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ピーターラビット™ 展開催。自然保護に尽くした作者ビアトリクス・ポター™ の人生とは

(2016.08.10)

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ビアトリクス・ポター 《『ベンジャミン バニーのおはなし』の挿絵のための水彩画》
英国ナショナル・トラスト所蔵 ©FrederickWarne&Co.,2016

 8月9日から東京渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで、「ピーターラビット展」が開催されている。世界中の人びとから愛され続けている、ピーターラビット。1902年に発表された『ピーターラビットのおはなし』は、いわずと知れた大ベストセラーだ。生みの親であるビアトリクス・ポターは英国ロンドンで生まれ。今年はちょうど生誕150周年にあたり、今展は国内最大規模でおこなわれる。


ビアトリクス・ポター 《私家版『ピーターラビットのおはなし』》
英国ナショナル・トラスト所蔵 ©FrederickWarne&Co.,2016

 幼いころに両親が買ってくれた本のなかに、たしかにピーターラビットはあった。数冊のセットで装丁されており、手帳のように小さい絵本。いったいどんなおはなしだったか……。正直なところ、おはなしの内容はすっかり忘れてしまっていた。絵本自体も行方知れず。しかし、主人公がウサギという設定でありながらも、決してファンタジーに終わらない(ある意味で現実的な)、そんな印象だけは残っていた。

さて、今回のピーターラビット展は、作者であるビアトリクス・ポターの生誕150周年を記念し、彼女の人生もたどる奥深い内容になっている。ピーターラビットはどのようにして生まれたのか……。ビアトリクスはどのような場所を愛したのか……。知られざる誕生ストーリーなどを、原画を見ながら探ることができる。

ビアトリクス・ポター肖像写真 Courtesy of the Victoria and Alberto Museum ©FrederickWarne&Co.,2016

ピーターラビットの作者として名を馳せたビアトリクスだが、もうひとつ力を注いだものがある。それは、彼女が生涯熱心に取り組んだ自然保護活動だ。作品のすべての所蔵は「英国ナショナルトラスト」とある。英国ナショナル・トラストとは、1895年に誕生した民間非営利団体。当時のイギリスは産業革命をむかえ、農業が主だった産業は工業へと変わり、鉄道が次々に敷かれて近代化が進んでいた。不必要な開発から自然豊かな場所を守ろう、と設立したのが英国ナショナル・トラストで、国民のために国民自身で土地を入手して直接守るという方法をとった。

 ビアトリクスは、終の棲家となった湖水地方周辺の土地を買い取り、4000エーカーもの土地(東京ドーム390個分!)を英国ナショナル・トラストに寄付。いまなお美しいまま残されている。このナショナル・トラストは、ナショナル・トラスト運動として、日本でも展開されており、鎌倉や知床といった土地が開発から守られた。

湖水地方の風景 Photo/Sony Creative Products Inc. ©FrederickWarne&Co.,2016

 展覧会を通して、ビアトリクスについて感じがことがふたつ。自然に深く精通し、とても聡明な女性である。たんに心優しい女性だと思い込んでいたが、それだけではなかった。

ビアトリクスが描く動物たちはじつに写実的で、喜怒哀楽は人間のような表情ではあらわされていない。しかし、見ている側の心の持ちようによって見え方が変わってくるような、不思議な画でもある。また、ピーターのお父さんは、ときおりミートパイの画で表現されている(事故に遭ってでパイにされてしまう)のだが、このユーモラスというべきか、妙なリアリティも自然を知り精通していた彼女だからこそ描くことができたのではないかと思えてくる。

さらに特筆すべきは、彼女は自らが生み出したピーターラビットたちが、他人によってむやみに扱われないように、いちはやくデザインを商標登録していること。いまでこそ、意匠だなんだと問題になるが、100年も前の話だ。生前もいわゆるキャラクタービジネスで多くの富を得て、それを土地の買い取りに当てていたという。自ら亡き後も生き続けるキャラクターたちの未来までも、見据えていた素晴らしいビジネスウーマンでもある。

展覧会のあとには、限定商品などのお土産ももりだくさん!

展覧会の場内には、絵本の世界がところどころ具現化されており、またビアトリクスの愛用品も展示されている。ぜひ、ピーターラビットの世界、ビアトリクスという女性の人生にどっぷりつかってみて欲しい。最後に、この展覧会のオフィシャルサポーターは、俳優のディーン・フジオカさん。音声ガイドのナビゲーターもディーンさんが担当している。ビアトリクスが愛した湖水地方を、ディーンさんが訪れた映像も上映されているので必見だ。

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ビアトリクス・ポター™ 生誕150周年 ピーターラビット™展
開催会場:Bunkamuraザ・ミュージアム(東京都渋谷区道玄坂2-24-1) http://www.bunkamura.co.jp/museum/
開催期間:2016年8月9日(火)〜10月11日(火)
開館時間:10時から19時(入場は18時30分まで)
※毎週金・土曜日は21時まで開館、入場は20時30分まで。
※東京展後は、福岡、仙台、大阪、広島、名古屋と巡回される予定。

終了いたしました。

(文=須藤ナオミ)

 
 
ライター
Akimama編集部
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