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【行ってみた】パワースポット!? 龍神様を拝みに、信仰の山、七面山へ

2015.06.24 Wed

滝沢守生(タキザー)

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

 20年ほど前のこと。一週間の寺篭りを無事終えたおばあさんが、お堂の裏手にある池のほとりで下山前のひと時を過ごしていた。標高1,700mほどの山中にひっそりと水をたたえるその池は、神秘的な雰囲気が漂い、かねてから龍神が棲むという言い伝えがあった。池は、一之池という。

 さて、そろそろ下山しましょうか。おばあさんはそう思い、ふと池を見上げると、水面から天へ向かって真っ白い水しぶきが舞い上がった。腰を抜かすほど驚いたが、手に持っていたカメラで何枚も写真を撮ったという。後ほど現像すると、そこには天へ向かって登る真っ白な龍の姿が写っていた。

 日蓮宗の聖地であるこのお寺、敬慎院第120代別当(法主)であった日誠上人(※1)から聞いた不思議な話。実際に写真を見た上人が語った、嘘のような本当の話だった。

 以来、いつか七面山に登って、一之池を見てみたいと思っていた。

 6月上旬、七面山を登る機会に恵まれた。ルートは表参道と裏参道のふたつ。メジャーな表参道を登る。登山口手前には、女人禁制を解放した徳川家康の側室、お萬の方の像が立つ。白糸の滝に打たれ身を浄め、ついには登詣して女人の道を開いたという。

 鳥居の立つ登山口からピークまでは、一般的なコースタイムで約4時間。朝9時、トレラン風スタイルだが、のんびり登って標高1,989mのピークをめざし歩き始める。ルート上には小さな石塔が1丁ごとに設置され、ピーク手前の敬慎院がちょうど50丁。人生50年という、かつての寿命になぞらえた数が由来とのこと。その間、随所に日蓮聖人の言葉が刻まれ、これを読みながら登っていく。なかなかいいこというねぇ、日蓮さん。

 2丁目の神力坊を過ぎたあたりから、「なむみょうほーれんげーきょう」という声が聞こえてくる。一人が唱え、一緒に下る全員が呼応する。延々とお題目が山にこだまし、小さな子どもから年配の方まで、下山する白装束の老若男女が次々と降りてくる。ここでは下りでも参詣者が優先。「ご苦労様です。お気をつけて」と声をかけ、道を譲るのがマナーだ。今日はおよそ300人が降りてくるという。

 その後、13丁目の肝心坊、23丁目の中適坊、36丁目の晴雲坊で、少々休憩。さらに進み、つづら折れをいくつか過ぎると、46丁目の和光門がルート上にでんと現れる。合唱して門をくぐれば、間もなく敬慎院だ。山頂はここから30分ほど。残念なことに眺望はない。むしろ、一之池や二之池、奥之院など、敬慎院の周辺を散策するほうがお勧めだ。

 僧坊でもある敬慎院は、誰もが宿泊可能。1泊2食で5,200円。この料金にはご本尊の御開扉料も含まれており、朝夕のお勤めに出れば、帰りには護符をいただける。就寝時間は21時、起床時間は4時。部屋は相部屋で、食事もそこでいただく。

 翌朝、4時33分のご来光に合わせ、展望のきく随身門の前に立つ。かなり肌寒いが、見事なご来光に救われた。写真を何枚か撮り、ほどなく今回最大の目的である一之池へ。

 残念ながら、龍神様は現れてはくれなかった。そう、うまくはいかないか。ただ、帰宅後、撮った写真を見ると、随身門ごしに撮った一枚に細長い真っ白な筋が、これはもしや……。いやいや、どう見たって富士山にかかった白い雲。とはいえ、見事なご来光と富士だった。
(文・写真/DO Mt.BOOK)

■宿坊情報/七面山敬慎院
所在地:山梨県南巨摩郡身延町身延4217-1
宿泊可能期間:通年
収容人数:(おそらく)2,000名程度
宿泊参拝料:1泊2食5.200円
連絡先:0556-45-2551(要電話予約)
URL:www.kuonji.jp/shichimenzan/

滝沢守生(タキザー)

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

本サイト『Akimama』の配信をはじめ、野外イベントの運営制作を行なう「キャンプよろず相談所」を主宰する株式会社ヨンロクニ代表。学生時代より長年にわたり、国内外で登山活動を展開し、その後、専門出版社である山と溪谷社に入社。『山と溪谷』『Outdoor』『Rock & Snow』などの雑誌編集に携わった後、独立し、現在に至る。コンサベーション・アライアンス・ジャパン事務局長。

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