のシルナイロンだとちょっと心配、もう少しラフに扱えるデイパックタイプがほしい、という人には、210Dの布地を採用したものを。摩擦されることの多い底部にはより厚手の420Dナイロンを採用していますが、くるっと丸めてたたむこともできます。

SEA TO SUMMIT
スプリントドライパック
20ℓ 360g 7,900円+税


◾ 徹底防水! 背負えるドライバッグ

 600Dの極厚布地を採用したドライバッグに、着脱式のハーネスシステムを装備。状況に合わせてスマートなドライバッグとタフなバックパックとして使い分けができます。

SEA TO SUMMIT
ハイドローリックドライパック ハーネス付き
35ℓ(1,010g 12,800円+税)〜120ℓ(1,790g 19,600円+税)
65、90ℓもあり。


◾ バックパック感覚のドライバッグ

 Akimama編集部でベストバイの評価を受けたのは「ラピッド ドライパック」と「フロー ドライバッグ」。タウンユースから1泊のハイキングまでこなせる容量とデザインでありながら、完全防水仕様です。

 容量は26ℓと35ℓの表記ですが、それぞれ5ℓ増しの容量と言われても違和感のない収容力。前面には止水ファスナーを備えたポケット、内部にも小物用のポケットを装備し、背面にはハイドレーションを格納するスペースも。サイドポケットと2本のコンプレッションストラップもあるので、使用した感覚は「普通の登山用のバックパック」です。

 防水タイプのバックパックは、防水性能に力を入れるため、背負い心地や使い勝手がスポイルされることが多かったのですが、これらのバッグは一般のパックと同じ感覚で使えて、しかも防水仕様。

 街で使えばPCなど濡れが怖いアイテムを守り、登山で使えば雨中でもレインカバーをかける必要がありません。深めのサイドポケットとコンプレッションストラップは、パックロッドなどの収容にも便利。渓流釣りでも使い勝手がよさそうです。布地は420Dとかなり厚手。岩などにスレてもそう簡単にはパンクしないでしょう。

ラピッドドライパック
26ℓ 760g 19,600円+税

フロードライパック
35ℓ 1,210g 21,600+税


◾ 総評

 現代のドライバッグは重さ20gに満たない超軽量モデルから、タフユースのできる遠征用まで重さや厚みで選び放題。バックパックに収納して、濡らしたくないアイテムだけを守ることもできれば、本体がドライバッグになっているタイプを選んで「がさっと収納すればそれだけで防水!」といった使い方もできます。

 ドライバッグは転ばぬ先の杖。アウトドアショップや登山用品店では、薄手で小型のモデル以外は並んでいないことが多いのですが、過酷な状況でこそ、しっかりと防水したいもの。登山、沢登り、カヤック……に出かけて中身を濡らす前に、自分にぴったりのモデルを入手したいところです。 求めよ、さらば与えられん!(お取り寄せは、各アウトドアショップにて!)


(ギアレビュー協力=ロストアロー)

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