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パタゴニアから生まれたビール「ロング・ルート・エール」を飲んでみた

(2016.11.18)

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東京都渋谷にあるPDX TAPROOM。レジにはロング・ルート・エールが鎮座している。
 パタゴニア プロビジョンズにビールが登場すると聞きつけ、さっそく飲みにPDX TAPROOM(東京都渋谷区)に行ってきた。「パタゴニア プロビジョンズ」は、アウトドアメーカー・パタゴニアが新たにスタートさせた食品事業だ。昨年本国でスタートし、今年9月いよいよ日本でも取扱いがはじまった。アパレルを中心に扱うパタゴニアが、食品をはじめるというニュースに、多くの人が意外性を感じたことだろう。

ワイルド・ソッカイ・サーモン(レモン・ペッパー)1,280円(税込)。調理済みなので、そのままでも食べられる。持続可能な群れのみから捕獲した天然のサーモンだ。

 最初にリリースされたのは、サーモン、スープ、フルーツアーモンドバーの3つのラインアップ。どれも素材から生産の背景まで、じつにパタゴニアらしいとうなずける試みでもある。加えて、本国アメリカではビールまでもが展開されていると聞いていたのだが、日本では未展開だった。それが、このほど日本でも飲めるようになったと聞いて、ビール好きとしては居ても立ってもいられなくなったのだ。

ロング・ルート・エールは、PDX TAPROOMにも樽を卸しているポートランドのホップワーク・アーバン・ブルワリーの醸造で誕生した。そのストーリーの動画なのだが…英語版のみ。日本語字幕付きの公開が待たれる。

 さて、まずはビールの話しから。

 日本初登場のパタゴニアプロビションズのビール。いったいどんな味なのか。レジで注文し、まずは「生」をオーダー。(PDX TAPROOMでは缶も出している)。ていねいに注がれた琥珀色のヤツが目の前に置かれた。乾杯もそこそこに、口へ運び…ゴクリ。ゴクリ、ゴクリ、ゴクゴクゴク…。ああ、うまい!コクがありながらも、苦み少なくすっきりとした喉ごしだ。クラフトビールほどの強い個性はないが、飲み慣れた日本のポピュラーな大麦麦芽のビールよりはしっかりしている印象。アルコール度数5%というのも強すぎず、ちょうどよいのかもしれない。

左はハーフパイントサイズ、樽から注がれた生だ。右は缶をグラスに注いだもの。

 ロング・ルート・エールなる名を冠したこのビール。ロング・ルートの意味は、「長い根っこ」。このビールの原料である「カーンザ」という穀物が地中深く3メートルも!根を張ることから、その名が付いた。カーンザは、アメリカにある<ランド・インスティテュート>が長年の研究によって生み出した多年生小麦。多年生、つまり同じ個体から複数年にわたって実が収穫できるのだ。

これがカーンザ。根っこは太く長い。長細いゴザのようだ。(C)Jim-Richardson

 わたしたちが普段口にしている小麦は、一年生植物といって、毎年土を耕して新しく種を蒔かなければならない。一年というタームの早い栽培は、土壌を痩せさせ表土を失わせることにつながる。根が浅い一年生植物に比べ、深く広く根ざす多年生植物は土壌の保水力を高め豊かにする力がある。長い根があることで、雑草が生える隙を与えず農薬も必要ないという、なんともたくましい植物なのだ。

オリジナルのハンドルトップ。ハンドルのどこにも、Pの文字すら見当たらないが、ひと目でわかる存在感。

 なるほど、パタゴニアプロビジョンズは、そんな多年生小麦に着目したのだ。小麦は穀物メジャーとも呼ばれ、世界経済を左右する巨大な産業でもある。

 日本人も、主食はお米と言いつつも、日々どれだけの小麦を食べていることか…。農林水産省が発表した平成27年度の食料自給率を見ると、小麦はたったの15%(カロリーベース15%、生産額ベース14%)。主要な輸入国はアメリカだ。カーンザが開発された背景にある持続可能な農業に対し、わたしたちも責任の一端があるといっても決して言い過ぎではないだろう。

今夏にアメリカで公開されたショートフィルム『アンブロークン・グラウンド』(邦題:未開の領域)。パタゴニアプロビジョンズを象徴する作品となっている。

 食の分野に乗り出したパタゴニア。食はアウトドアのマーケットとは比べものにならないほど大きく、自然環境に対する影響力は計り知れない。しかし、その挑戦的な試みに対し、いちアウトドア愛好者として、応援しエールをおくりたいとも思う。

一杯のビールからその向こうになにを見るか…。
などと難しいことを考えていたら、グラスはすでに空っぽだ。注文の際は、ワンパイントサイズをオススメする。

PDX TAPROOM(ピーディーエックス タップルーム)
東京都渋谷区神宮前5-30-2 2F
電話03-6450-5455
営業時間:月−金 15:00〜23:00、土日祝日 12:00−23:00
※いまなら期間限定で、パタゴニアプロビジョンズのワイルドサーモンを使ったメニューも展開中。(※ビール、フードともになくなり次第終了)

 

 
 
ライター
A kimama編集部
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