- 山と雪
イラストレーター・成瀬洋平「山の世界を追体験してもらえるような 作品を描きたい」
2015.05.07 Thu
山をモチーフとした作品を発表し続ける
イラストレーター・成瀬洋平さん。
精力的に山を歩き、岩を攀じり、
その世界を表現する成瀬さんに、
「山」と「絵」の魅力についてきいた。
「山」と「絵」ふたつの世界と出会ったきっかけ
「初めての本格的な登山は、山の好きな父親に連れられて登った北アルプスの燕岳でした。小学1年生のときですね。それ以来、蝶ヶ岳、立山、白馬といった調子で北アルプスを中心に登り続けました。高校生になってからは地域の社会人山岳会に入会し、クライミングジムにも通いはじめました。フリークライミングに傾倒しはじめたのはこの頃ですね」
「子供のころから図工の授業や絵を描くことは好きでした。父が木工作家で兄が美術部。そんな環境も影響したのかもしれません。絵をちゃんと始めようと思ったのは高校3年生のとき。ホルベインの水彩絵の具とスケッチブックをもって山に行くようになりました」
隠された異世界「山」を表現したい
「山の魅力わかりやすく言うと『下界とはちがう』という点だと思います。夏にも雪があり、雲よりも高い異世界。風景のすべてが完璧で、不自然なものがひとつもない。そんな場所へ自分の足で向かっていく。旅のひとつではあるけれど、普通の旅行はまったくちがいます。そんな世界で自分が見たもの、感じたものを表現したいと思っています。僕の見た世界を僕の絵を通じて追体験してもらえたら、それ以上嬉しいことはありませんね」
風景に「溶け込む」ためにソロで山へ
「絵を描きたいときは、ひとりでテントをもって山に入ります。アメリカのバックパッキングの文化に憧れがあったので、以前は長い縦走が好きでしたね。ヨーロッパの『山を征服する』という姿勢よりアメリカの『自然に溶け込む』というスタイルのほうがしっくりきたんです。しかし、それをひっくり返したのがクライマーのガストン・レビュファらの著作。ヨーロッパのアルパインクライマーも純粋に山を愛していて、山へ入ること自体を喜んでいると知ってからは、アルパインクライミングも通底する精神はバックパッキングと同じなのだと気付きました。今は縦走もアルパインも、どちらも同じ感覚で楽しんでいます」
バックパックはシンプルな「アルピニスト50」を愛用
「短い縦走ではグレゴリーのアルピニスト50を使っています。これは岩場にフリークライミングにいくときも愛用しています。道具はシンプルで軽いものが好きですが、シンプル過ぎて使いづらいものや、軽さを求めるあまり弱いものでは困る。その点、アルピニスト50は過不足のないデザインと丈夫な布地が気に入っています」
「また、背面システムがしっかりしていて、きちんと背負えることも重要です。ある程度の荷を担ぐときは、バックパックそのものが少々重くなっても、荷物を軽く背負える背面システムのほうが快適です。軽量化に重きをおくアルパイン向けパックのなかで、アルピニスト50は背負い心地の良さでも気にいっています」
「サイドから荷物にアクセスできるジッパーや着脱式でマットとして使える背面パッドなど細部の作り込みいい。アルパイン向けパックのシンプルさとグレゴリーらしい背負いやすさ、使いやすさが一体となったパックだと思います」
成瀬洋平
「山」をモチーフの中心に据えるイラストレーター、紀行作家。山行の記録を山岳雑誌に発表するほか、精力的に展覧会やワークショップも展開。岐阜県の山中に自身で建てた小屋に暮らしながら、アルパイン、フリー、縦走などさまざまなスタイルで山にむかう。
成瀬洋平の素描日記
GREGORY/
アルピニスト50
¥27,000+税
容量:48ℓ
重量:1.6Kg
トルソ:46〜51㎝
(上記スペックはMサイズ)