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気候危機に対するアウトドア産業界からのアクション CAJが大同団結を呼びかけるOCACを設立

2020.12.09 Wed

 2020年12月8日、一般社団法人コンサベーション・アライアンス・ジャパン(Conservation Alliance Japan)が、日本のアウトドア産業に関わる事業者らと協働で、気候危機に対して積極的な行動を呼びかける「CAJ-アウトドア気候アクション・コレクティブ/CAJ-Outdoor Climate Action Collective」(以下OCAC)を立ち上げることを発表しました。

 多くの科学者が確信を持って断言しています。10年以内に容赦のない気候危機が、私たちの環境や社会に壊滅的な影響をもたらすと。しかも、その壊滅的な影響は日本のアウトドアの世界でも、すでに起こり始めています。今年は新型コロナウイルスの感染拡大のなか、アウトドアを楽しむ機会が例年に比べて少なくなったとはいえ、フィールドに頻繁に出かけているアウトドアユーザーの皆様は、気候変動の影響を目の当たりに実感していることだと思います。

 私たちがアウトドアで目撃した状況を裏付けるように、ドイツの環境NGO「ジャーマンウォッチ」は、2019年12月に公開した台風や洪水などの気象災害の影響をランク付けした報告書「世界気候リスク・インデックス」2020年版の中で、日本を世界183カ国でワースト1位としました。

 そうした気候危機による影響は、フィールドへの直接的な影響だけでなく、アウトドア製品のサプライチェーンや市場にも混乱を引き起こしています。未来に対する不確定要素は多分にありますが、その影響はユーザー、特に将来の世代にも及ぶことでしょう。そんな現状のなか、ひとつ確実に言えることは、気候危機がさらに深刻化した場合、予想される最悪の影響を食い止めるのに「私たちには限られた時間しか残っていない」ということです。

 そこで、設立から20年以上にわたり、アウトドア・フィールドでもある日本の自然環境の保護と回復に取り組むNGOやNPOに資金提供をしてきたコンサベーション・アライアンス・ジャパン(CAJ)が発起人となり、アウトドア産業に関わる企業が競合を超え、気候危機に対して積極的に行動することを促進し、かつコレクティブ(集合的)なインパクトを創出することを目的とするイニシアティブ(戦略)、「アウトドア気候アクション・コレクティブ/Outdoor Climate Action Collective」(OCAC)を設立。これはアメリカのOIA(outdoor industry association)で展開するClimate action Corpsを参考に、日本のアウトドア産業に関わる事業者に広く参画を呼びかけるもので、多くの賛同企業が集まることで、短期間でより実効性の高い成果を上げることを目的としています。

 OCACでは、研究者やアスリート、NGO/NPOと協力して、気候変動に対する科学的で実証的な裏付けのある情報提供などを行ない、正しい知識とフィールドの現状への理解を深め、それぞれの事業者に対し、以下のような5つのプログラムを中心に、具体的な取り組みや行動を呼びかけていきます。

【正しい知識と情報の提供】
 気候変動の現状やアウトドア・ビジネスとの関係を科学的に理解するための勉強会やセミナー、ワークショップなどを開催

【ベストプラクティスの共有】
 参加企業同士による温室効果ガス排出削減に向けた取り組みのベストプラクティスを共有する機会の創出

【アドボカシー活動】
 独自または外部組織の主導によるイニシアティブへの参加を通じ、気候変動に関する政策決定者や自治体への働きかけ

【アウトドア・ユーザーのエンゲージメント】
 CAJの助成先やアウトドア・アスリートと協力し、気候変動アクションにアウトドア・ユーザーをエンゲージメントする機会の創出

【インパクト削減支援】
 参加企業がサステナビリティ戦略を立案、実行し、カーボン・フットプリントを削減するための有償サポートを検討中

 私たちがこれからもアウトドアを楽しむためには、健全な自然環境がなくてはなりません。アウトドア業界そして、アウトドア活動の最大の脅威が気候危機なのです。気候危機に対してはメーカー、小売店、施設サービスなど、あらゆるレベルにおいて、大胆な行動変容が必要であり、今までのビジネスのあり方をも変えなければなりません。しかし、それぞれの企業、特にリソースが限られている中小規模のビジネスが単独で気候変動対策を計画し、今までのビジネス慣習を早急に変更することは非常に困難な作業です。

 そこでOCACでは、以上のようなプログラムを通し、各社自らが温室効果ガスの排出を自覚し、排出削減に向けた実効性のある取り組みを促進していくサポートをします。それは、2020年11月に政府から公表された「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」の達成に向け、より望ましい手段となるもので、アウトドアフィールドでもある重要な炭素吸収源となる森林や草地などが保全、修復、維持され、生命力あふれる自然の中で誰もが生き生きとアウトドアを楽しむことのできる豊かな未来社会へとつながるのです。

 OCACの参加対象企業は、すでに創設メンバーでもあるCAJ加盟企業以外のあらゆるアウトドア関連企業が対象で、これから賛同企業を募集していきます。自然学校やガイドなど、各種団体や個人事業主は登録できますが、個人は対象外となります。参加を希望する企業はCAJのHPから詳しい資料をDLしてメールにてお申し込みください。

 OCACはCAJ設立20周年を節目とした長期的戦略でもあり、運営窓口は当面CAJ事務局内に置かれます。そして、これまで同様にアウトドア・フィールドの保全に取り組む非営利団体を支援するCAJ「アウトドア環境保護基金」と緊密に連携して、気候変動の緩和・反転に寄与する森林や草地などを保全するプロジェクトを支援していきます。
 また、OCAC設立に関する詳しい経緯や目的、ビジョンなどについては、12月17、18日にオンラインで行なわれるアウトドア・イノベーション・サミット(OIS)のなかで『アウトドア業界から気候変動アクションを』と題した詳しい説明があるので興味がある方はぜひ参加してみてください。OISには小泉進次郎環境大臣の出演も決まり、アウトドア業界にどんなメッセージを寄せてくれるのか、こちらも注目です。

*参加を検討の方はコチラ
●一般社団法人 コンサベーション・アライアンス・ジャパン
(Conservation Alliance Japan)

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