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【速報】話題のブランド「サバティカル(SABBATICAL)」 その全容をどこよりも早く!
2019.08.20 Tue
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
朗報を速報でお伝えしよう。A&Fがついに動いた。
これまでディストリビューターとして海外の優れた製品を紹介し、日本のアウトドアシーンに多大な影響を与えてきたカンパニーに、新たなブランドが加わる。
その名前は「サバティカル(SABBATICAL)」。意味は長期の有給休暇、あるいは研究者が制約なしに活動範囲を広げるための自由時間。つまり本来の自分に戻る、あるいは自分の向上心に従ってルーチンワークから離れる、というニュアンスだ。ネーミングだけで、すでにこのブランドがいかにアウトドアライフのクォリティを上げようとしているかが香り立ってくるようだ。
これまでロゴのみが公開されていた「サバティカル」。その正体はシェルターブランドだった!?
この意欲的なブランドの取材解禁日は8月20日。Akimamaは粘り強い取材交渉の末、先駆けて新製品に触れる機会を得ることができた。
特別な許可の元、勇んで駆けつけた盛夏のキャンプ場に張られていたのは、2種類のシェルターと2サイズのタープ。そのファーストインプレッション、そしてシェルターに入ってみた印象などを含めて、どこよりも早い、見て、触って、寝てみた感想をお伝えしたいと思う。
■ラージサイズのフラッグシップモデル>スカイパイロット(Sky Pilot)
「スカイパイロット」は6〜8人のグループを想定してデザインされた大型シェルターだ。天候や気温、人数、使い方に応じてメッシュ、巻き上げ、跳ね上げなどあらゆるフォーメーションに転換できる自由度が特徴となっている。
基本的にサバティカルのシェルターはワンポール型だ。が、ワンポールは地面近くにデッドスペースができやすく、壁の近くではヘッドクリアランスを確保しにくい。そこでサブポールを使ってウォールを立ち上げ、スペースを確保している。「スカイパイロット」では4本のサブポールをとりいれることで、シェルターの隅々までスペースを有効に使うことが可能になっている。
シェルターは当然のようにフロアレス。椅子やテーブルを置いてリビングスペースを作ってもいいし、サイズにもよるが小型のテントを設営することも可能だ。
また今回の4モデルについて、素材はすべて乾きの早いTCコットンを採用。遮光性と通気性に優れている点も、居住性の向上に大きく貢献している。
取材の日は誰もが日陰を探してしまうような日差しだった。が、夏の太陽に炙られているにも関わらず、シェルター内は快適そのもの。立って歩くと、シェルター上部に熱のこもりを感じるのは仕方ないとしても、胸から下あたりは非常に快適なのだ。TCコットンの遮光性に加えて、四方に設けられたベンチレーターが高原の風をスムースに招き入れているのがよく分かる。この風通しの良さと、大容積テントだからこその安定した気温は、日本のアウトドアシーンにおいて大きなアドバンテージとなるだろう。
中に入った第一印象は、とにかく開放感があることだ。ワンポールである以上、天上が高いのは当たり前。そこに加えて壁がスッと立ち上がっていることで、テントの端まで背をかがめることなく歩いていくことができる。シェルターというより、これは布でできたキャビンだ。その余裕に溢れた居住性には感動さえ覚える。
左/ロゴのレイアウトも非常にシンプルでクール。製品全体を通じて、シックにまとめる大人の落ち着きを備えている。右/ワンポールテントの頂上部。しっかりした補強の他、開閉可能なベンチレーターを装備。そのベンチレーターのスライダーには操作用のロッドが設けられ、2mを超える高さのベンチレーターも簡単に開け閉めすることが可能にしている。
そして試しに運び込んだコットに腰掛けて納得した。このテントは椅子に座った高さでの快適性に優れている。目線を低くした時に実感する広々とした空間は、間違いなくサブポールによるものだ。
加えて、その風通しの良さが素晴らしいのだ。熱気はこの高い天井に設けられたベンチレーターに導かれ、シェルター下部には効率よく外気が取り入れられていく。それゆえに座ったとき、ちょうどいい高さで風が通り抜けていく。
事実、その後で横になったコットでは真夏の午後にも関わらず、心地の良い風を楽しみながら、しばしシエスタを頂いたほど。炎天下のシェルター内で涼しく過ごすという経験は、この豊かな空間ならでは、といえるだろう。
■スカイパイロット 仕様
サイズ 幅720×奥440×高270cm
重量 本体14.7kg、ポール5.6kg、ペグ2.1kg
カラー フォレストグリーン、ライトベージュ
付属品 本体(TCコットン)、センターポール1本(スチール)、サブポール4本(スチール)、ハンガーテープ2本(ポリプロピレン)、ペグ20本(スチール)、ロープ8本(ポリプロピレン)、キャリーバッグ、ポールケース、ペグ・ロープケース(ポリエステル)
価格 76,800円(本体 税別)
■想像を超えるコストパフォーマンス>モーニンググローリー(Morning Glory)
現実問題として、多くの人の購買対象となるのはこちらのモデルではないだろうか。正面の入り口を思い切り広くとった2〜4人用のシェルターながら、本体価格はなんと39,800円。今この瞬間に「買う!」を決意した人は少なくないはずだ。
シェルターの開口部は大きく、出入りにもストレスはない。ワンポールテントの形状を基本にしながら、入り口と左右にサブポールを備えることで、デッドスペースを消し去った。
花の名を与えられたこちらのシェルターこそ、外遊びの新兵器。フロアレスのワンポールシェルターに3本のサブポールを備えることで居住性を大幅にアップ。これを張っていれば天気が荒れても、キャンプが台無しになることはないだろう。雨音を聞きながら本を読んだり、雨を喜ぶ森を眺めながらおしゃべりをしたり、という楽しみに浸ることさえできるのだ。
事実、取材中にもスコールのような夕立に襲われたが、シェルター内部は快適そのもの。TCコットンはバタバタと布地を叩く大粒の雨にも何ら不安感はなく、椅子に座っていれば地面を流れていく水も退屈を慰めてくれる興味深い出来事になる。
何よりも夕立の後、カッと照りつけた太陽にシェルターからはもうもうと湯気が上がったほど。TCコットンの乾きはそれほどまでに早い。荒天、どんとこいなのだ。
モーニンググローリーには別売りでインナーテント(11,800円 税別)も用意されている。サイズは大人二人用で、小さな子どもなら一人くらいはプラスできるか、といったところ。シェルター内にピッタリフィットする形状ゆえに、全室に椅子やテーブルを置いて贅沢なリビングを作り上げることができる。カップルやニューのファミリーキャンパーにとっては、非常に魅力的な選択肢となりうる。
そしてスカイパイロット同様、モーニンググローリーもそのシェルター容積ゆえの快適さを備えていた。熱気を上部からうまく排出しながら、涼しい風を招き入れるエアフローの快適さは秀逸。もちろん、正面の入り口を始めとした開口部にはすべてネットが設けられており、涼しい風を楽しみながら不快な虫はシャットアウト可能だ。
左上/入り口左右のベンチレーターは壁をオーバーハングさせることで、雨の流れ込みを防ぐ構造になっている。右上/シェルター内に設置されたランタンハンガー。シェルター内の居住性アップに大きく貢献する。左下/バックパネルを全開放して巻き上げた状態。インナーテントのベンチレーターに、ダイレクトに空気を導くことができる。右下/バックパネルはおろしたまま、左右のパネルを巻き上げた状態。日陰を作りながら風を入れる他、シェルターだけを大人数で利用する時には出入り口としても利用可能。ポールを用意すれば、張り出してシェードにすることもできる。
加えて、このシェルターはワンポールテントとしての柔軟性を少しもそこなっていないのだ。特にシェルター後ろ側のパネルはファスナーで大きく開くことができ、巻き上げて風通しを良くしたり、跳ね上げてシェードにしたり、出入り口にしたりと状況に合わせた使い方が可能になっている。
このシェルターがあれば、もう天気予報がはずれても大丈夫。この先、キャンプの天気を気にすることはないかもしれないと思わせてくれるほどの安心感を、この価格で手に入れる事ができるのは驚き以外にない。
使いやすさ、安心感、居住性、豪華さ。これらを非常にバランス良くまとめあげた。モーニンググローリーは今回のサバティカルのラインナップの中で、もっとも人気を得ることになるだろう。
■モーニンググローリー 仕様
サイズ 幅470×奥470×高270cm
重量 本体9.2kg、ポール3.7kg、ペグ1.45kg
カラー フォレストグリーン、ライトベージュ
付属品 本体(TCコットン)、センターポール1本(スチール)、フロントポール1本(スチール)サイドポール2本(スチール)、ハンガーテープ1本(ポリプロピレン)、ペグ14本(スチール)、ロープ7本(ポリプロピレン)、キャリーバッグ、ポールケース、ペグ・ロープケース(ポリエステル)
価格 39,800円(本体 税別)、インナーテント 11,800円(別売り 税別)
■誰が張ってもキレイに張れるタープ>マリポサ M、 L(Mariposa M、L)
もしもすでに設置されているマリポサに接したなら。おそらく、あまり大きな感動はないだろう。細部に絶妙の補強が施され、ランタンハンガーまで付属する。使い勝手の良い、オーソドックスな製品だ。
だが、もしもこのシンプルな形状のスクエア型タープを自分で張ってみたなら、設営の腕が上がったのかと勘違いしてしまうだろう。それほどまでに簡単に、たるみなく張ることができるのだ。
秘密はその生地目にある。単なるTCコットンの四角い布ではなく、力のかかる方向を考えた上で、パネルに分けて縫い合わせているのだ。そのため、シワやたるみに繋がりやすい部分できちんと張力を受け止める設計となっている。
一枚のタープにここまでの機能性を盛り込んだこと。それがマリポサの魅力だ。タープの効用、使い方、使いみちは各自各々。細かく語ることはナンセンスだろう。しかし、日差しを遮り、雨を避け、時には人が集まる安心の場所としてのタープは、頑強な設営があってこそだ。そのためにはたるみなく、しっかりと張ることが重要になる。が、その「たるみなく」が、初心者にとっては難しかった。
マリポサはその点をタープ自身が解消している。今回の取材でもっとも大きな収穫は、この点に気づくことができたことだった。使ってみて、はじめてその優秀さに気付かされる機能的なタープなのだ。
●マリポサ M
4人程度の利用をイメージしたマリポサ M。2本のメインポール+2本のサブポールを使いながら、四隅を落とし込むことでタープの有効面積を大きく保つことに成功している。
左/ポールの受け部分はテープと金具によって補強。突然の風に煽られても、トラブルに繋がりにくい頑丈さを誇る。右/ランタンハンガーとして機能するハンガーテープ。高さを調整できるだけでなく、3つのリングを備えることで好きな場所にランタンを吊るすことができる。
■マリポサ M 仕様
サイズ 幅410×奥410
重量 本体4.85kg、ポール5.45kg、ペグ1kg
カラー フォレストグリーン、ライトベージュ
付属品 本体(TCコットン)、メインポール2本(スチール)、サイドポール2本(スチール)、ハンガーテープ2本(ポリプロピレン)、ローダウンテープ2本(ポリプロピレン)、ペグ10本(スチール)、ロープ8本(ポリプロピレン)、キャリーバッグ、ポールケース、ペグ・ロープケース(ポリエステル)
価格 27,500円(本体 税別)
●マリポサ L
6人程度のグループがゆったりとくつろぐことのできる大型サイズ。こちらも
2本のメインポール+2本のサブポールを使用し、四隅を落とし込む形状。
左/TCコットンの遮光性は抜群。夏の日差しをしっかりとカットし、タープの下に快適な空間を作り出すことができる。右/力のかかる方向にあわせて生地目を整えることで、無理な力がかからない。素直に張っただけで、生地にほとんどたるみが出ないのは嬉しい。
■マリポサ L 仕様
サイズ 幅500×奥500
重量 本体6.7kg、ポール6.05kg、ペグ1kg
カラー フォレストグリーン、ライトベージュ
付属品 本体(TCコットン)、メインポール2本(スチール)、サイドポール2本(スチール)、ハンガーテープ2本(ポリプロピレン)、ローダウンテープ2本(ポリプロピレン)、ペグ10本(スチール)、ロープ8本(ポリプロピレン)、キャリーバッグ、ポールケース、ペグ・ロープケース(ポリエステル)
価格 34,500円(本体 税別)
2019年8月20日現在、この新しいブランドがどんな展開を予定しているのかは明らかにされていない。だけだ。だが、その仕様を見ていけば、サバティカルが単なるテントブランドをめざしているとは到底思えない。
というのも、ここには明らかにストーリーがある。ブランドの名前、かつて扱ってきた商品とのシンクロニシティやロゴとの親和性。A&Fがこれまでにユーザーに与えてきた夢やアウトドアの高揚感。そうしたものを総合的に包み込む、次なるプラットフォームを創造しようとしているように思えてしまうのだ。
そうして僕らはこの新しいブランドを通じて、また新たなアウトドアの姿を思い描いている。サバティカルが自分のアウトドアライフに加わることで、変わるものがたくさんあるはずだ。
気になる発売時期は9月中旬と、まだ一月ほどの辛抱が必要だ。が、まずは外遊びの楽しみを大きく広げてくれるこのブランドの登場を、拍手を持って歓迎したいと思う。
■サバティカルについての詳細はこちらへ
SABBATICAL
(sumi☆photo)