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カニ食べ行こう〜♪いや、むしろ獲りに行こう。カニ網もって。

2016.09.29 Thu

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者


 キノコ、木の実、回遊魚……。野に山に海に、旨いものが溢れかえる秋。狩猟採集系アウトドアズマンは寝る間も惜しんであちこちへ繰り出しているのではないでしょうか。

 数あるフィールドのなかでも、今とくにアツい遊び場が海(もう涼しいけど……)。どういうわけか、9〜11月は浅瀬にたくさんの魚介類が接岸するのです。

 夏までは魚よりも釣り人のほうが多かったしょぼい防波堤にもイワシやアジが押し寄せ、それを狙う大型の回遊魚も岸から数10mのところまでやってきます。

 そして、この時期に「ちょい投げ」(本格的ではなない投げ釣り)に出かけるなら、忘れてはいけない獲物がワタリガニ類。海で通年見られるカニですが、この時期には浅瀬に大挙してやってきます。

 ワタリガニといえば蒸してもパスタにしても美味しいカニ。買えばそこそこのお値段がしますが、自分で釣れば好きなだけ食べることができます。いいタイミングでいいポイントに入れば、1時間で4〜5匹釣れることも。

 釣り方は「カニ網」という仕掛けに餌をつけて放り込んでおくだけ。技術は求められない釣りなので、ポイントさえ間違えなければ初心者でも楽しめます。

 それでは、魅惑のカニ釣りのご紹介です!

カニ釣りってなんだ?
カニ釣りは釣りといっても鉤を使いません。正確には「カニ絡ませ」。餌のまわりに網を配置し、餌を食べに来たカニがそれに絡むのを待つというのんびりした漁法です。アタリが出ることはまれ。引きあげてみたらカニが引っかかってたという感じの、盛り上がりにも釣趣にも欠ける釣りですが、獲物はとびきり美味!

カニ網を作ろう

釣具店に行けば専用の「カニ網」が700〜800円で売られていますが、自作すればひとつ100円程度の原価で製作することができます。自作にあたっては防鳥ネットと、生ゴミの水切り袋、オモリ15〜30号、ヨリモドシ、安全ピン、適当な太い糸を用意しましょう。釣具店とホームセンターに行けば全て手に入ります。


防鳥ネットは70cm四方程度の大きさに切り出し、数枚を重ねます。そして、網の中心辺りをむんずとつかんで糸で束ねます。


その糸の下側にヨリモドシを使って水切り袋の底側をセット。網の上側に出ている糸にはオモリを通します。


形を整えれば完成。餌を入れる袋の周りに網がかぶさっていることが重要です。「餌袋の周りを網が覆っている」形状になっていないと、カニが網に絡みません。

カニ釣りのポイント
絡ませて獲るというその性質上、海底が砂地の場所でしかカニ網は使えません。もしも磯で使ったなら、一撃で岩に絡めて仕掛けをロスト! その後は海中であらゆる生き物を捕殺し続ける凶器になってしまうので、必ず砂浜だけで使いましょう。ワタリガニ類は外海に面した砂浜にもいない訳ではりませんが、どちらかといえば塩分濃度の若干低い内湾や、大きな川の河口周辺に多く見られます。めざすべき釣り場はGoogleが教えてくれます。「ワタリガニ ○○県」、「ガザミ ○○県」といった語句で検索をかければ、無邪気な釣り師たちがネットに残した情報がザクザク出てくるので、ポイントはすぐに見つかるでしょう。ネット上の情報を利用しておきながらアレなのですが、本当は生物の採集ポイントをネット上に残すのはご法度です。採集者を集中させてそのポイントや生き物を壊滅させてしまうかもしれないからです。

 
ワタリガニ実釣編


アタリもへったくれもないカニ釣りは、使う道具を選びません。安竿に安リールをつけ、道糸に仕掛けを結んだら準備OK。適当な場所に投げこみましょう。ついつい遠くへ投げたくなりますが、ワタリガニ類はだだっ広い砂地よりも構造物の近くを好みます。まずは足元から探りましょう。日中でも釣れますが、夜間のほうがよく釣れます。


カニ類の特効餌は青魚類と回遊魚。イワシやサンマ、カツオやマグロのワタや血合いなどが特に効きます。白身魚ではかなり分が悪くなってしまいます。餌袋に切り身を入れて安全ピンで閉じたら、餌袋を覆うように網を整えていざ投入。


竿はできれば3本程度用意したいところ。投げ込んだら20分に一度くらいの頻度で網を引き上げて、カニがかかっていないか確認しましょう。釣れたカニはメッシュの袋に入れて海中に吊り下げ、撤収時まで生かしておきます。カニは非常に足がはやい生き物。築地には「カニは時間に食われる」という言葉もあるそうです。死んだとたんに急激に味が落ちるのはもちろんのこと、生きていてもストレスがかかると味が悪くなってしまいます。釣り上げたらできるだけリラックスした状態で生かし、可能なら持ち帰る際もエアポンプで生かしておきましょう。家に着いたらささっと料理するのが美味しく食べるコツです。


釣れたカニ。これは撮影用にバケツに入れたもの。バケツでのキープはカニを弱らせ、まずくしてしまいます。


カニ網で釣れる一般的なワタリガニ類。左列はタイワンガザミ。上がオスで下がメス。中列上はイシガニ。中列下はガザミ(ワタリガニ)のメス。右列はオニヤドカリ。ガザミ>タイワンガザミ>イシガニの順で美味(※個人の感想です)。オニヤドカリも味噌汁の実などにして美味。


ワタリガニを食べよう!


蒸し、塩茹で、汁物は大定番。もちろんパスタにしても美味。カニそのものを楽しむなら蒸して黒酢と醤油と和からしのタレにつけるのがおすすめです。プーパッポンカレーのような、エスニックな味付けも良く合います。そして、自身に責任のとれる大人だけが楽しめるのが、生のカニを醤油ダレに漬ける「自家製カンジャンケジャン」。甘辛のねっとりした身は風味絶佳。本場韓国での異名が「飯泥棒」であるのもうなずける一品です。ワタリガニ類は海産なので、ジストマのなどの寄生虫は大丈夫といわれていますが、汽水域などで釣れたものは絶対安全とは言い切れません。また、生食では海水中の菌よる食中毒の可能性もありえますので、実食にあたっては自己責任で!

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