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日本の夏山経験で歩ける山も多い。小雀陣二さんがおすすめする「アラスカの日帰りトレイル」

(2017.10.19)

登山のTOP

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 そして3つ目となるのが「フラットトップマウンテントレイル」である。アンカレッジ中心地から20~30分の郊外にある、アンカレッジの街を一望できるトレイルだ。

 キャンプグラウンドに2泊し、ポーテージ湖やスワードを観光。翌朝、朝食後に急ぎ支度をし「フラットトップマウンテントレイル」のトレイルヘッドへ車を飛ばす。頂上でコーヒーとサンドイッチの用意も忘れない。 トレイルヘッドはアンカレッジの南東側の住宅地の奥にある。
 この時なんとムースが道路脇に親子で草を食べているではないか! 今までで一番近くで見たムース。のら猫じゃないんだから。あらためてアラスカというのは自然の豊富なウィルダネスエリアに作られた場所なのだと思えた。
 トレイルヘッドでは、晴れからすっかり曇りになってしまい、風が吹いて肌寒い。雨が気になる雲まで……。歩き始めから雨具を着て防寒、雨対策をするが、周りの観光客はTシャツとショーツの人もいる。日本でいう高尾山のような山なのだろうか? それでも、このトレイルヘッドからでも十分景色はよかった。夜に来ると夜景がきれいらしい。 ブルーベリーでも有名なトレイルだ。ブルーベリー採りから帰ってきたファミリーの姿も見かけた。
 中盤から急な木の階段などもあり、登山の雰囲気に変わる。そして、岩だらけの頂上は気が引き締まる。 約1時間で山頂手前のコルに到着。見上げるとこれ以降は容易ではないことがわかる。ここで引き返す観光客は多い。 さらに進行方向へ出現したトレイルの急登に、お客さんにとってはお気軽なハイキングではないよなぁ……とやや心の中で凹む。山頂手前はこんな感じだ。登頂すると風を避けているものがなくなり、名前の通り山頂はフラットだった。とても寒い風が吹いている。コーヒーを飲んだり、サンドイッチを食べる気分にならないほど。でも、景色は抜群! 曇りは残念! 下山は慎重に。寒さで手がかじかんでいる……。小雨に濡れた岩々を慎重に、急勾を少しずつ下る。 穏やかなトレイルに入る。ここはブルーベリーループと名付けられていて、周回できるルート。登りとは違う道を選ぶと、斜面はブルーベリーだらけ。ちょっと酸っぱいが、食べながら歩く。そうして無事に3つ目のトレイルを終えた。曇りや小雨は残念だったが、往復3時間。この日も午後はアンカレッジの街を観光した。

 今年のアラスカツアーは充実していた。
 
 内容は川下りとキャンプとハイキング。北は北極圏内で過ごしたが、街の近くでも十分アラスカの自然を体感できる。いろいろ見てきたがアラスカは原野に街ができたのだとつくづく思う。住宅街に突如、ムースなど野生動物が顔を出しくる。街や空港の脇にある池や林はアラスカの自然そのもの。そんなアラスカの魅力を今後も伝えていきたい。

 余談だが、自分が好んで旅し、またお客さんとともに下っている川は、アラスカ北部のブルックス山脈、北極圏内にある。故星野道夫さんの写真や文章に度々表現されている場所で、アラスカの原野が手付かずで残されている。山は特にトレイルが整備されているわけではなく厳しい。ブラウンやブラックベアと遭遇する危険性もあること、人がいない場所に行くので衛星電話を持つなど緊急対策は必須。定期便とチャーター機の両方を使って入っていく場所で、お金も時間もかかり、いつでも、どこでも迎えに来てくれることはない。

 だから、危険やリスクを伴い、行くまでにもそれなりに費用はかかる。そう書くととてもハードルが高く、難しい川だと思うだろうが、クライアントは川下りの経験者でもエキスパートではないので、技術的には難しい川にはチャレンジしていない。
僕の役目は、安全にアラスカの原野を楽しむサポートなのだ。
(撮影・文=小雀陣二)

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ライター
小雀陣二

1969年東京都生まれ。雑誌やテレビ等のメディアでアウトドア料理のレシピを公開するほか、商品企画にも携わり野外料理関連のヒット商品も世に送りだす。2013年には神奈川県・三崎に喫茶店「雀家」をオープン。著書には『オトコの自慢料理』『BBQがウマくなる本』(エイ出版社刊)、『簡単なのに豪華にできる! ソトごはんレシピ』(学研ムック)など

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