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FISH CAMP! 棒寿司&ワタペペロンでサンマを無駄なく食べ尽くす!

2016.09.13 Tue

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

 
 秋のキャンプで食べたい食材といえば……サンマ! なかには、思う存分サンマを焼くためにキャンプに行く、なんて人もいるかもしれません。

 そんな魅惑的な食材・サンマに向かい合ったとき、男はひとつの選択を迫られます。

「塩焼きにしてワタをからめつつ、脂ののりきった身を無駄なく食い尽くすか」

「いやいや、この鮮度なら刺身こそ至高。しかし、ワタは捨て難い……」

 生でも食べたいけれど、ワタを捨てるのは口惜しい。そんなときにオススメなのが、内臓を使った「ワタのペペロンチーノ」。

 刺身と組み合わせれば、残るのは頭と中骨だけ。1匹のサンマで2度美味しい、無駄なしレシピです。

 最初は刺身と組み合わせてみましたが、絵的にちょっと寂しかったので、おすすめの「棒寿司」の作り方をご紹介。

 炭水化物×炭水化物。油×脂。オジさまがたには悪魔のようなコンビですが、美味さは保証します!

①サンマを選ぶ

サンマは小顔で体高が高く、尻尾がキュッとしまっているものが美味(写真のはサンマは可もなく不可もなく)。そんなサンマを見つけたら、はやる心を鎮めつつ、トングでそっと頭の後ろをキャッチ。体を横向き・頭を水平にして持ち上げてみて、ビシっと体が水平になるものが新鮮。首からダランと垂れるものは鮮度がイマイチです。

②ワタをだす

胸ビレの後ろでちょこんと断頭。そのまま肛門まで開いたら包丁でワタを掻き出しましょう。ワタは小皿にとりおき、腹の中は流水できれいに洗います。写真のワタの鮮度は「可」といったところ。新鮮ものは、もっと各々の臓器がはっきりしています。そして、ワタの色はそのときサンマが食べていたものの色になります。鮮やかなオレンジのときは甲殻類の子供を食べていた証拠。そんなワタは抜群に美味!

③3枚におろして腹骨をすく

洗ったサンマは大名おろしで3枚に。中骨に残った身もあとで使うので、過度に丁寧に処理しなくても大丈夫。身に残った腹骨は、腹ビレと一緒にそぎ落としましょう。中骨、腹骨も捨てずにとりおきます。

棒寿司その① 酢じめ

おろした身は、軽く塩をして5分ほどおき、続けて酢で全体を漬けつつ洗う。酢で洗うことで皮がしまり、はがしやすくなる。気が短い人はこの手順はサボってもOK。

棒寿司その② 皮を引く

身の端から包丁の刃を入れ、身をこそげるようにして透明な外皮1枚だけをはがす。隙間ができたら包丁の天地を返し、峰側を身と皮の間に入れて皮をはがす。皮をはがないと炙ったときに身が反り返り、食べたときに口に皮が残る。細かいことを気にしない人はこの手順もサボってOK。

棒寿司その③ すしのこ登場!

アウトドアで寿司飯といえば、使うべきは「すしのこ」! 醸造酢を粉末状にしたもので、米の飯を水っぽくすることなく酢飯へと変身させます。通常、寿司飯を作るときは追加する寿司酢の分だけ水を減らして米を炊きますが、ストーブや焚き火で米を焦がさずに固めに炊くのはちょっと難しい。その点、水気の増えないすしのこを使うと炊飯を失敗しづらい。

棒寿司その④ 薬味とすしのこ、ご飯を攪拌

炊き上がった米に白ごま、薬味(大葉など)、すしのこをいれて混ぜる。

棒寿司その⑤ サンマと酢飯をドッキング
巻き簾の上にラップを敷き、皮側を下にしてサンマを配置。酢飯を細長い俵形に載せたあと、ラップで包んで巻き簾を握って整形する。形を整えたらクーラーでしばし静置する(冷えると寿司飯がまとまる)。


棒寿司その⑥ トーチでバーニング!


米が冷めて固まったら、トーチでサンマを炙る。皮目から黄色い脂が吹き出し、香ばしい香りが漂ったら、包丁で食べやすい大きさに切り分ける。炙るときは焦げても問題のないまな板を使いましょう(陶器の皿を使うと割れることがある)。

棒寿司その7 薬味を盛る

サンマには薬味がよく似合う。ミョウガと大葉を千切りにして上に載せる。


ペペロンその① ニンニクと唐辛子を炒める


フライパンにオリーブオイルを敷き、ニンニクと唐辛子を弱火で炒めて香りを移す。香りが出たらニンニクと唐辛子は一度フライパンの外へ避難。

ペペロンその② 中骨と腹骨を焼く


中骨と腹骨を入れ、柔らかくなった身を骨からはずす(写真は火を入れすぎました。身が白くなる程度のタイミングで!)。

ペペロンその③ ワタを加える

オイルにワタを投入。火が通ったタイミングでニンニクと唐辛子を戻し、茹で上げたパスタを加えてからめる。からめつつ塩か醤油、または魚醤で塩気を調整。お好みでどうぞ。

ペペロンその④ 完成!

皿にもって完成! 味は普通のペペロンチーノとアンチョビのパスタの中間のような感じ。大人向けのほろ苦い味わいです。ひと口食べたら脳がビールを要求するので、ビールを冷やしてからのぞみましょう。ペペロンチーノとしては邪道ですが、私はコショウが好きなのでコショウをしゃらっと振ります。

 以上が1匹のサンマで2度美味しい、棒寿司&ワタペペロンの作り方。

 ①鍋で米を炊き、酢飯を作り棒寿司に→②フライパンでソースを作る→3鍋でパスタを茹でる→④油の付いたフライパンを茹で汁で洗う。

 という流れをつくれば、必要なクッカーは鍋とフライパンひとつずつ。パスタの茹で汁は油をよく吸着するので、洗い物も楽に済ませられます。

 今年のサンマは例年に比べるとまだまだ高値ですが、9月も中頃になってようやく手の出せる値段になってきました。

 サンマ漁は北海道北西部で始まって次第に南下してゆき、時期が遅くなるにつれて少しずつサンマからは脂が少しずつ抜けていきます。

 なんとなく、冬が近づいたほうが脂がのりそうなイメージがありますが、サンマは時期が早い方が旨味が強いのです。

 今年の高値は時期的なものではなく、不漁によるもの。このまま待っていてもそれほど値段が下がることはなさそうなので、どうせなら脂がのっているうちに楽しんでしまいましょう。

 さあ、男たちよ(女たちも!)糖質と脂質の魅惑の海へと泳ぎ出せ!

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