• 山と雪

この夏の山岳遭難トップは、「道迷い」。長野県では新たな傾向が。

2016.10.03 Mon

 Akimamaでも北海道・旭岳では紅葉の見ごろを迎えているとお伝えした。いよいよ10月に入り、紅葉シーズン本格到来。本州でも標高の高い地域は色づきはじめ、具体的に山行計画を考えるころ。秋山を目前に、いまいちど気を引きしめて山にのぞみたい。

 9月9日に警視庁が発表した「平成28年夏期における水難・山岳遭難発生状況について」の山岳遭難の項をあらためて見てみる。「平成28年夏期における水難・山岳遭難発生状況について」とは、7月から8月の2ヶ月の統計だ。

ことしの夏期山岳遭難発生件数は660件、遭難者数は753人(うち死者・行方不明者は48人)にのぼっている。発生件数は、昭和43年以降でもっとも高い数値で、過去5年間を見ても増加傾向にある。

山岳遭難には、山菜採りや狩猟など登山以外の目的で山に入る人も含まれているが、登山目的は全体の81%を占める。そして、多かったのは道迷いの25.5%。道迷いは過去5年間を見ても、平成25年以外はつねにトップにある。

 道迷いに次いで、転倒、病気、滑落、疲労などと続いていくが、上位にあるのはほとんどが登山者自らが招いてしまう内的要因といえるだろう。つまり、意識を持って取り組めば、未然に防止できるのではないか……。

無理のない登山計画(登山計画書の提出)や十分な装備の準備、天候の判断、といったことは、基本中の基本ともいえるが、当たり前と思っていることもしっかりていねいに確認していきたい。

 トップで毎年推移している道迷い。道迷いは、山に入る人なら誰にでもおこりうる。警視庁の報告書には、「地図、コンパス等を有効に活用して、常に自分の位置を確認するよう心掛ける」との記載がある。山中で「いま自分はどこにいるか」をつねに意識し、把握していることは、とても重要だ。

とくに注意したいのは、一度行ったことのある山。つい地図を見ずに、記憶に頼った歩き方をしてしまうもの。でも、記憶ほど曖昧でいい加減なものはない。季節が移れば、景色の見え方も変わってくる。何度行っても、初心忘れるべからず!思い込みは禁物だ。そして、低山は地図にはない道が多くはしっていることが多く、標高が低いからといって決して侮れない。

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 そして、「平成28年夏期における水難・山岳遭難発生状況について」の都道府県別を見ると、長野県の107件がもっとも多かった。さらに長野県内の発生状況(平成28年1月1日~9月25日、長野県警発表)の詳細を見ていくと、30代男性の遭難数が60代、50代に次いで3番目。新たな傾向が出てきている。様態は、転落・滑落が35.3%、転倒25.4%、道迷い12.9%と続く。

数字が示す現在の登山状況。楽しい登山には、十分な準備と正確な判断が求められる。紅葉シーズンも、安全で楽しい登山を心がけたいものだ。

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