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カシオ/プロトレックから、ついにスマートウォッチが登場! パドルモードを千曲川で試してみたぞ。

(2017.10.04)

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 登山に、沢登りに、リバーツーリングに、MTBに、スキーに、買い出しに……、つまりいつでもどこでもプロトレックがぼくの左手にいる。
 電池を替える必要がなく、時刻を自動調整してくれて、頑丈で無骨。もっとも信頼している腕時計である。(ちなみに愛用モデルはPRW-5100-1)
 そのプロトレックからスマートウォッチが登場したという。
「無骨なプロトレックよ、オマエもか。質実剛健な名機がついにITの波に飲まれてしまったのか」と少々落胆する一方で、「信頼を置くプロトレックシリーズだものスマートウォッチになってもアウトドアズマンの期待を裏切ることはないだろう」という期待を胸に、使ってみることにした。
 手にしてみると、スマートというだけあって、見た目に反して意外と軽い。これまでのプロトレックと変わらぬアウトドアウォッチの基本機能に加え、GPS機能や各アクティビティー機能、Bluetooth、Wi-Fi などが搭載されているとは思えないスマートさだ。
 このプロトレックスマートには、さまざまなアクティビティーに特化した記録モードが搭載されているのが、ウリである。今回はパドルスポーツモードをテストしてみることに。
 インプレッションの舞台に選んだフィールドは、長野県北部を流れる日本一の大河、千曲川だ。乗り物はインフレータブルのSUP。
 何度も下ったことがあるJR飯山線の替佐駅から上桑名川まで下るワンデイトリップだが、実のところ正確な距離をいまだ知らない。計ったことがないのだ。いや、計る術がないのだ。ちょうどいい、このスマートウォッチで測定してみようじゃないか。 操作ボタンはディスプレイに向かって右側に3つのみ。液晶画面はタッチパネルになっていて、水で濡れた手でもテキパキ反応するので、水上での操作もスムーズだった。「スマートウォッチ=複雑な操作」という先入観が吹き飛ばされるほど、操作性は直感的でダイレクト。オリジナルウォッチフェイスもこんなにたくさん用意されている。
(上左/通常モード、上右/ロケーション、中左/オーセンティック、中右/2レイヤー、下右/マルチ、下左/トラベラー)
 アクティビティーや旅先、その日の気分にあわせて、好みのフェイスを選べる楽しみがある。時計を何個も持っている気分だ。個人的に気に入ったのが、「マルチ」だ。なぜかというと、ひとつの画面で時刻、方位、気圧、高度が素早く確認できるからである。カモフラ柄もプロトレックらしく剛健なイメージでよろしい。 SUPを膨らませ、ライフジャケットを着て、いよいよ出発だ。メニューの「アクティビティー」から「パドルスポーツ」を選び、スタートボタンをポチッ。GPSとタイムウォッチ機能が作動し、SUPの動きをマップ上で細かく表し、時間軸でもパドリング時間を記録しはじめた。 パドルスポーツのほか、トレッキング、フィッシング、サイクリング、スノーが選べるアクティビティーモード。パドリング時に手首を激しく動かしても、干渉しないスマートなフォルムがいい。 パドルモードのまま、タッチパネルを左へスワイプする。するとスピード(㎞/H)、現在時刻、移動距離、バドル時間が表示される。1時間で何㎞下ったかがわかれば、残りのペース配分もしやすいというわけだ。(注:ゴールしたとたんにバッテリーが切れ、記録を消失。ゴール地点での記録は、距離30㎞、パドル時間5時間でした)さらに左へスワイプすると平均スピード、トップスピードがひと目でわかる。川の流れ、風に惑わされることなく、到着時間から逆算してスピードを調整できるのでプランが立てやすいぞ。
 さらにもうワンタッチ左へスワイプするとマップ画面に。現在地を表示するとともに、移動してきた軌跡が明記される。最新の日本の衛星「みちびき」にも対応しているだけに、現在地の特定が素早く、正確。
 左右から山々が迫り、瀬の音が轟々と響いてきた。今コースでもっとも大きい瀬がやってきた。こんなときは、マップに音声メモを落とすも。「もっとも大きい瀬。中央やや左の流芯をいく。渇水時は隠れ岩に注意! 」次回下るとき、あるいは友人にアドバイスを伝えるときに有益な情報となる。ポイントでマーキング、さらに音声で記録を残せる便利な機能。パドルで両手がふさがっているため、音声で旅の記録を残せることはありがたい。 こうしてのんびり下っている間も、プロトレックスマートは衛星と交信しながら、けなげにぼくを追跡してくれているのだ。川幅が広く、ぐねぐねと蛇行する川では、正確な移動距離が計りにくい。だが、このプロトレックスマートなら地球上のどこにいても正確な移動距離をズバっと教えてくれるのだ。
 もちろんプロトレックファミリーの一員であるから、アウトドアウォッチの基本機能を搭載している。右上のツールボタンを押すことで、5つの機能を知ることができる。トレッキング、サイクリング、フィッシング、スノーなどあらゆるアクティビティーで使える頼りになる計測器である。上左/方位計測。上右/高度計測。中左/気圧計測。中右/日の出、日の入り時刻。下/タイドグラフ。それぞれGPS機能で現在地を特定しているのでかなり正確。
 JR替佐駅のスタート地点の標高は、321m。JR上桑名川駅のゴール地点の標高は、300m。5時間も川のうえにいたのに、わずか20mしか標高差がないとは驚きだ。高低差にして100mくらいは下ったイメージだったんだけどなあ。
 JR上桑名川駅から約200m上流の河原に、ゴール! スタート地点からここまでの距離はジャスト30㎞、パドリング時間は5時間01分だった。いつも漕いでいるこの千曲川テッパンコース。30㎞もあったのか?! プロトレックスマートのおかげで日常の遊び場をよく知ることができた。
 これまでSUPのうえで自分がどこにいるかを確認する作業といえばこんな感じだった。防水袋からiPhoneを取り出して、水面へ落とさないように注意しながら、グーグルマップを開いて現在地を確認。瀬が次々とやってくる川の上では、なかなかしんどい作業だ。だが、今回は腕時計を見るアクションだけで、自分がどこにいるか知ることができた。
さらに移動した距離や時間を知らせてくれ、残りはどのくらいの距離が残っているかを教えてくれる。
「車を置いた上流の駅へ戻る電車の時刻があるから、もう少し早めのペースで漕ごう」
「日没がもうすぐだから、そろそろ陸に上がってテントを張ろう」
「気圧が急激に下がってきたぞ。あの河原であがって、帰ろうか」
などと言った、プランニングを円滑に判断し、決行することができるのだ。
 ぜひトレッキングやサイクリングでも使ってみたい。ただカラー表示でGPS機能をめいっぱい使うと、1日しかバッテリーがもたないのが残念である。これがリチウムバッテリーではなく、ソーラーバッテリーになったら、史上最高のプロトレックになるだろう。
(写真=大森千歳)

PRO TREK Smart WSD-F20-RG
¥51,000+税
GPS搭載:GLONASS、みちびき対応
OS:Android Wear 2.0
ディス プレイ:1.32インチ 2層構造 320×300 ピクセル
タッチパネル:静電容量式タッチパネル
防水性能:5気圧
耐環境性能:MIL-STD-810G (米国防総省が制定した米軍の物資調達規格)
センサー:圧力(気圧/高度)センサー、 加速度センサー、 ジャイロセンサー、 方位(磁気)センサー
バッテリー:リチウムイオン電池
充電方式:マグネット圧着式充電端子
充電時間:常温で約2時間
電池寿命 :通常使用(カラー表示)→ 約1日
     時計のみ(タイムピースモード):約1ヶ月以上
本体サイズ:約 61.7 × 57.7 × 15.3 mm
質量:約 92 g (バンド含む)

 
 
ライター
森山 伸也

5年前に北信の山村へ移り住んだアウトドアライター。北欧のロングトレイルを日本にはじめて紹介したひとりで、著書に『北緯66.6° 北欧ラップランド歩き旅』(本の雑誌社)がある。→InstagramTwitterFaceBook

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