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砂嵐とともに富士山を爆走する爽快感!今年は〈大砂走り〉が熱いんです

(2018.08.15)

登山のTOP

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 こんにちは。ライターのホウチナオミです。今年の夏は、まだまだ暑いですね~。私が住んでいる富士山の麓、標高の高い御殿場市も今年は例年になく暑いです。自宅の窓から見える富士山は、山開きを迎え、まだ暗いうちから山を登る登山者のライトが光って見え、まさに登山シーズン真っ只中です。

 ところが、先日、いつものように富士山を眺めていると、山の中腹あたりに茶色い煙をあげて、ものすごいスピードでなにかが落ちていくのが見えるではないですか! しかも一定の間隔をあけて……。「あれはなに?! 動物? 竜巻?! 」
(動画=御殿場市ホームページより)

 双眼鏡でのぞいてみると、砂埃を巻き上げて落ちていくように見えたのは、なんと足の速い人間でした!。毎年、夏の御殿場で開かれる、富士山山頂と麓を往復する駅伝「富士登山駅伝2018」の練習をしている選手たちだったのです。1707年(宝永4年)の宝永山の噴火により、大量の厚い火山灰や砂礫に覆われてできた約7キロにおよぶ「大砂走り」と呼ばれる七合目から新五合目まで続くこの斜面の道を、ものすごいスピードで駅伝選手たちが走り抜けていく様は、御殿場の夏の風物詩となっているそうです。御殿場市陸上競技場(標高約580m)から富士山山頂(3776m)まで46.97kmを6人、11区間で往復する富士登山駅伝は、世界一過酷な駅伝のひとつだ。今年は滝が原自衛隊チームが総合優勝・トヨタスポーツマンクラブが一般優勝(写真=御殿場市)

多様な魅力を持つ御殿場ルート

 選手たちの大砂走りを見て、さっそく私も1000mの標高差を駆け下りたくなり、富士山新御殿場口新五合目から、バックパックひとつで山に登ってみました。自宅から御殿場口新五合目までは車でほんの20分ほど。この登山口は期間中に唯一、マイカーで行ける登山口です。
富士山頂には2回登ったことがあるので、今回は山頂を目指さずに、中腹にある双子山まで行き大砂走りを下りてくる御殿場口新五合目からの日帰りコースをとることにします。ちょうど、富士山新五合目の情報ステーション・トレステで無料のガイドツアーがあったので、参加してみました。
 同行してくれた御殿場市の山岳富士山世界遺産ガイド、勝亦(かつまた)さんが富士山周辺の山について教えてくれます。御殿場ルートは、登りに時間がかかることからハードなコースと思われていますが、最も静かで通好みの、変化に富んだコースだそうです。なかでも、お椀をふせたような地形の山が並ぶ双子山周辺には見どころがたくさんあります。大規模な宝永噴火の様子を今に伝える宝永山や、その噴火の火山灰が厚く積もった大砂走りなど…。「頂上を目指さなくても、富士山周辺はおもしろいんですよ」

 山登りのキャリアが長い勝亦さんは、富士山に30回以上も登頂、登山道の整備などにも毎年携わり、御殿場ルートを熟知しています。
「原生林だからね、この辺りは」

 トレステから双子山への登山口を歩くと、大石茶屋方面へ上る道とは違い、こんもりとした緑の苔の絨毯が広がる小道は、北八ヶ岳の山道を歩いているよう。森林限界のきていない森の中は、とてもいい匂いがします。
 鹿の足跡をたどったり、季節外れのウグイスの声を聞きながら、木々で覆われた一枚岩盤の幕岩に到着。昔は修験者が修行をしたという幕岩を見上げれば、その高さに足がすくみそうになります。岩盤とは思えないほど草木に囲まれた幕岩を出ると、富士山の原生林が生い茂る林間歩道を歩き、双子山の山頂へ。富士山頂に向かって荒涼とした砂地が広がる中、二ツ塚下塚(下双子山)に立ち寄れば、雲海が眼下に広がり、箱根、相模湾などが遠くに見えます。短いコースですが、人々の信仰を集めた富士山や宝永山の頂上もきれいに見える神秘的な道で、山頂を目指さない富士登山もいいなぁ…と感じました。

御殿場ルートは東斜面に面しているので、頂上だけでなく登山道のほぼどこからでもご来光を拝める

 双子山の頂上から富士山の登山道に合流したら、そこは「大砂走り」です! あの、選手たちが駆け下りていた場所。頂上まで登ったら、ふたたび一歩一歩、歩いて下るのが普通の登山ですが、一気に下山できるのが御殿場ルートの特権です。「うりゃ~」と山道を駆け下りたら、眼下に宝永火口、箱根連山、駿河湾はもちろん、江ノ島や三浦半島も見渡せます。この爽快感、たまりませ~ん。
大砂走りではくれぐれも転倒やケガにご注意ください。足捌きのうまい人は体幹を使ってサッサッと音も立てずに下りて行きます。う~ん、私のはイノシシの突進…。
 さらに2018年9月8日には、今回登った双子山や宝永山を舞台に、1327mを駆け上がる〈SALOMON御殿場宝永山1327〉が開催されます。駆け下りるのではなく、こちらは「駆け上がる」という過酷なレース! レースプロデューサーにサロモンアスリートの大瀬和文選手を迎え、大砂走りをひたすら登り、山頂でフィニッシュするというチャレンジングな大会です。(←エントリー受付中)

 暑い大砂走りをますます熱く! 今年の夏は富士山中腹の山々と合わせて変化に富んだ登山を楽しんでみるのはいかがでしょうか。

<御殿場ルート登山口>
富士山御殿場口新五合目
〒412-0006 静岡県御殿場市中畑
アクセス:
東名高速 御殿場IC出口から約40分
または、JR御殿場線御殿場駅から登山バス(路線バス)で約40分

マウントフジトレイルステーション
http://mtfujitrailstation.com/

<SALOMON御殿場宝永山1327>

開催日:2018年9月8日(土)
会場:マウントフジトレイルステーション
エントリー:宝永山行き[5.5km +1327m -117m]/双子山行き[2.1km +461m -9m]
表彰対象:
・宝永山行き/総合男女1~5位、年代別1~3位(総合を除く、10歳刻み)
・双子山行き/年代別1~3位(小学生、中学生、一般)
●大会事務局お問い合わせ
アクティフ合同会社info@actiff.jp
大会ホームページ:https://hoei1327.com/

 
 
ライター
Hochi Naomi

年間150日は野外で過ごす元祖・肉食系自然派ライター。シーカヤック歴は23年、世界一周ヨットに3年連続便乗取材中。狩猟免許と看護師免許を持ち、最近はトレイルランニングにもはまっている。著書に「タムタムアフリカ」(山と溪谷社)ほか。

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