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【海外登山】韓国ソウルの冠岳山に登ってきた

(2019.12.03)

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 11月の終わりに仕事で韓国のソウルに行く機会があり、週末を挟む日程だったのでソウル近郊の山に登ろうという話になった。韓国人の友人が選んだ山は冠岳山(관악산 Gwanaksan カナクサン)という山。日本で高尾山に登るくらいの感覚なのかと考えていた。しかし、実際は……。

 冠岳山の基本情報を簡単に説明しておこう。冠岳山はソウル南部に位置する標高629mの低山。冠岳という名の通り、冠を被ったようなピークを持つ。山頂付近には仏教の寺院もあり、信仰の山でもある。メインコースはいくつかあり、ソウル大学、果川(カチョン)、舎堂(サンダン)周辺から登山口がある。今回、友人が案内してくれたのはソウル大学側から登り、カチョンへ下山する約6km弱のコース。

 タクシーで美しい紅葉に包まれたソウル大学のキャンパス横を通り、登山口に到着。いざ登山開始だ。事前に調べていた情報によると、比較的登りやすい巻道ルートと、険しい岩場を登るようなルートもあるらしい。友人が軽いランチハイクだと言っていたので、まぁ高尾山の稲荷山コースぐらいの感じかなとタカをくくっていた。

 しかし友人が最初の分岐点で「ダメダメ、あっちのルートはつまらないよ」と言って選択したルートはいきなりの急登。ほほう、面白い。この先どんなルートが待ち受けているんだ? と強がってみたが、少しイヤーな予感がしていた。体力的な問題ではない。私は高所恐怖症なのだ。

 登り道の斜度的には、赤城山の黒檜山ルートぐらいといえば想像つきやすいだろうか? 違いは樹林帯かどうかという点。冠岳山のこのルートは木々がまばらなので、高度感を感じやすい。とはいえ足場が悪いわけではないので、下を振り返らないようにしてグイグイ登っていく。

 途中、凹凸のない一枚岩を歩くところもある。この日の天気は曇りで岩は濡れていなかったので、シューズのグリップも効くが、慎重に登る。我々が登っているルートを山頂から下ってくる人たちも大勢いる。上だけを見ての登りより、この斜度を下る方が私は不安だ。

こちらの垂直の壁はロッククライミングの名所だとか。怖すぎて近づけなかった

 途中、見晴らしのいい絶景ポイントがいくつかある。ソウル市街やカンナム市街も見渡せる。晴れていれば北漢山(ブッカンサン)なども見渡せるという。所々の絶景ポイントでは、お弁当を広げてランチを取っている登山者も見かけた。ただし、韓国の登山では火器の使用が禁止されているところがほとんどだそうで、バーナーでお湯を沸かしてラーメンを食べるといった光景は見られなかった。

 最大の難所(?)にはフィックスロープがかけてある。一緒に登った韓国のトレイルランナー はロープを使わずヒョヒョイと登っていったが、私は遠慮なくロープを使わせてもらった。

 少し休憩多めだったが、登りはじめから約2時間で頂上に到着。頂上エリアは大勢の登山客で賑わっていた。韓国の登山は年齢層が高めと聞いたことがあったが、案外若い人たちもいた。ウエアもスタイリッシュだ。山頂の石碑の前では代わる代わる写真撮影していて、なかなか順番が回ってこない。まるでテーマパークのインスタ映えスポットのようだ。

「ところで三角点はどこだ?」と探していると、石碑よりもちょっと小高いところにそれらしき地点がありそうだが、おじさんが腰掛けてお弁当を食べていた。「そこどいてください」とは言い出せずこっそり撮影。韓国の人は三角点にはこだわってないのかな?

 リーガルなのかイリーガルなのかは定かでないが、頂上ではビールを売っていた。友人に通訳を頼んで値段を聞いたら3,000ウォンとのこと。日本円だと約300円ぐらい。躊躇することなく購入。うん、やっぱり山で飲むビールは美味い。もうこの頃になると、崖横を歩いてビビったことなど吹っ飛んでいる。

 ちなみに、山頂にはトイレなどの施設はなく、少し下ったところにある寺院の敷地内にあった。

 下山し始めた頃から天気予報どおりの雨が降り始めた。レインウエアを羽織って、下山道を順調に下っていく。下山のコースは、寺院への参拝のコースを兼ねているのか、基本的には石の階段となっていて歩きやすい。斜度もあまり急ではない。木々も茂った沢沿いの遊歩道といった雰囲気で、ソウル大学側からの岩登り稜線コースとは対照的だ。ただし、こちら側は距離が長い。雨に降られ始めたこともあって、山頂からほぼ休憩なしで下り、約1時間ほどで下山。カチョン側の登山口に到着。

こちらのルートはまだ紅葉が残っていて、小雨まじりでもいい雰囲気

 ここにはいくつかのローカルな雰囲気の(おしゃれではない)食堂があって、下山してきた人たちが食事をするらしい。我々もさっそくマッコリで乾杯。タットリタンという鶏のピリ辛鍋で雨で冷えた体を温めつつこの日の登山が終了した。

 初めての韓国登山だったが、いろいろと新鮮だった。韓国では市街地から山までが近く、気軽に日帰り登山を楽しんでいるのだそうだ。日本からでも、週末だけの韓国登山なんてことも可能だ。LCCなどを使えば、首都圏から北アルプスに行くより交通費は安いかもしれない。

 日韓関係が悪化しているなどのニュースも聞こえてくるが、私が会った人たちは非常にフレンドリーで嫌な気持ちになったことはない。訪れる側もそんなに気構える必要はないんじゃないかな。ニュースで見聞きすることはごく一部のことなのかもしれない。難しいことはさておき、お隣の国なのに日本とは違う山容、違う登山文化を体験できた今回の山行だった。また機会があれば違う山にも登ってみたい。

 
 
ライター
渡辺信吾

アウトドア系野良ライター。デザイナー、Webディレクター、コーディネーターとしても活動中。波乗り、雪乗りで一年中真っ黒。 ホームページ「NORA」

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