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2017年もっとも活躍した“動的保温着”がセール中で、2枚目購入を迷う日々。そのよさを解説してみる

(2017.12.29)

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 西高東低の気圧配置が強まり、雪遊びのトップシーズンを迎える前にして早くも滑り好きの雄叫びが各地から聞こえてきています。のんびり年末年始で冬支度を始めよう……なんて思っていた人は、少なからずあせっているのではないでしょうか。

 さて今回は、雪上を含む真冬のフィールドへの出撃に備えて、「1枚あると絶対に損はない!」という今買うべきインサレーション(化繊中綿のウェア)をご紹介したいと思います。

 ズバリそれは、マウンテンハードウェアの「スカイポイントフードッドジャケット」。これはウィメンズモデルで、類似アイテムとして男性用は「エイサームフーデッドジャケット」があります。
女性モデル「スカイポイントフーデッドジャケット」

 まずこの「スカイポイントフードッドジャケット」のよさを語る上で、外せないキーワードとなるのが「動的保温着」という言葉でしょう。

 動的保温着とは、休憩や停滞時に暖をとるために着用するものではなく、気温の低いシーズンの登山や秋冬の自転車、スキー/スノーボードの滑走時といった「運動中」に活躍する保温着のこと。最低限の保温性は確保しながら、身体を動かすことによって発生する熱や汗をスムーズに放出し、“寒くなく暑くもない”という絶妙なウェア環境をもたらしてくれる製品のことです。

 これまでにも雪上や秋冬の登山でパタゴニアの「ナノエア」や、モンベルの「エクセロフト」を採用した動的保温着をずっと愛用してきました。この「スカイポイントフーデッドジャケット」(メンズ:エイサームフーデッドジャケット)は、徹底的に“通気性”を重視したことがほかと違う大きな特徴。しっかり汗をかくような場面で抜群の“抜け”を発揮し、汗冷えやオーバーヒートを防いでくれるウェア、というわけです。
 では、それを実現している素材とは何でしょうか?

 それは、気温が低く運動量の多い場面で使うことを想定して開発されたポーラテック社の「アルファ」という化繊中綿。ポーラテックアルファは、もともと米軍の特殊部隊からのオーダーで開発がスタートした素材として知られていますが、ガーゼのような目の粗いニット生地に嵩(かさ)の高いポリエステル綿が植毛されているのが特徴です。中綿がしっかりとデッドエア(動かない空気)を蓄えて身体を暖かく保ちながら、同時に格子状の生地の隙間からしっかりと通気。激しい運動を行なっても適度に暖かく、またウェア内が過剰に蒸れてしまうことがありません。

 しかも、です。

 この「スカイポイントフーデッドジャケット」(メンズ:エイサームフーデッドジャケット)の最大のポイントは、ポーラテックアルファからさらに「裏地」を取り去った「アルファダイレクト」という素材を使っているということ。

 これが実際に使われている「アルファダイレクト」。
 拡大した写真がこちら。裏地を取り去ることで、植毛したポリエステル綿がジャケットの内側で実際に見える状態になっているのですが、その結果格子状の隙間からムレがどんどん放出される圧倒的な通気性が確保されました。
 さて、ここで「よさげ!」と思った方。ひとつ注意したいのは、このウェアが決して「しっかりと暖かいインサレーションではない」という点。

 言い換えるなら「運動中、寒くないインサレーション」とでも言えば伝わるでしょうか。もっと暖かさを求めるならより保温に特化したモデルを選ぶべきであり、このウェアを選ぶ理由は(重複しますが)「運動中に最低限寒さを感じず、かつ全然蒸れない」という点にあります。「インサレーションを脱いだら寒いんだけど、着たら蒸して暑い」という、ものすごく狭いレンジで真価を発揮するものであり、その微妙なさじ加減を実現するアイテムは今のところこれがピカイチです(と思う)。

 昨シーズン、あまりのできのよさにさまざまな場面で着用したので、防風シェルと合わせて使った場合具体的にどのように感じたのか、その例をいくつか挙げてみましょう。

 1月頭の北海道内陸。気温がマイナス10度近くまで冷え込んでいるゲレンデのリフトでは……寒く感じます。じっと座ったままですから、当然と言えば当然。滑って山を下ることが運動の大半のスキー場では、保温性がより高い防寒着を選ぶ方がベター。春が近づいてくるとスキー場でも使い勝手がいいかもしれません。

 こちらは厳冬期である2月中旬の月山。バックカントリーへの出発前はさすがに寒いです。が、斜面を歩き始め運動量がグンと増えてくるとよさを存分に発揮。篭った汗がどんどん抜けハイクアップが非常にラクに行なえました。フィールドの気温が随分と低いけれど、運動量がかなり多いと予想できるときは「スカイポイントフードッドジャケット」はベストチョイスとなります。

 こちらは3,700m近い台湾の初冬の山でのワンシーンですが、気温はマイナス。急登がひたすら続き汗をかくほどだったため、アルファダイレクトの通気性がまさにドンピシャでした。立ち止まって長い休憩を取ると途端に寒くなるので、重ね着できるダウンは必携ですが。
 3月の白馬バックカントリー。ハイクアップとロングの滑走とを繰り返す運動続きだったため、冷え込んでいましたが寒くなくこちらも快適。風の弱い谷あいでは、シェルを脱いでインサレーションだけで歩きました。
 もちろん、何度かに一度は「スカイポイントフードッドジャケット」をチョイスして失敗したと感じることもあります。とくに山の上で風が強まり、通気性がよすぎるあまりしゃかりきに動いていても身体が温まらないようなときは、もう少し保温性のあるナノエアやエクセロフトを選べばよかった……と。

 だから、なおのこと「スカイポイントフーデッドジャケット」がバッチリとハマる環境でうまく使用できたときは、得も言われぬ「気持ちよさ」に浸るんですよね。ほか、晴れた冬のトレイルランニングやクライミング、クロスカントリースキーなどでは防風シェルなしでも重宝するはずです。

 ちなみに、女性モデルはこのように身頃とフードの裏面全体に「アルファダイレクト」が敷かれています(メンズモデル「エイサームフーデッドジャケット」は、肩と脇の部分には毛足の長いフリースを配置)。 腕の内面には裏地が貼られ滑りがよくなっているため、下に長袖のベースレイヤーを着用しても脱ぎ着で引っ掛かることがありません。
 表生地は驚くほど柔らかく着心地もバツグン。体感は個人差がありますが、それでも汗抜けのよさ、ほどよい保温性と合わせ、これほどバランスのよい行動中の保温着はなかなかほかにありません。あまりにも気持ちがいいので、アルファが得意とするシビアな現場だけでなく、次第に冬の自転車通勤や、寒風吹きすさぶ屋外での窓拭きなどの大掃除、冬のぶらり散歩旅……といった日常での使用頻度が確実に増えてくるでしょう。

 その「スカイポイントフーデッドジャケット」(メンズ:エイサームフーデッドジャケット)が、今なんとオンラインショップでセール中とな!(12月28日現在)。2枚持っていても損はない、と購入を検討してしまう悩ましい年末を送っています。

 
 
ライター
ふくたきともこ

フリーランスの編集者/ライター。アウトドアやスノーボード関連の専門誌で活動する傍ら、フジロックや朝霧ジャムなど国内の野外フェスの制作にも携わる。最近の個人的ブームは飯豊連峰と伯耆大山、ブリの薫製、Nick Fransic。京都出身。twitter「@happy_falls

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