line_box_head

たかがコット、されどコット。クオルツで新調したコットがすこぶる調子がいいという話。

(2017.08.07)

道具のTOP

icon

クオルツの新製品、2WAYライトビームコット。下の写真にあるように、脚の高さを2段階で調節することができる仕組みになっている
 たかがコット、されどコットである。テントで眠るならインフレータブルのマットがあれば十分じゃないか、と、いつも思っていた。かつては「テントで眠る=山のテント泊」という図式が自分のなかで定着していたからなのだけど。でも、ふつうのキャンプに、夏フェスのシーンも多くなってきた。となれば、やはりコットである。

 荷物を車に詰め込んでガッツリと運べるキャンプであれば「重さ」はモノ選びの選択肢からは外れがちになる。そんなシチュエーションだと割り切ってしまえば、あとは「快適さ」をどこまでも追求できることに。そうやって、最初に買ったのはバイヤーのトライライトコットだった。以来、かれこれ6、7年近くは使い続けてきた。

 すでにバーが曲がっていたり、生地の張りがたるんできて入るのだけれど、これは経年劣化とも考えられ、ときの月日を差し引いて考えれば、かなりの名品だと思う。だって、未だに現役なのだから。

 ところが人間、新しいモノにはついつい惹かれてしまうようでして。巷で人気のヘリノックスには手が届かず、あまり触手を動かされずにいたのだけど、今回、Qualz(クオルツ)から発売された2WAYライトビームコットを見たときには、何かがビビッと走ってしまった。あぁ、新しいの欲しい……と、気が付いたときには心が疼いていたのである。
これがクオルツの全体概要だ。(左上から右に)すべてを収納した状態。コットにしては、かなりコンパクトな部類に入る/収納袋は、各パーツごとに専用のスペースが設けられている。脚がふたつにサイドポールが2本、本体のキャンバスのセットだ。ただ、若干ではあるものの、袋が小さくしまいにくさが……。脚を入れる部分は改善の余地ありか?/こちらが脚/そして、サイドのポールとキャンバス/キャンバスを広げたら、サイドポールを差し込む/ポールは、ベロのあるほうから差し込んでいく/脚はワンタッチでポールにセッティングできる/取り外しもこの通り、簡単! この操作性のよさは他のコットにはないのでは?/収納袋にタオルなどを詰め込めば、枕の代わりにもなる
 価格は12,800円+税。使用後の感覚からではあるが、これはかなりコストパフォーマンスがいい。「キャンプで使うコット」という目で見れば、収納もコンパクトなうちに入ると思うし、なによりも組み立てが楽。キャンバスを支えるサイドの支柱はテントのポールを組み立てるのと同じで、パタパタと一本にのばすだけでOK。ショックコードで繋がれているので、迷うことは何もない。

 さすがにWILD-1の扱いブランドだけに、このあたりの操作性についてはお手の物なのだろう。そして、コットを支える脚の組み立ても、テントポールの組み立て原理を利用している。ポールとポールを繋ぐ樹脂パーツのジョイントに差し込むだけなのだが、このときに“2WAY”の仕様を選べる仕組みになっている。その脚を本体にパチンとはめ込むだけ。

 このはめ込みについては、前出のコットとは比べものにならないほどで、「超」がつくほど簡単である。操作しやすいように、はめ込みのパーツには指でテンションが掛けやすいようなカタチに形成されており、これは取り外しのときにも性能を発揮する。
この樹脂パーツが“High & Low”のひみつ。高くしたければ上のホールに、低くしたければ、下のホールに脚を差し込めばよし。右の写真はサイドポールへのジョイント部分
 さて、高さの件である。“High”が好きであれば(逆さにして組み立てている状態で)上のホールに差し込み、“Low”が好きであれば下に差し込む。たったこれだけの作業で完了となる。高さを変える脚の数は全部で8本もあるが、ホールの差し替えはストレスなくできるので、まったく問題はない。

 好き嫌い、状況に応じての“High & Low”なのだけど、ここでハテと考えてしまった。好き嫌いはともかく、「状況」とはどんな状況が考えられるのかな、と……。コットの利点は背面の下を空気が循環すること。特に夏は涼しく過ごせるのだけど、“High”の38cmと“Low”の26cmの12cmの差でさほど空気の循環が変わるとも思えず。あとは、背面が高い方がコットに横たわるときには楽ですよね。そして目線を高くして眠りたい人とか……あ、これって好き嫌いの範疇だ。

 とまぁ、高低のいろいろな理由はあるのでしょうが、個人的な感想として。眠るときは“Low”がいいと思う。何といっても気分的な安定感がありました。寝相がさほどいいほうでもないので、という言い訳をしつつ。いっぽうの“High”の場合は、座って使うときに便利。でも、もともとがベンチ用に作られているわけではないので、あまりオススメはしたくない。

 耐荷重が100kgということなので、人ひとりが眠るには十分。でも、たくさんの人が座れるようには作られていないのだ。悪しからず。

 そしてそして、最後に特筆すべきはその寝心地。もちろん、新品なだけにヘタレはないのだけれども、ありがちなピンピンに張られた反発感もない。寝転んだ体重を程よく受け止め、張りのあるベッドに潜り込んだときのような具合である。ポリエステルの肌触りも悪くない。これなら、幾日寝ても身体が痛くなるようなことはないだろう。って、じつは5日間連続で寝てみたのでした。
今年のフジロックは述べ12万5000人の来場者があったとか。その多くの人がテント泊となるので、キャンプサイトにはありとあらゆるテントの花が咲く。そんな現場で5日間。クオルツのコットを使ってのテント泊。いやはや、快適でしたよ。眠るときはLowがオススメ、靴を履くときなんかはHighが便利ですよね
 現場はフジロックの仕込み〜撤収まで。毎日、テントに倒れこむようにして寝ていた(もちろん、仕事疲れです/いや、八割方は呑みの方かも!?)けれど、朝方の寝起きはケロリ。日々爆睡できていたというのは、コットで寝ていたことを忘れるくらいに快適だ!! ということも関係しているはず。実際、何の問題もなかったし。

 いま、コット選びに悩んでいる人がいるなら、ぜひともオススメしたい一品ですね。クオルツの2WAYライトビームコット、いかがでしょ。

  
 



クオルツ 2WAYライトビームコット
12,800円+税

■使用時(約):幅191cm×63cm×高さ38/26cm
■収納時(約):長さ54cm×高さ20cm×厚み16cm
■重量:(約)3.12kg
■耐荷重:100kg
■材質:本体フレーム/アルミニウム(アルマイト加工)、樹脂パーツ/ポリカーボネイト・ポリプロピレン、シート/ポリエステル(裏面PU加工)

【ギアレビュー取材協力:WILD-1】

 
 
ライター
tetsu

山岳•アウトドア関連の出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。著書に『テントで山に登ってみよう』『ヤマケイ入門&ガイド テント山行』(ともに山と溪谷社)がある。

line_box_foot