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【OutdoorResearch②】フィールドに必要な機能を見極め、熱意とテクノロジーを全力で投入する

2020.12.16 Wed

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林 拓郎

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

 前回のストーリーでお話したように、OutdoorResearch(アウトドアリサーチ 以下OR)はつねに機能性を重視しています。いや、重視するというよりもORは機能性の上にこそ成り立っているブランドだと言っていいでしょう。


【OutdoorResearch①】アウトドアでの実践をもとに、ロジカルな思考で問題を解決していく“OR”


 その社風は創業者のロン・グレッグが科学者であったことに大きく関わっています。

 ロンは過去に、使っていた製品の完成度が不足したことで自分のアウトドア・エクスペディションを中断したことがありました。以来、彼は徹底してアウトドアギアを見つめ直していました。

 製品が満たすべき性能を想定し、そのために各パーツはどうあるべきか、どんな素材を使うべきか、製法や工法は適切なのかを精査する。

 ロンにとっては科学者らしいロジカルな思考でギアを理解することこそが、製品の完成度を高める手法でした。こうした考え方はときに、理屈にこだわりすぎている、あるいは考える時間を無駄に長くとっているとして敬遠されることもあります。しかしロンにとってはロジカルにものを考えることは失敗の理由を明確にし、危険をあぶり出すための危機回避策なのです。

 だから、この会社はOutdoorResearch(=野外考証。ニュアンスとしては、アウトドアにおける道具の研究)と名付けられました。ここはロジカルな説得力を持った製品が生み出される場所であり、機能性はビジネスに直結する「見た目」や「流行」、そして「世間の評判」や「売れ行き」といった事柄よりもずっと重要視されています。

OR的思考の象徴「Helium」

 さて、そうした社風がなにを生み出すことになったでしょうか? それは明快なコンセプトを持った製品です。そしてビジネスを最優先にしないことで、技術者たちは持てるテクノロジーを惜しみなく注ぎ込んで、尖ったアイデアを形にすることができたのです。

 こうした背景のなか、2010年に誕生したのが「Helium(ヘリウム) Jacket」「Helium Pants」です。登場初期のヘリウムは「こんなものがレインウエアとして成立するとは思えない」という批判的な風潮にさらされました。しかし自分の限界を押し上げようとしている最前線のプレイヤーたちからは高い評価を獲得したのです。一般受けはしないけれど、これがないと困るという熱狂的な支持者がいる。ORの製品は、こうしたイメージを得ることになりますが、決してこれはつくられたものではありません。本当に、そういう製品をつくっていたのです。

 Heliumは超軽量レインウエアです。それまでのレインウエアは防水透湿メンブレンを採用したものが主流でしたが、ORが考えたのはもっとフットワークのよいものでした。

 そのイメージの中心にあったのはクライミングです。持っていても気にならないくらい軽く、実用上十分な防水性を備えており、ムーブをじゃましないしなやかさを備えたレインシールド。

 こういった仕様を満たすためにORはPertex®を使用。基布を30デニールという薄いものにしつつ、軽量化のためにレインウエアには必需とされていたベンチレーターやドローコードなどを徹底して省きました。

 あまりに軽く、あまりにそっけないデザインに、市場はこれをレインウエアではなくウインドシェルだと思っていたほどです。が、実用上十分な耐水圧を備えながらもジャケットで200gを切る軽さにクライマーはもちろん、多くのハイカー、ランナー、バイカーたちが飛びつきました。なにしろレインウエアは着ている時間よりも、パックのなかに眠っている時間のほうが遥かに長いのです。軽さこそ正義であることをORのスタッフは身体で理解していました。

 Heliumを通じてマーケットは、ORがいかに製品のコンセプトを磨き込み、いかに多くの知見を持ってそのアイデアを実現するかを知りました。同時に、ジャケットのポケットがパッカブルポーチになるというアイデアに、このブランドがいかにアウトドアを楽しんでいるかを知り、自分たちと同じ目線の人たちなのだということを感じ取ったのです。Helium Bivy】ポール込みでもわずか445gという超軽量シェルター。ビビィの特性上、防水性と同時に透湿性も上げて内部の結露防止を重んじた。そのため基布には初期型Helium Jacketと同じPertex® Shield 2.5レイヤーを使用。30デニールのリップストップナイロンと組み合わせて、軽さとコンパクトさを実現している。ただしヘビーデューティーな使い方が想定されるとあって、フロアだけは40デニールにアップしてTPUラミネートを採用。堅牢な防水性を備えた。夏場での使用にも耐えるよう、蚊帳も備えている。価格:33,000円(税込)

 その後、HeliumはHelium Ⅱへと進化。いっそう軽くなり、耐水圧を高め、さらに使いやすくなります。

 そして2020年秋モデルではPertex®の新技術「Pertex Shield Diamond Fuse(パーテックス シールド ダイヤモンド フューズ)」を採用。基布の糸は30デニールと変わりませんが、従来型のHelium Ⅱの5倍の引き裂き強度を獲得。高耐久超軽量極薄レインウエアとしてのポジションを更に強固に確立させました。Helium Rain Jacket】2020年秋から登場した新しいHelium。ジャケットでわずか179gという軽さのまま、これまで同様の完全な防水性と高い透湿性に加えて、圧倒的な引き裂き強度を獲得。タフなレインウェアは、すでにトレイルランニングなど装備の重量にシビアにならざるを得ないフィールドでは定番化しているほど。価格:23,100円(税込)Helium Rain Pant】Helium Rain Jacketと同じく引き裂き強度をアップ。とくにランの現場では足元が枝や岩に引っかかって破れることもあったが、そうしたダメージを大きく低減させている点にも注目。裾がバタつかないようにファスナーで閉じることができるほか、シューズのレースにかけられるフックも装備。本当に大事な装備はなにがあっても省かないという、ORらしい思想もうかがうことができる。価格:17,600(税込)Helium Down Hoody】保温力にすぐれた800+FPのダウンを、軽くしなやかな15D×30Dのリップストップナイロンで包み込んだダウンフーディ。過酷な状況でもこの保温力を損なわないように、生地には完全防水&透湿性抜群のPertex® Shieldを使い、Diamond Fuseテクノロジーによって驚異的な引き裂き強度を備えた。軽く、あたたかく、動きやすく、頑丈で、場合によってはレインウエアに迫る防水性まで備えたウインターシーズン最強のスペックを実現。価格:40,700円(税込)

ほどよさを知る「Paclite」

 アウトドアに不慣れなうちは用心しすぎて、どうしても荷物は膨らむばかりです。しかしフィールドに慣れている人たちは状況に沿ったリスクをイメージすることができるため、いまなにが必要でなにが不必要かを理解し、適切な装備を選び取ることができます。

 状況とスペックを見極めることは、野外でのフットワークを低下させない重要な考え方です。ORのスタッフは日常的にバイク、ラン、ハイクなどさまざまなアクティビティを楽しんでいますが、本社のあるシアトルはアメリカ北西部にあり、夏でも曇りの日が多く、冬には冷たいにわか雨に遭うこともあります。Heliumは優れた製品ですが、日常的に使うシェルとしては生地が柔らかすぎて、やや頼りない部分もありました。

 やはりこのエリアにはもう少し頼りがいのあるシェルが必要だ。もちろん用心しすぎるあまり、やたらと重量のかさむものはつくりたくない。こうした考え方から登場したのが「Foray(フォーレイ) Jacket」に代表される軽快な防水シェルです。

 Foray Jacketは50デニールの基布を使って生地のハリを確保。そのうえで日常使いにも対応できるようフードのアジャスターやハンドポケット、ドローコード、ストレッチカフスなどを装備。使いこなす上でなんら我慢や不足を感じさせない製品として市場投入されました。

 Foray Jacket最大の特徴は、Paclite® テクノロジーを採り入れた2レイヤーのGORE-TEX®を使っている点です。2レイヤーは3レイヤーに見られる裏地がないことから透湿性が高く、しなやかなうえに収納性も抜群。湿気のヌケがよく、動きやすく、ふだんはパックの中にしまっておいてもじゃまにならないというメリットを備えています。
Foray Jacket】3レイヤーと同等のすぐれた防水性を発揮しながら、3レイヤー以上の高い透湿性を誇る2レイヤージャケット。Paclite® テクノロジーによって軽く、しなやかな扱いやすさを実現しており、アウトドアライクな日常からハードなアクティビティまでを幅広く受け止める。基布を50デニールとすることで生地に適度な固さを与えており、雨のなかでも肌との間にしっかりと空間を確保。濡れた生地が身体に張り付くことがないため、低い気温や冷たい雨にも対応可能。価格:31,900円(税込)
 しかし裏地がないためにメンブレンが露出しており、それが肌に触れてベタつく、あるいは皮脂汚れが付きやすいといった点がネガティブな評価につながるケースも見られます。が、ORとしての考え方はこうです。

「たしかに2レイヤーは直接肌に触れるとベタつきます。なのでロングスリーブのシャツを着たほうがよいです。そうすれば皮脂汚れも防ぐことができます。半袖で着たい? うん、それくらい高温多湿なら、いい提案があります。Forayではなく通気性と撥水性を備えたFerrosi(フェロッシー)シリーズを使うことをおすすめしますよ」

 Foray Jacketに限らず、道具には適した使い方があります。自分の行動様式を理解している人たちなら、2レイヤーのGORE-TEX® with Paclite® テクノロジーを使うことでオーバースペックを避けて軽量化の恩恵にあずかることができます。それは結果的に、快適さと動きやすさを手に入れるという大きなメリットに繋がっているのです。

OR的オールマイティ「Ascent Shell」

 こうしてみていると、ORは「あるコンセプトを満たすために、徹底した製品をつくる」ブランドに見えてきます。が、ORとしても単機能に特化した製品を作りたいわけではありません。ブランドゴールは明快で「どんな状況でも快適な、幅広い機能性」を実現することです。変化する自然に柔軟に対応できるオールマイティーさこそ、最高の機能性だと信じています。けれど、ゴテゴテとハイスペックにすればばいいというものではありません。なによりも製品は「筋道立てて使い方を考えることができる明快なロジック」を内包していることが重要なのですから。

 ORの大きな特徴として、トータルコーディネイトが可能という点があります。ベースレイヤーからインサレーション、シェル、パンツ、レインウエア、ハットやグローブといったアクセサリー類まで。そのラインナップはまさに、つま先から頭まで、です。

 というのもアウトドアアクティビティのジャンルだけでなく、季節・天候はもちろん行動様式まで考え合わせたとき、ひとつのアイテムだけで求める機能性を発揮させることは非常にむずかしくなります。そこでORが考えるのは、さまざまなギアが複合的に機能を発揮しあうチームプレイ的なレイヤリングです。

 こうした複合的なレイヤリングのゴールは、とりもなおさず安全性であり、そこに至る指針は快適さです。そしてこの場合の快適さとは乾いていることと、暑すぎず寒すぎずの適温であることにほかなりません。

 すでに肌の汗を吸い上げ、広げ、拡散させて蒸発させる素材はそろっています。しかし、そうして蒸気になった汗をもっと効果的に外気放出できないか。じつはORには、ひとつの理想的なシェルのイメージがありました。それは防水性を保ちながらも湿気ではなく、熱気そのものを抜く、というものです。

 ベンチレーターを通してではなく、生地そのものがあたたまりすぎた空気を通過させることができれば汗もかきにくくなり、防水性を維持したままで衣服内をドライに保つことができます。それは壁に張りついたクライマーや天候変化の大きな山道を歩くハイカー、標高差の大きなルートを走るトレイルランナーといった、運動量が大きく変化するけれど着替えに手間を割くことがむずかしい人たちにとって、抜群に使いやすいギアになるはずです。

 そしてトータルで複合的なレイヤリングが可能なORだからこそ、そうした守備範囲の広いシェルが必要だと考えてきました。

 道のりは簡単ではありませんでしたが、ORは完全に自社の技術のみでそれを成し遂げました。ちょっとクレイジーなくらいに情熱的で、やると決めたらとことん突っ込み、マーケットがどう言おうと自分たちが価値があると認めたものについては妥協しない。そうした姿勢が2017年、通気性を備えた防水素材「Ascent Shell(アセント シェル)」へと結びついたのです。Skyward Ⅱ Jacket】防水透湿性に加えて、ごくわずかな通気性を備える「Ascent Shell」を3レイヤーで採用。加えて表地にストレッチ性まで与えられたバックカントリースノージャケット。ジャケット内部を常にドライに保ちながらも、スノージャケットにありがちな重さや生地のゴワつきを完全に排除。しなやかで軽快な着心地を誇る。価格:50,600円(税込)

 この素材の快適さは、レイヤリングが機能的に成り立ったときに際立ちます。単にシェルを着ただけでは、なんだかスースーする風通しのいい素材に思えるかもしれません。冬場に使えば「寒い」というコメントが寄せられるのも理解できます。しかし通気性を備えていることで熱気放出が早く、内部結露しにくく、衣服内に湿気がこもりにくい。スースーしたとしても、結果的にそれが汗冷えを防いで快適さを裏支えしてくれることになります。【Airpurge Dry Compression Bag】2021年春発売予定。「Ascent Shell」の技術を応用したドライバッグは、素材がもつ通気性の部分に注目。ラフに荷物を放り込んで口を留めてしまえば、ぎゅっと押すことで生地を通して空気が抜けていく。防水素材が通気性を持つという特徴をフィールドに生かし、多くの人達が苦労していたドライバッグの空気抜きを今までにない手法で簡単にした。まさに求めれられる機能をテクノロジーで解決した好例。価格:15ℓ/6,710円、35ℓ/7,920円 (各税込)

 創業以来、いや創業の前から、ORはロジカルに機能性を追求してきました。すべての製品には明確なコンセプトが埋め込まれています。それは取りも直さず、開発段階で使い方が想定されているということです。

 それだけに自分の使い方と製品の特性、求める性能と与えられた機能性がマッチしたときには、ほかに替えることができない大きな満足感を与えてくれます。そしてその満ち足りた気持ちが、絶大な信頼感と安心感へと繋がっていくのです。

(構成・文=林 拓郎 写真=岡野朋之)
 
 

■商品に関する問い合わせ先:エイアンドエフTEL.03-3209-7575

 
 

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