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そこには峡谷とキャンプ場あり。四国の秘境にクラフトビール醸造所が誕生!

2020.12.04 Fri

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー


 キャンプ場から約500mにクラフトビールの醸造所が、そんなビール好きキャンパーにはたまらぬ状況が四国の秘境に出現しました。グランドオープンは11月1日、場所は仁淀川の支流で、深いV字谷の中津渓谷の少し上流。青く透明な渓流のそばにポツンとある小さな醸造所が「ムカイクラフトブルーイング『BLUE BREW(ブルー・ブリュー)』」です。
中津川のそばの林にポツンとあるムカイクラフトブルーイング「BLUE BREW」。「BLUE BREW」の少し下流にある中津渓谷。Akimama2020.09.04 Fri配信記事では、ここでキャニオニングツアーをしている「仁淀アドベンチャー」をレポートしています。「BLUE BREW 」から徒歩5分ほどで「夢の森公園キャンプ場」。炊事棟とトイレあり。キャンプサイトはやや傾斜している。雨の後は少しぬかるみやすい。有料。予約や問い合わせは山村自然楽校「しもなの郷」へ。
 運営するのはケネス・ムカイ、正子さんご夫妻。ケネスさんは生まれも育ちもLA(ロサンゼルス)で、あちらの大学を卒業後は隠岐の島(島根県)でALT(外国語指導助手) を2年間していたという経歴の持ち主。LAで化学と物理の高校教師を20年以上務めながら、毎週末には趣味でビールを醸造していたそうです。
ケネス・ムカイさんと、奥さんの正子さん。
 しかし、ひょんなことから高知県の知人の熱意に巻き込まれ、さらにはここ仁淀川町の湧水のすばらしさもあり、ケネスさんは一念発起しました。

「僕は化学の先生ですから、自分で科学的にこの地域の水を分析しました。日本の大学で博士をしている友達にもこの水を送って、調べてもらいました。こんなきれいな天然の水、世界でもあまりないと思います」
「BLUE BREW」の醸造所にて。
 この地域(仁淀川町下名野川地区)の水は本当にきれいなので、どんなスタイルのビールもつくれるとケネスさん。

「醸造にあたって、とてもきれいな水が必要なのは『ピルスナー』ですが、もちろんここの天然水でつくれます。そして、この天然水にミネラルを足すなどをしてコントロールすれば、いろんなスタイルのビールがつくれるというわけです」
いろいろ試したい人は、本日の試飲グラス4種セット(1200円)がおすすめ。
 ところでこのビールに使われるすばらしき湧水は、昔から地区の人たちの飲料水。

「これって、すごく恵まれていますよね」

 過疎で不便、しかし視点を変えれば贅沢な秘境の暮らしはケネスさんの心をとらえているようです。

 その想いは、クラフトビールの名前にも。仁淀川町産のサツマイモを副原料にした黒ビール(スタウト)は「17」と名づけられていますが、この数字は仁淀川町の人口密度(2015年の16.7人/㎢)であり、いつか「18」を醸造する宣言でもあるようです。
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「おいしいクラフトビールをつくってみんなに届けることで、いろんな人がこの地域に興味を持って、集まって、さらには移り住むようになって、少しずつでも仁淀川町の人口が増えたら、なにか新しいことが起きたらと、この醸造所をやっています。だから18が誕生したら、夢がひとつかなったことになるでしょうね」
「BLUE BREW」のタップ。取材したときのビールは4種類でしたが、将来はタップの数の種類のビールを醸造するつもりだとか。
 すばらしい天然水、山椒や生姜など仁淀川町産の副原料、そして化学者の探求心と地域への想いから生まれたケネスさんのクラフトビール。四国をアウトドア旅するならぜひ立ち寄り、のんびりとキャンプしながら喉を喜ばせてください。

■ムカイクラフトブルーイング「BLUE BREW(タップルーム&醸造所)」
facebook https://ja-jp.facebook.com/Mukaicraftbrewing/
instagram https://www.instagram.com/mukaicraftbrewing/
HP(英語のみ) http://mukaicraftbrewing.com/

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

四国の瀬戸内海暮らし。仕事は自然・旅系ライター&フォトグラファーで、生きかたはバックパッカーでリバーランナー。著書はラフティングガイドたちの1年を追った『彼らの激流』(築地書館)。

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