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【特別企画】知られざるアウトドアの楽園・台湾 20代フェス好き姉妹、世界三大登山鉄道に乗って阿里山へ(其の二)

2017.02.11 Sat

 Akimamaファミリーのフェス好き20代の若き姉妹は、玉山の山並みに昇る太陽を感慨深く眺め、12月5日の最初の光を全身に浴びる。阿里山登山のクライマックスを迎えたわけだが、彼女たちの綴った「阿里山ノート」はここでは終わらない。さっそく続きのページを繰ってみることに……。

阿里山編其の一より続く〉

12月5日(2日目/ご来光後
 日の出をこんなにゆったりと見たのは何年ぶりだろう。この感動的な瞬間を、台湾で、しかも青空のもとで見られるなんて、とってもラッキーだった。阿里山の日の出ショーに参加したたくさんの人たちは、行きと同じように赤いで登山電車に乗って帰っていく。下りはブレーキをかけながら降りていくのか、キーキーとうるさかったけど。

 わたしたちは、もちろん歩き。帰り道も沼平駅まで同じルートをたどった。行きは暗くて怖くて、周りの様子がまったくわからなかったけれど、どうやらスギやヒノキの森だったみたい。朝の散策にぴったりの気持ちのいい空気に満たされている。

 祝山観日歩道を下りて線路を渡ったあと、車道をホテルとは逆の方向へ進む。ここから神木駅までは、巨木の森に付けられたトレイルを歩いて行くことができる。しばらくすると、木のトンネルがあった。いよいよ本格的な森の道だ。

 この先に姉妹潭という双子の池があるらしい。そのまま5分くらい歩くと、妹のほうの池が出てきた。が、思ったよりもショボイ。ごくごく、ふつうの池だ。水の中も覗いてみたけれど生き物の気配もなく、ちょっと寂しい場所だった。
この木のトンネルが巨木の森への入り口となるポイント。ここから先は森の中の木道をポクポクと歩く


 さらに奥へと進んでいくと、今度は姉の池に到着。こちらは、妹よりも5倍くらい大きくて、とても立派。池の真ん中には橋が架けられ、涼亭というあずまやもつくられている。水面に周りの緑が映り込み、とてもキレイだった。姉も妹も、どちらの池も天然ものらしい。わたしたちも姉妹。せっかく姉妹で姉妹潭に来たので、記念撮影で自撮。パシャ。
12月なのに鮮やかな緑が池に映えるのは、やっぱり南国台湾だから。姉妹潭の姉のほうの池です。で、ここで姉妹で仲良くパシャリ
 姉妹潭の先はヒノキだけの森に。木道がずっーと奥へと続いている。急な階段が多く、上ったり下りたりを繰り返す道だ。でも、一本道だから進むしかないのだけど……。歩いていると、見上げるほどの巨木が次々と出てくる。切り株の上から新しい木が生え、3兄弟という名が付けられたヒノキや樹齢800年を超えると書かれたものまであって、飽きることもない。ふたりで樹齢当てクイズなんかしながら、のんびりと歩いた。

 そうして30分くらい歩くと広場に出て、寺院やお土産屋があった。横目でチラ見みして通り過ぎちゃったけど、あとから調べて見たら、北極玄天上帝を主神に祀る、台湾でもっとも高い場所にある道教の寺院だったみたい。廟の名前は受鎮宮。

 このあとから分かれ道が多くなり、ちょっと迷子になったりして、森の中をうろうろ。巨木群桟道を歩みつつ(じつは、最後の方はもう巨木に飽きてきちゃった)、神木駅まで行き、線路脇に倒れている「旧神木」を見た。1906年に日本人が発見したという、樹齢3000年以上のタイワンベニヒノキ。落雷や雨で腐敗が進み、1998年に切り倒されちゃったそうです。ちょこっとだけ、寂しい気持ちになっちゃった。

 朝早くホテルを出て、ご来光を見て巨木の森を歩き回って約5時間。ホテルまで歩いて帰ってから飲んだ台湾啤酒のプレミアムの美味しかったこと! このあとはホテルでしばしの休息……。

 予定では13時から販売される、次の日の祝山線の切符を買いにいくはずだったのだけど、ふたりして眠ってしまい、目が覚めたらもう15時半。たぶん、もう売り切れてる(汗。だから明日の祝山線はあきらめた。小さなカフェで見つけた阿里山烏龍茶をテイクアウトして、ホテルの近場で夕焼けを見た。空が真っ赤に染まってる。今日一日は、本当に空をよく見上げた。いい日だったな。
阿里山のホテルの近くから見上げた夕焼け空。真っ赤に染まって、とってもキレイでした⭐︎

 

12月6日(3日目)
 阿里山の最終日は、祝山線でもう一度ご来光にチャレンジしようと思っていたのだけど、寝坊して切符を買えなかったので予定を変更。樹齢2700年の水山巨木を見に行くことにした。このルート、廃線になった線路を歩けるらしく、ちょっと楽しみ。

 6時にホテルを出て、またしても沼山駅までは同じ道を進む。ガイドブックには「森林鉄道自忠支線営業停止後、遊歩道に。歩きやすいように軌道の間に木屑が敷き詰められた」と書いてあったけれど、木屑なんてほとんどなくって、土が剥き出しになってた。でも、線路歩きは楽しい!
この味のある鉄橋、じつはスリル満点。線路に渡してある枕木のあいだに30cmくらいの隙間があって、鉄橋の下が透けて見えちゃうんです。でもこれは、なかなかできない体験だ

 鉄橋の先50mくらいで線路が終わって、その先は祝山観日歩道みたいな石段を登った。でも、雰囲気がちがっていて、こちらの石段は苔だらけで周りの木も鬱蒼としている。まったくひと気がない。ということは、クマでも出てくるんじゃないかと急に怖くなっちゃった。だから、ふたりして大声で森のくまさんを唄いながら登って行ったのだけど、意外とすぐに大きな木が見えてきた。この辺の主みたいだ。

 それが水木巨木。たぶん樹齢2700年は、わたしが人生で見たなかでいちばん古いし、いま、阿里山にあるタイワンベニヒノキのなかでも、いちばんだと思う。2700年前なんて、日本は何時代だ? 縄文?
右のページはおまけ。台湾は筆談でいろいろと意思疎通ができるから、日本人にとってはとても旅がしやすい場所なんです。わたしたちの阿里山ノートにも、聞きたいことをたくさん書いておいたんだ。で、指で文字をさし示しつつ、現地の人たちとコミュニケーションをとる。これも旅の楽しみのひとつ
 さて、おなかが空いたからサクッと帰ろう。これで阿里山散策は終了!! ホテルをチェックアウト後、帰りは嘉義まではバスを使って一気に山を下りた。集落や茶畑が鉄道よりも間近く見られるので、バスもいい。あぁ〜いい旅だった。

 人生2回目の海外で(じつは前回も台湾!)、しかも姉妹ふたりの旅は不安だったけど、やっぱり台湾の人たちはいい人ばかりで言葉が通じなくてもなんとか助けてくれた。思い出に残る、阿里山の旅。ありがとう、阿里山!

 

(文=清水 茜 写真=清水 茜&岬)
 

 

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