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「TRANS JAPAN ALPS RACE」 超人たちの足跡と日本アルプスの壮麗な自然を記録した 山岳写真集『TJAR』が完成

(2017.08.09)

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 「お帰り!」
 静岡県の大浜海岸に、多くの人の温かい声が飛び交った。
 2016年、「トランス・ジャパン・アルプス・レース(TJAR)」第8回大会。累積標高差27,000m、総距離415kmという旅路を経て、フィニッシュゲートへと向かう“Mr.TJAR”望月将悟を出迎える声援だった。
 日本海富山湾、早月川河口を出発し、日本アルプスを縦走の末、太平洋駿河湾へとゴール。ウルトラ山岳超人レース「TJAR」前人未踏の四連覇! とてつもない偉業を望月将悟が達成した。
 2010年第5回大会から6年間、望月は覇者の座を守り続けていた。そこにはとてつもないプレッシャーがあった。全力を出せば連覇を果たせるほど甘くはない。勝負への思いが強いほど、誤った判断をしてしまうかもしれない。ひとつ判断を誤れば、生死にも関わりかねない。山ではつねに冷静な判断と適確な行動が求められる。
 平時は消防士、緊急時には山岳救助隊員という職務に就いている望月にとって、「TJAR」という舞台を走ることは、アスリートとして走ること以上の意味を持っていた。
 三連覇を成し遂げた2014年大会、それまで望月は、「誰かのために」走っていた。応援してくれる仲間、サポートをしてくれるメーカーや関係スタッフ、仕事をフォローしてくれる職場の人々……、望月を支える多くの人を思い、望月は走り続けてきた。だが、四連覇のかかった2016年、望月は出走することを迷っていた。「誰かのために」。そう思って走れば、判断を誤ってしまうことがあるかもしれない……。
 そんな迷いを吹き飛ばしてくれたのは仲間の言葉だった。望月の思いを察してか、「やっちゃうんだ、だったらもう自分のために走ってよ。途中でさぁ、疲れちゃったら辞めちゃいなよ」。「あ、それでいいんだ」。気持ちが吹っ切れた。「すべては“自分”のために」。ひとつ間違えれば、誤解されかねない言葉。だがそこには、望月の潔い思い、誰かのため以上の思いが込められている。
 そして、2016年夏、望月は「TJAR」に出走する。レース終盤、望月の地元である南アルプスに、いつものように多くの仲間が駆けつけていた。これまでとは何かが違っていた。応援する誰もが望月の優勝と四連覇を願っていたが、その思いを口にすることはなかった。望月がベストを尽くし、無事帰還することだけを祈っていた。暗黙のうちに勝負に関する言葉が封印されていた。
 スタートから4日23時間52分後、望月がフィニッシュゲートに姿を現した。大浜海岸に多くの仲間の言葉が響き渡った。最高の祝辞だった。

世界に先駆けたウルトラ山岳レースと写真集『TJAR』

 富山県早月川河口をスタートし、番場島より剱岳を目指す。日本アルプスの主要峰ほぼすべてを踏破し、静岡県大浜海岸にゴールする。総距離415km、累積標高差27,000m、制限時間8日間という途方もない超人レースが「TJAR」だ。本レースを企画実施したのは、現代スピード登山(縦走)の第一人者ともいえる岩瀬幹生氏。日本海から太平洋まで独自の横断ルートを開拓し、踏破記録を山岳専門誌に投稿。いくつものオリジナル・ルートを踏破したのち、現在の「TJAR」のコースを確立した。
 本場、ヨーロッパ・アルプスを舞台に繰り広げられる「トル・デ・ジアン(巨人の旅)」(総距離330km、累積標高差24,000m、制限時間150時間)第1回大会が開催されたのが2010年。「TJAR」が始まったのは、現在世界最高峰ともいわれる山岳ウルトラレース「トル・デ・ジアン」開催の8年前となる2002年。日本国内では、トレイルランニングという言葉すら耳慣れない時期のことだった。
 そんな「TJAR」を追いかけ続けていた藤巻翔を始めとした同世代の4人の写真家、小関信平、後藤武久、宮上晃一の作品により形を成したのが、本写真集『TJAR』だ。オールカラー160ページ、布貼り・ボックス付き、「TJAR」の総距離415kmにちなんだ刊行部数限定415部、1冊ずつにシリアルナンバーと著者4人の直筆サインが入る。
 先に紹介した望月将悟のトピックは、「TJAR」の1シーンに過ぎない。こうしたエピソードがふんだんに詰まった4人の写真家の作品、合計139枚によって構成された写真集『TJAR』は、山岳ウルトラ超人レース「TJAR」の過酷さと魅力を凝縮している。
 最後にもうひとつ、「TJAR」を象徴する言葉を付記しておきたい。
“「TJAR」、これはレースではあるが勝負ではない”

☆写真集『TJAR』出版記念イベント
8月11日(金・祝)10時より開催

 本イベントでは、写真集にも掲載している日本アルプスの壮大な風景や人間ドラマを切り取った写真を多数展示。また、「TJAR」出場選手のトークショーや「TJAR」に関する質疑応答をはじめ、4人のフォトグラファーによるトークイベント等も行なう予定。当日、会場にて写真集はもちろん、展示写真のご購入も可能です。
入場無料、ご予約も不要!

 どなたでもお気軽にご来場ください。

【会場】
ビクトリノックス・ジャパン株式会社 1F ショールーム
東京都港区西麻布3-18-5
東京メトロ六本木駅から徒歩12分

【イベントスケジュール】
10:00 オープン
10:30 著者あいさつ&トークショー
12:00 選手・主催者トークショーPart1
13:30 TJARについてQ&A
15:00 選手・主催者トークショーPart2
16:00 終了(入場は15:00まで)

なお、会場ではビクトリノックス社の1800年代から続く歴代マルチツールをご覧いただけます。
また、自家用車でご来場の際は近隣のコインパーキングをご利用ください。

【問い合わせ】
tjar.photographer@gmail.com
【写真集『TJAR』インターネット販売】
https://tjarphoto.thebase.in

 
 
ライター
A kimama編集部
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