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無いなら作ればいいじゃない! 「プラダン」でULパックロッドケースを作ろう

2017.05.20 Sat

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者


 南西諸島への遠征前日。パックロッドを収めるロッドケースを釣具店に買いに行ったものの、適当な長さ、太さ、重さのものがどうにもみつからない。

 飛行機と車で釣り場まで移動できるならいざ知らず、こちとら釣り場まで全てを担いでいく身。いくら丈夫でも、1kg以上あるケースはとても導入できない。

 ネットで検索しても、竿を衝撃から守り、ちょうどいい長さで、軽いものはない。どうやら、パックロッドのケースにはそんなニーズはないので、この世には太短くて軽量なロッドケースは存在しないらしい。

 無いなら、作ればいいじゃない。

 俺の心のなかのマリー(※注 アントワネット)がそう囁いたので、脳内データベースから使えそうなものをサーチ! 自作素材の定番の塩ビ管では重すぎるし、雨どいでは細すぎる。強度と緩衝材を兼ねる素材としてピックアップされたのは「プラダン(プラスチックダンボール)」。さっそく、ホームセンターで購入して製作にとりかかる。

 以下は製作から完成までの記録だが、なにぶん遠征前日の少ない時間で撮影したので、記事用の写真としてはちょっと雑になっている。そのへんはどうぞご容赦を!

購入したのは90×90cmの黒いプラダンと両面テープ、ダクトテープ、そして、ホックのセット(ホックは結局強度不足で不採用になる。後述)。

まずはざっくり寸法を計測。遠征に持ち込むパックロッド2本を重ねた状態での長さ、縦と横の寸法を測る。内側の寸法は65×9×8cmに決定。

次に用意するのはスプーン。プラダンの端から9cmのところに、スプーンの柄を目に沿って押し付け、色が白く変わる程度の強さで折り目をつける。次にその折り目から8cmを測って折り目をつけ、さらに9cm測って折り目をつける。

折り目が3本付いたところで、プラダンをパタ、パタ、パタ、と3段階に曲げれば、1層目が完成。端が触れた部分(赤丸)のラインにもスプーンで折り目をつけ、さらに折り込んでいく。これ以降はプラダンの厚み分だけ寸法が大きくなるので、最初に計測して折り目をつけるより一回ずつ折りながら折り目をつけたほうが、精度がでる。

折りたたみを繰り返し、4つの面全部が2層になったら余分をカット。一度開いてからそれぞれが重なる部分に両面テープを配して貼り合わせていく。

長い筒っぽができたら、続けて底部を工作する。底部は左右から力が加わった時につぶれないように支える重要な部分だ。左右どちらから力が加わっても支えられるよう、4角に切れ込みを入れて縦方向の目と横方向の目の面を交互にたたみ、折り重ねて両面テープで接着していく。

底ができたら今度は蓋側を製作。蓋側も強度が出るように縦の目、横の目がたたんだ時に2層になるような構造にする。蓋の留め具はパッチン止めのホックを使ってみたものの、反発力が強くて開いてしまったので、ボタンを縫いつけてフラップにスリットを入れる方法で解決。

そして完成したパックロッドケース。製作時間は30分、製作費は約1000円。少々雑だが強度は十分、約340gと許容できる重さになった。2本の竿が過不足なくぴったり収まる(そうなるように作ったんだから当たり前だけど)。

 これにてひとまず完成! としたが、遠征先では胸まで水に浸かる場面があるので、このあと底部〜側面の継ぎ目をダクトテープでシーリングした。これで、蓋の部分が水面より上に出ていれば、内部には水が入らない。

 遠征は野越え山越え海越えたまに泳ぎ、といったコース。合間あいまに竿を出しては晩のおかずを調達する。ときに転び、ときに岩に体をこすったりもしたが、ロッドケースはばっちり役目を果たした。

 軽量で、強度があり、濡れに強いプラスチックダンボール。「長物を収めるのにちょうどいいケースがない」という人は、ぜひ自作に挑戦を!

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