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【山ヤの子育て】親子登山2座目・子どもの快適さを徹底追求

2019.02.26 Tue

まつだ しなこ 子連れハイカー

 山好きの親なら一度は夢見る親子登山。何歳から連れていけるの? どこの山がいいんだろう? など悩みが多いと思います。そんな悩みを解決するべく、現在0歳児の子育て真っ最中で、子どもとの登山も楽しんでいる「まつだしなこ」さんに親子登山について書いてもらいました。



子連れ登山の最大の懸念

 去年の春にわが家に生まれた娘は、生後8ヶ月で冬山デビューを果たした。

 初めての子連れ登山は、山ヤ夫婦に新しい山の楽しみ方を教えてくれ、私たちはすっかりその魅力に取り憑かれてしまった。しかし、いっぽうで子連れ登山について不安に感じることがある。それは、あまり小さいうちから山に連れて行くと、山嫌いになる……という噂をところどころで聞くことだ。

「娘が山嫌いになったらどうしよう。」

子連れ登山をめざす山ヤ夫婦にとって、これは最大の懸念といえるだろう。

 私たちは、山を大好きになってもらうべく、0歳児にとっての登山をいかに快適にするかを追求し、2座目をめざすことにした。

今回登ったのは奥多摩の三頭山(みとうさん)。冬山なので深緑や紅葉などの景観は楽しめなかったが、登っていても暑くなることなく、気持ちいい登山となった。


冬山登山を快適にするオススメのグッズ

 赤ちゃんにとって冬山における敵は寒さだけではなく、乾燥も深刻な問題である。赤ちゃんの肌は大人の肌よりずっと乾燥しやすいのだ。1座目の高尾山では、なにも対策をしなかったため、娘のむき出しのほっぺたは、たった3時間の登山で、真っ赤になってカサカサにひからびてしまっていた。乳幼児用保湿クリームは、冬山を快適にすごしてもらうために必須アイテムである。わが家では、ベビーワセリンを愛用している。サイズが小さく、かなり固めのジェル状なので、厚めにほっぺたに塗っておけば、お肌をしっかり乾燥からガードしてくれる。“厚め” の目安は、ティッシュがくっついて落ちないくらいベッタリがいいだろう。


子連れ登山、2座目は設備充実の三頭山

 子連れ登山の2座目に選んだのは、三百名山にも選ばれている、奥多摩・三頭山。檜原都民の森(ひのはらとみんのもり)から入山し、鞘口峠(さいぐちとうげ)→三頭山山頂→大沢山と大きく周回し、約3時間で下山できるルートを選んだ。登山口までのアクセスは車かバス。駐車場は広く、登山口にきれいなベンチとテーブルがあるので、登山の準備をゆっくり整えることができる。

 登山口から10分ほど歩いたところには、森林館という大きな建物があり、入場無料で誰でも利用できる。この森林館は大変便利な施設で、授乳室とオムツ替えコーナーが完備され、さらに、あたたかい畳コーナーもあり、お茶まで無料でいただける。(オムツは持ち帰りなので、オムツ袋を忘れずに)

檜原都民の森の入り口。森林館までは舗装されているが、そこからは山道となる。

 ここでオムツを交換し、軽く授乳をしていざ出発。登りは本格的な山道でところどころ急登もあるが、ザレ場や倒木などもなく歩きやすい。相変わらず自然の空気のなかでリラックスした娘は、あっという間に眠りに落ちた。よほどベビーキャリアの乗り心地がよいのだろう。

 1時間半ほどで山頂に到着。途中、休憩する場所はないので一気に登りきった。山頂は広く、しかも高尾山ほど混んでいないので、ここにシートを敷いて子どもを寝転ばせ、おやつタイムにした。高尾山の反省を活かし、山頂での授乳をやめ、しっかりと登山口で腹ごしらえしてきたので、娘も寒さに負けずすこぶる上機嫌である。

三頭山の山頂。百名山の雲取山など、奥多摩の山々が一望できる。

 下りは若干急登で、小さい石がコロコロ転がっているため、重心が上にくるベビーキャリアを背負いながら歩くのは、ふだん100ℓザックを背負う夫も緊張したそうだ。

 1時間ほどで三頭大滝に出る。吊橋から滝を眺めることができる、景観の良い休憩スポットだ。娘にとっては、初めての滝との遭遇だった。ここまでくれば、あとはしっかり整備された道を森林館に向かって戻るのみ。森林館で再びオムツを交換し、あたたかい場所で少し休憩をした。コースタイムとしてもちょうどよく、オムツやミルクのタイミングもバッチリで、親子ともども無理のない快適な山行になった。

「滝見橋」から三頭大滝を眺める。この画像は以前撮ったもので、深緑の時期も絶景だ。


山ヤの子育て 山ヤの魂、百まで

 私の両親も山が大好きで、物心ついたころからあちらこちらの山に連れて行かれた。しかし、記憶にあるのは、山の風景ではなく、山頂で食べたお弁当や、がんばったご褒美でもらったお菓子のことばかり。いま思うと、両親が「登山を楽しんでもらいたい」と一生懸命工夫して、美味しいお弁当やご褒美を用意していたのだろう。

 中学生になったあたりから、すっかり山に興味を失っていたけれど、30歳も過ぎてからこんなにも山に惹かれるようになったのは、そういう両親の想いが、子ども時代にしっかり体に染み込んでいたからではないだろうか。

 まさに、“三つ子の魂百まで” ならぬ、“山ヤの魂百まで” である。

 娘も、思春期になって「もう山なんか登らない」と言い出すかもしれない。それでもいつか、ずっとずっと時間がたって、おじいちゃんとおばあちゃんになった私達とまた三人で山に行ってもいいかな、とふと思ってくれたら、なんと幸せなことだろうか。

 さて、次は三人でどこに登ろうか。


 

しなこさんの、パパママへの登山アドバイス
冷えこむ冬山では、赤ちゃんの手足の防寒対策も必須です! 手袋や靴下は、いつの間にか落ちてしまっていることも多いので、手足の裾を折り返してすっぽり包めるデザインのカバーオールタイプがオススメ(記事中の画像で娘が着ている服のような)。厚手の生地のものが多いので、インナーは薄手のもので重ね着できるよう、ベストなどを持っていくとよいですよ。


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