• 道具

グレゴリーのハイクモデル、新生ズール。気になる実力はホンモノだった

2019.03.22 Fri


 グレゴリーといえば、“Don’t carry it, weat it.” と言い続けてきたブランドである。バックパックを背負うなかれ、それは着るものだ! とまでにフィット感にこだわりをもってあらゆる名品を世に送り出してきた。そのグレゴリーがここ数年のあいだ、いままでのラインアップに新風を吹き込んでいる。

 バルトロにズールといったメインどころのモデルが次々と「新しく」なっている。Akimamaの読者ならすでにご存知のことも多いと思うが、ここはひとつ、おさらいを。まずは、いまとくに気になっている「ズール」を取り上げたい。ちなみにズールはメンズモデル、その相方となるのはジェイドである。
こちら、グレゴリーから届いたズールとジェイドを使ったアドベンチャーでのイメージ写真。どこまでもアメリカらしく、開放的です! “Don’t carry it, weat it.”、どころではありません(笑)が、選び抜かれたギアはそれほどまでに楽しい旅をサポートしてくれるということでしょう。

 グレゴリーのバックパックが無骨なフェイスだったのはとうの昔の話。ヘビィなつくりが懐かしくもあるものの、いまでは時代に併せ、さらりとしたスマートさがその主流。ズールの顔もずいぶんとスタイリッシュになっている。

 もちろんそれは見た目だけではなく、あらゆる機能も備わってのこと。背負い心地というべきか、着心地というべきか、そのフィット感は革新的なまでに変わっている。「フリー・フロート・サスペンション」というカタカナ書きではわかりにくい名がついているが、これが侮れない。

 ズールの最大のポイントはグレゴリーレベルのフィット感を確保したまま、驚くほどの通気性を持ち合わせていること。ようは汗のかきやすい背中の熱を追い出しつつも、荷重を上手に分散させればよいわけだが、このバランスを両立させるのはなかなかにむずかしい。バックパック本体にフレームを入れ、あえて弯曲させることで背中との間に空間をつくりあげれば空気の循環はできる。他ブランドでもこの手のシステムで通気性をうたったモデルは多いが、背中上で荷物がバウンドしてしまったり、身体の動きに追従できずに左右に振られてしまうことなどの課題があった。

グレゴリーパックの真髄は背面にあり。ズールの「フリー・フロート・サスペンション」は、この見た目からもわかるように驚くほどの通気性を確保している。それでいて、身体に吸い付くようなフィット感。ぜひ、一度はお試しを。

 ところが、“Wear it” のグレゴリーだけに、その心配は完全に払拭してくれている。個々人の背面長に併せての調整はもちろん、ヒップベルトが旋回するようなフレキシブルなつくりとなっており、足上げや腰回りの動きにもまったくもってピタリと息を合わせてきてくれる。身体とのフィット感は完璧。これが「フリー・フロート・サスペンション」システムなのだ。

 こうして、快適に荷物を背負うというバックパックの根幹の部分を抑えつつも、ディテールにも事細かく注意を向けている。それはフィールド現場での「使い勝手のよさ」を追求している。荷物の出し入れという観点でチェックしてみると、

1. フロントパネルが大きく開くU字型のファスナー
2. 大きく伸びるストレッチメッシュのフロントポケット
3. 背負ったままで手が届く角度に調整されたサイドポケット
4. ショルダーハーネスにあるサングラス収納用クイックストウ
5. スマホやコンデジもしまえるヒップベルトの特大ポケット
……

 と、次々と特徴のピックアップができる。また、ジッパープルはしぜんと指が入りやすくなるように成形されており、開け閉めにまで工夫がなされている。このこだわりはさすがにグレゴリーだと思う。

表面にも裏面にも細かな工夫が施されており、背負ったままでもいろいろなところに手が届く。フロントのメッシュポケットはかなりの伸縮率。脱ぎ着したウェアの収納などにも便利だが、たとえばヘルメットなど、かたちのあるものの収納にも使いやすい。

 素材はボディが210デニールのハニカム・クリプトリップ高密度ナイロンをメインに使い、ベースは630デニールと420デニールと強度の高い生地の組み合わせ。ナイロンのしなやかな手触りながらも引き裂きにも磨耗にも強いつくりとなっている。

 スマートな顔をしつつも、実力は十分。手荒く扱っても大丈夫ということでしょう。剛も柔も併せ持つグレゴリーのズールー。ぜひとも、“Try it on, Wear it!!” である。

 まだまだ気になるバルトロの話は、また次の機会に。なぜかといえば……ただいま、あのホーボージュンの背に負われてあちらこちらのフィールドを旅している途上なり。今シーズンも「グレゴリー×ホーボージュン」のスペシャルな企画がAkimamaにて決定。乞うご期待!

 

◾️グレゴリー/ズール(ZULU)
ズール55
26,000円+税 容量 55ℓ/重さ 1.67kg、レインカバー重量 128g/カラー オゾングラック
 
ズール40
24,000円+税 容量 40ℓ/重さ 1.33kg、レインカバー重量 85g/カラー オゾングラック、エンパイアブルー、ファイアリーレッド
 
ズール35
22,000円+税 容量 35ℓ/重さ 1.25kg、レインカバー重量 77g/カラー オゾングラック、エンパイアブルー、ファイアリーレッド
 
ズール30
20,000円+税 容量 30ℓ/重さ 1.11kg、レインカバー重量 74g/カラー オゾングラック、エンパイアブルー、ファイアリーレッド
*スペック表記はすべて(SM/MD)サイズ。

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント