【イベントレポート】自転車旅のワクワクが満載。自転車とキャンプをテーマにした旅フェス「BIKE & CAMP FES 2020」

2020.11.05 Thu

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

 去る10月31日・11月1日に開催されたBIKE & CAMP FES 2020にお邪魔してきました。

 BIKE & CAMPは、自転車とキャンプをテーマにした「旅フェスティバル」。自転車旅にまつわる自転車本体、パーツ、バッグ、テントやキャンプギアなどが展示・販売され、ワークショップやトークショーなども開催されるということでバイカーはもちろん、キャンパーにも人気のイベント。2017年から2019年まで三重県いなべ市にある青川峡キャンピングパークで開催され、2019年11月には会場を茨城県かすみがうら市に移し、そして本年2020年は茨城県つくば市での開催となったそうです。

 このイベントの発起人であり運営を取りまとめているのは、アウトドア系雑誌などでもお馴染みのファッションモデル山下晃和さん。ご存知の方も多いと思いますが、ご自身も海外を自転車で旅された経験もあり2013年には「自転車ロングツーリング入門(実業之日本社)」という本も出版されていますね。山下さんへのインタビューは記事の後半に掲載しますが、まずはイベント会場の様子をお伝えしたいと思います。

 今回の会場は筑波山の麓にある「つくばワイナリー」の敷地内に設けられた特設会場。出展エリアとバイクキャンプエリア、オートキャンプエリアに分かれていて、オートキャンプエリアは即完売となっていました。

​こちらがバイクキャンプエリア。停められているバイクもみんなオシャレ
 この日は雲ひとつない、まさに秋晴れキャンプ日和。開場時間の10時には多数の来場者が列を作っていました。エントランスで検温と手指消毒、陽性者接触確認アプリへの登録を済ませて入場。

 まずは場内の自転車関連、アウトドア関連出展ブランドのブースをぐるりと拝見。最近バイクパッキングにはまっている私にとってはあちらこちらに気になるモノがたくさん。全部は紹介しきれませんが、写真でその模様をどうぞ。

奥に見えるのが筑波山。ワイナリーの敷地内ということで、この会場もこれから葡萄畑になるそうです

耐熱クロスを使った焚き火台がお馴染みのモノラルのブース。チタンのバイクフレームも発売中です。これから発売予定の新作焚火台で重さわずか100gという「ワイヤーフレームフェザー」を先行販売されていたので即ゲットしてしまいました! 使用感などは後日レポートします

パーゴワークスはニンジャタープやニンジャテントを展示。これから発売予定のニンジャシェルターも展示されていました

バイクパッキングには軽量テントが必須。ゼログラムの各種テント

自転車用バッグの代名詞といっても過言ではないドイツの防水バッグブランドのオルトリーブ。筆者もドライバッグを愛用中

イギリス製折りたたみ自転車のブロンプトン。こちらも大人気ですね~

外国人の来場者もチラホラ。マリンバイクスのブースで自転車を見て"So Cool! Awesome!"と言ってましたが、あなたのスタイルもSo Cool!

モンベルもバイクパッキングに力を入れてますね。ムーンライトテントと各種パニアバッグを装備したシャイデック

クワハラバイクワークスのブース。こちらはポールの代わりにエアピラーでフレームを作るÜPONというビビィテント。気になる

 この他にも気になるブースが多数。アウトドア、サイクルブランドの出展ブース以外にも、地元のJAの直売ブースや、クラフト地ビールなどを販売するブースも出ていて、地域密着型のイベントになっていました。

 また昨今話題のeバイクの試乗会や、子どもを対象としたグラベルライド体験会も開催されていました。足をつかずにどれだけ乗っていられるかを競う遅漕ぎ大会など、見ていてほのぼのしました。

 この日のゲスト陣はイラストレーターこいしゆうかさん、我らがチュンチュン小雀陣二さん、そして水道橋BASE CAMPのA-SukeさんとAkimamaでもお馴染みの面々。

小雀さんのワークショップはワンバーナークッキング。今回作ったのは「とろとろ茄子うどん」

A-Sukeさんは焚き火のワークショップ

トークショーでは、各ゲストのバイクをつかってのアウトドアスタイルなどを紹介

 イベントの発起人、山下さんにこのイベントを立ち上げた経緯、これまでの取り組みなどについてお聞きしました。

─ BIKE & CAMPが生まれたきっかけは?

 BIKE&CAMPは2017年にスタートしました。当時は今よりももっと自転車でのキャンプツーリングが下火になっていたこともあり、自分が培ってきた海外自転車旅をもっと拡める方法を模索していました。
 雑誌で旅記事の寄稿、トークショーや講演会、書籍の発売、SNSなどの発信でそれをやってきたんですが、もっと伝えていくためにはイベントという形でツーリング専用の自転車やバック類、テント類を体験できる空間を作るほうがダイレクトに響くのではないかということで東海でスタートしました。

─ このイベントでの山下さんの役割は?

 僕はイベントの発起人でもあり、自分も自転車でのキャンプツーリングを愛しています。ですが、モデルという仕事柄、個々のメーカーとの強い関わりが持てないため運営スタッフの一員として裏方に徹しているつもりです。
 今回の主催者はプレイアトレ土浦さんなので、僕は雇われ店長みたいなものですね。スタッフがやりたい企画を具現化するのも僕の役割です。

─ このイベントは三重で始まり茨城に移ったわけですが、その経緯は?

 もともとは、東海地区にある三重県の青川峡キャンピングパーク でスタートしました。僕が以前、自転車雑誌のキャンプツーリング連載を書いていた時にそこに宿泊して鮮明に覚えていたのがきっかけで、再度、アウトドア雑誌の取材で訪れた2016年にキャンプ場にその情熱を伝えて、実現に至りました。
 自転車メーカー、アウトドアメーカーは関西に多いので東海地区なら関西から近いですよね。それと東海地区には自転車だとMTB、アウトドアはBBQの文化はあったんですが、自走してキャンプツーリングするという文化がほとんど皆無だったのが理由です。やりがいがあるなと。
 バイクパッキングという新しいツーリングスタイルやUL(ウルトラライト)の進化によって関東近県ではにわかに流行りはじめていて、もちろんアメリカでは定着していたので東海地区でスタートすることに面白さを感じていたのは確かです。
 昨年、関東でやろうと思ったのは、周りからのプッシュがあったからです。東海地区でやっている素晴らしいイベントをぜひ関東でもやってほしい、と。それに、ちょうど土浦駅に「プレイアトレ」という自転車乗りのための施設ができたこともあり、茨城県でやってほしいと頼まれたのも大きな理由ですね。

─ かすみがうら市やつくば市はサイクリングに力を入れているようですが、行政的な支援もあるのでしょうか?

 茨城県でやるようになってから、かすみがうら市からも、つくば市からも、大元の茨城県からもイベントのサポートはしていただいています。行政的な取り組みとしては、僕自身は直接的に関与していないのですが、りんりんロードという筑波鉄道の廃線跡のサイクリングロードがあって、その周辺でイベントをやれるのがベストだとは考えています。今回のつくばワイナリーもそのひとつです。イベントで爆発的に人が来るよりはもう一度行きたくなるような仕掛けをしたいと思っているので、キャンプ(2日間)を入れています。

─ イベント内でチャリティー的な取り組みもされているようですが、具体的にはどんな活動を?

NPO法人 海外に子ども用車椅子を送る会」への寄付金を毎回集めてお渡ししています。ヘルメットのレンタル代、チャリティーオークション、薪の売り上げを全て寄付にしています。これは自分が海外を自転車で走った中で、いろいろな人にお世話になったアジア、中南米への恩返しと、自転車乗りが楽しみながら社会貢献できるイベントにすることで、他のイベントと差別化できている点だと思っています。それと、実行委員のメンバーでこのボランティア活動にも行っています。車椅子は自転車とほぼ同じパーツなので、自転車乗りなら直せるんです。

─ 今後の予定や展望について何かあれば。

 東海地区で3回やり、関東地区で2回やったので、もう1回は関東地区でやりたいと思っています。霞ケ浦ではサイクルクルーズという船があるのですが、それをもっとベネチアのようにたくさん通して、しまなみ街道のようにしたいですし、霞ケ浦の湖畔沿いにもっとキャンプ場を増やして、自転車乗りがレジャーとして楽しめる茨城にしたいとは思っています。
 また今後は関西地区、九州地区、東北地区でもいずれやってみたいとは考えています。いつかは、台湾でもやれたらいいなあと。台湾も自転車国家なので。
 とはいえ、これは僕ひとりの力では到底無理なので、自治体やローカルのみなさんと協力して、旅のイベントとしてサイクリストを招きたいとは思っています。
 このイベントは自転車イベントでもアウトドアイベントでもなく、旅イベントでありたいので、次の開催地がどこになるのかは僕にもわかりません。実行委員メンバーが旅先として行ってみたいと思う場所がそこになると思います。

 インタビューを通して彼の熱い想いや人柄の良さが伝わってきます。ふと、若い頃に教わった「情熱が人を動かす」という言葉を思い出しました。

 ゲストによるトークショーが終わり、チャリティーオークションが始まる前に、なんと打ち上げ花火まで。しかもブルームーンとの共演! ソーシャルディスタンスをキープしながら焚き火を囲み、冴え冴えとした満月と花火を愛でる。来てよかったとしみじみ感じました。

 残念ながらこの日は日帰り取材となってしまい、ワイナリーのワインを堪能したり、チャリティオークションには参加できずでしたが、次回開催の折には絶対バイクキャンプで参加したいと決意して会場を後にしたのでした。
 自転車旅に興味がある方は、ぜひ次回の開催に足を運んでみては?

【イベント詳細】
BIKE & CAMP FES 2020 自転車ツーリングフェスタ
開催日程:2020年10月31日(土)・11月1日(日)
会場:つくばワイナリー
来場者数:3,564名

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