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【ミステリーランチ】村石太郎×Terraframe 65 ──北アラスカの原野を旅するための道具

2020.06.19 Fri

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村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

過去20年以上にわたって北アラスカの原野での旅を続けてきた村石太郎。愛用の「テラフレーム65」には登山装備のほか、パックラフトや分割式パドル、ライフジャケットなどのパドリング装備も収納している。
 
20代で出会った北アラスカの風景

 いまから、約20年前の夏。僕は、アラスカの原野と出会った。それは約1ヶ月間の旅で、北極圏を流れるコバック川という川の最上流部から、シュンニャックという辺境の村までをカヤックを漕いでいくというものである。

 以来、アラスカで見た景色や匂い、風の感触が頭のなかでつねに巡り回るようになってしまった。来る日も、来る日も、考えるのはアラスカの原野のことばかり。地平線の彼方まで、無限に広がるような北国の景色のなかで寝て、起きて、食事をつくり、移動する。単純だからこそ、忘れられない日々。

 また、いつか訪れたい。いや次の夏も、またその次の夏も、あの原野で過ごすのだ。僕は、そう決心した。
長年にわたる北アラスカでの旅は、カヤックや徒歩旅行、犬橇なども経験してきた。しかしながら、「パックラフトこそ、アラスカを旅するうえで最適な道具」だと思う。(撮影/加戸昭太郎)
 
第2の故郷になったアラスカ

 僕は、そんな欲求を満たすべく仕事を辞めた。そして、毎年のようにアラスカを訪れるようになった。

 旅を続けると、現地で友人も作った。旅の途中で出会った友人たちは、3ヵ月半のあいだ食糧をほとんど持たず、キャンプ道具とラフトボートを背負いながら米国大陸最北の山脈であるブルックス山脈で過ごしながら、道なき道を突き進み、百年前と変わらぬ姿で流れ続ける原始河川での川下りをしていた。そんな話しを聞いていたら、僕も同じようなスタイルで旅をしてみたいと思うようになった。

 しかし、彼らの装備は信じられないほど重かった。ラフトボートだけでも20kg。合計するとひとり60㎏もの重荷を背負っていた。当時は、テントだって軽いものでも2.5㎏ほどの重さである。食糧をほとんど持たず、野生動物を鉄砲で仕留めたり、魚を釣ったり、原野でブルーベリーを見つけたり、キノコは毒味をしながら食べたり。移動距離も、場所によっては1日に1~2㎞ほどしか歩けないこともあったという。

 友人たちが行っていた旅は、僕にとっては自分の体重に近い荷物を背負うことも、外国人であるため食糧確保の方法においても、とても真似ができるものではなかった。
人の住む街や道路、登山道すら存在しない北アラスカは、アイディア次第で理想的なプレイグラウンド(遊び場)となる。徒歩旅行とパックラフトを組み合わせれば、どこまでも、いつまでも旅を続けられる。(撮影/村石太郎)

 

パックラフトが理想の旅を
現実のものにした

 だがそれが、ひとり乗りの軽量小型ボート「パックラフト」の普及によって、夢を実現できる日がやってきた。アルコールストーブをはじめ、近年飛躍的な軽量化を遂げたウルトラライト・ギアも装備の軽量化に貢献した。

 装備一式を詰めるために選んだのは、「オーバーロード」機能を搭載したミステリーランチ・バックパックである。人っ子ひとりいないようなアラスカの原野で川を下って、道なき道を歩きまわる旅のためには、パックラフト本体を上手に収納する必要がある。登山装備のほか、ライフジャケットや分割式パドル、野生の熊から食糧を守るための円筒形のコンテナも背負う。装備のほとんどは、チタンやカーボン、DCF(ダイニーマ・コンポジット・ファブリック)といった軽量素材を使ったものだが、3~4週間分の食糧を背負うため総重量は25~30kgとなる。しかも、通常のバックパックでは収納しにくいものも多い。こうした“超過荷物”を運搬するために、ミステリーランチのオーバーロード機能は完璧なシステムだったのだ。僕にとって、第2の故郷であるアラスカを旅するうえでなくてはならない存在になったといっても過言ではない。

 ミステリーランチとの次なる旅として考えているのは、アラスカ北部のアナクトビックパスという先住民族が暮らす辺境のコミュニティから歩き始め、川を詰め、山を登り、谷を下りながら、森林限界を超えた山上湖を訪れ、最後はノースフォーク・コユクックという原始河川でのパックラフティングで終えるという計画である。期間は約4週間。終着点は、ブルックス山脈への玄関口として知られる人口60人程度のベトルス村だ。

 北アラスカでの旅は、厳しい気象条件や野生動物への配慮を必要とし、また情報が極端に少ないためつねに不安がつきまとう。しかし、いまも変わらず、こうした旅の計画が僕の心をときめかせ続けているのである。
パックラフトは、本体と背面フレームのあいだに挟み込む。アラスカでは、寝袋などの濡らしたくない装備は防水バッグに収納して、食糧コンテナとともに挟んで背負っている。荷室上部にバックル・ストラップが2本ついているため、ここにライフジャケットを固定すると非常に具合がいい。この方法は、じつはビデオ撮影後に発見してしまった。
 
テントを背負っての
スキーツーリングでも
唯一無二の存在

 じつは、オーバーロード機能に興味を持ったきっかけは、アラスカで使うためでなく数日間にわたる春のスキーツーリングが目的だった。

 スキーツーリングとは、スキー板の底面にクライミングスキンという滑り止めを貼りつけて、整備されていない野山を登り、滑り降りてくる遊びである。例年12~2月末頃までの厳冬期はパウダースノーにまみれながらの滑走を楽しみにしているが、とくに好きなのは3月下旬以降のスプリング・シーズンである。この時期は、晴天率が高く、日照時間も長くなってくるため長時間の行動が可能になり、気温も比較的温暖だ。そのため、青空の下でのんびりとした登山と滑走が楽しめる。

 シーズン中には、山中にベースキャンプを設置して数日間のスキーツアーに出掛けることもある。オーバーロード機能が大活躍するのは、そんなときである。ベースキャンプまではテントや寝袋、火器や食糧など、重く嵩張る荷物が多い。そのため大容量のバックパックが必要になるのだが、オーバーロード機能を搭載するテラフレーム3ジップ50ならばベースキャンプに到着したところで滑走に不可欠な荷物以外をデポして、身軽に行動することができる。テントなどの荷物は大型の防水バッグなどに入れておき、ベースキャンプまでバック本体とフレームのあいだに収納するのだ。無論、スキーツーリング向けの専用パックのように、雪崩対策用のアバランチギア・コンパートメントなどは装備されていない。だが、テント装備を背負っているときと、滑走装備だけで行動するときのいずれも過不足のないパッキングが可能なシステムはほかにはない。
スキーツーリングで愛用している「テラフレーム3ジップ50」は、テントや寝袋を背負っていく旅で唯一無二の存在となる。テントなど滑走時に不用な荷物は、大型の防水バッグなどに入れてパッキングする。(撮影/太田孝則)

 

僕がもっとも信頼している
バックパック・メーカーのひとつ

 ミステリーランチ創業者のデイナ・グリーソンは、アウトドアで遊ぶことが心底好きな人であり、彼が生み出したさまざまなアイディアは決して突飛なものでなく、豊富な経験から導き出された使い手のことを考えた機能である。

 僕がツーリングに使っている「テラフレーム3ジップ50」のY字型3ジップデザインは、両サイドにスキー板を装着したときに収納した荷物を取り出しやすくするためのアイディアだ。「テラフレーム65」などに装備されている同社自慢のバーティカル・ポケットも、スキー板を取りつけたときのことを考えている。これは、’60~’70年代によく見られたサイドポケットつきのバックパックから発展したもので、フロント側に徐々に移動させていった結果生まれたものである。

 考え抜かれた背面システムも見事な背負い心地を提供してくれ、バックパック専業メーカーだからこそ作り得たものだと思う。荷室のデザインも素晴らしく、なにをどこに収納したか迷うことがなく直感的に操作できる。これはとても重要なことで、ポケットの数が多すぎたり、ジッパーやバックルの配置が適切でないと、その都度考えながら操作することになる。僕がミステリーランチを信頼するのは、オーバーロード機能に加えて、こうしたバックパックとしての基本性能がつねに高い次元で実現されているからなのだ。
 

村石太郎使用モデル/テラフレーム 65

テラフレーム 65
本体価格:51,000円(税抜) サイズ:S、M、L 容量:65ℓ 重量:2.6kg 素材:330D Lite Plus CORDURA® カラー:Deep Sea、Black
 




Taro Muraishi
1997年、アラスカの原野と出会い、以来20年以上にわたってカヤックや徒歩、パックラフトなどを使った旅を続けてきた。アウトドアライターとして登山専門誌などを賑わせている。

https://www.instagram.com/taro.villagestone/
 

■アウトドアライター・村石太郎が
ミステリーランチのオーバーロード機能の魅力を解説!!


(構成・文=村石太郎 写真=松本 茜)

ミステリーランチの特設サイトで詳しく見る


【MYSTERY RANCH — OVERLOAD®︎ feature】

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

アウトドアや登山専門誌を賑わすアウトドアライター、フォトグラファー。精力的に世界各地のアウトドア・ブランドへの取材へと出掛け、そこで得た登山装備と登山道具史についての知識は国内随一。過去20年にわたって、アラスカ北部に広がる原生自然帯での遠征活動を続ける冒険旅行家としての顔も持つ。

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