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災害時にも役立つポリ袋炊飯から塩むすびまで!「ものぐさ男の山ごはん㊿」は山で必ず使える“お米”の基本テク

2020.04.13 Mon

A-suke BASE CAMP 店長

みなさん、こんにちは。「BASE CAMP」のA-sukeです。
ソロでの軽いハイクだと朝イチ電車に乗る前にコンビニで昼ごはん買う人も多いと思うんだけど、温かい食事を山で食べたくない?ってことで「コンビニ食材を利用した山ごはんレシピを紹介していこう」というのがこの連載。

 いやいや、大変なことになりましたね。山の近所に住んでいる人以外はフィールドに出かけたくても出かけられない日々を送っているんじゃないでしょうか?

 この連載はコンビニ食材でササっと作れるレシピなので在宅勤務だけど普段は自炊しない人なんかにもオススメ。

 というわけで今回は連載50回を迎える特別企画として禁断の領域に足を踏み入れます。
「米」です「コメ」。今回は炊飯なのです。

 実際問題この連載でレシピを考える際に一番難しいのは「おかず」ではなく「主食」だってこと。米があればアレだってコレだってなんだってできるのに!とか思いながらもリゾットや麺類などにして提案してきたわけ。

 しかし山でも米は炊けるのだ。実際には使う燃料との兼ね合いや、炊くほど米が欲しいのか!?とか、クッカーがもうひとつ必要じゃないか!とか問題(?)はあるんだけど、今回はアウトドア炊飯の基本を一気に紹介したいと思います。
 まず紹介するのは塩むすび。

 炊飯ではありませんがアウトドアごはん&コンビニ食材で手っ取り早く米を用意するとなったらコレが一番早い。温かくするためには蒸すしかありません。蒸すという行為は意外なほど簡単だしコッヘルもほぼ汚れない。

 しかし通常のコッヘルセットだけでは蒸せないので工夫をしなくちゃならない。一番いいのはコッヘルの内寸に収まる蒸し網を用意することなんだけど……、なかなかどうして小さいサイズの蒸し網はありません。知っている方いればだれか教えてください。

 メスティンだとジャストなサイズの蒸し網が出ているのでオススメ。普通のコッヘルの場合はエバニューから蒸し皿という商品が出ているのでコレがいいかもしれない。でも脚が付いてないので同じくエバニューのゴトクを使うか、アルミホイルや石などを脚にするとか結局工夫が必要かも……。

 今回は塩むすび一個なので普段使っているコッヘルにチタンカトラリーで底上げをして、クッキングシートを皿のようにして蒸しました。
 コッヘルに少量の水を入れてカトラリーをクロスさせて置きます。

 このやり方はカトラリーがコッヘル内に収まる場合しかできないのでご注意を。わたしが愛用しているEPIのショートチタンカトラリーセットはこんな使い方もできるのでとても気に入っている。

 それから沸騰した水がシートの上に侵入しないように、クッキングシートを敷いてストーブへ火を入れて沸騰させます。
 中心に塩むすびを置いてフタをして3分ほど蒸せばできあがり。

 冷たかった塩むすびがすっかり温かくなっています。これは蒸すために道具を工夫することだけできれば結構使えるテクニックですよ! なお蒸すときはコッヘルが空焚きにならないように注意しましょう。

 ちなみに塩むすびを米として食べる場合のデメリットは塩が効いているということ。味の強い料理で丼みたいにするなら問題ないけど、お刺身などで白米が欲しいときにはオススメできません。
 そして次はコチラ、パックご飯。通常は電子レンジで温める商品ですが……。
 よく読むと書いてあります。ナベで湯煎すればOKなのだ。
 ただ、パックのまま温められるサイズの鍋がないといけないので、最低でも直径15㎝程度は必要。それに15分も湯煎しなければならないのだ。ご飯を温めるだけにしては時間と燃料を使うことになる……。

 そこで!

 パックご飯のメーカーさんはパッケージに書いていないが、蒸して温かくする方法を模索してみた。

 結論としては問題なくおいしく食べることができる!

 しかしパックご飯の中身だけ取り出して蒸すというのもアウトドアではなかなか大変。パックご飯がそのまま入るくらいの大きめのコッヘルに限定されてしまうが、パックのまま蒸すことを推したい。
 塩むすびの時と同じようにカトラリーを敷いているがフタでも石でもアルミホイルを丸めたものでもなんでもいい。その上にフタを開けたパックごはんを置く。リップがコッヘルの側面に触れて気になったのでナイフで切り落とした。
 そしてフタをして蒸すこと5分で温かくおいしい白米にありつけた。この方法だとパックごはんの容器が皿の代わりにもなるしコッヘルもほぼ汚れないし時間も燃料の消費も少ない。これこそアウトドアで白米を用意するのにもっともオススメできる方法だ!

 最後はやはり生米。
 もっとも安く手に入りもっともコンパクトに運搬でき、常温で長く保存できて、大昔から日本人の生活を支える食材。基本のキなので、コッヘルでの炊き方は絶対にマスターしておいた方がいいだろう。

 普通のお米なら研がなきゃならないのでアウトドアでは「無洗米」を使うのがグッド。
 
 米は通常1:1~1:1.2の分量の水で炊くというのを覚えておくといい。シェラカップでもなんでも米を測ったカップで同じ量の水+αで炊けばうまく炊けるのだ。
 
 そしてもうひとつコツがある。キチンと水を吸わせないとうまく炊けないのだ。通常30分~1時間は米を水に浸しておこう。
 だからおいしいお米を炊くには自宅からジップロックやナルゲンなどに水と一緒に入れて持っていくのがオススメ。「家からだと1時間を超えてしまう」なんて心配は無用、米は水を吸いすぎることはないのだ。

 実際に炊くには、水ごとコッヘルに移してフタをして沸騰するまで強火、そのあとは弱火にして11分11秒加熱して火を止める。そのあと11分11秒ほど蒸らしたらきれいに炊けているはずだ。

 水加減と火にかける時間は「米はイチイチちょっとめんどくさい」(1:1~1:1.2&11分11秒)と覚えよう。これは覚えやすいようにしているので炊くのは10分ちょっとで問題ない。

 もし炊き上がりに芯が残るようなら水を吸わせる時間が短いのだ。この炊き方は家庭で炊飯器を使わずに米を炊くのときも一緒なので、ぜひ覚えておくといい。
 そしてもうひとつ炊き方がある。ジップロック炊飯といわれる方法だ。

 ジップロックに入れた米と水をそのまま湯煎して炊く方法。湯煎20分ほどと蒸らし10分程度で炊きあがるテクニックで、湯煎する側の水は泥水でも問題ないことから災害の現場でも使えるテクニックだし、レトルトカレーなどを一緒に温められるというのもメリットだ。

 しかし、僕も今まで何度かやったことはあるんだけど結構な頻度で失敗する。沸騰した水にジップロックを入れた途端にビニールが溶けるほどではないけど緩くなってしまい、しばらくすると中の米が出てしまうことが何度かあった。

 とくに本家の旭化成のジップロックではなく、値段の安いジップ袋でこういうことが頻繁に起こる。鍋肌に触れて溶けてしまったというのもあると思うが、溶着している部分が剥がれたという方が近い気がする。
 
 なんでだろうと思って調べてみると、ジップロックは一番強度が高いフリーザーバッグでも耐熱は100℃までなのだ! じつはジップロックでの炊飯はこのような問題がつきまとう炊飯方法だったのである……。
 しかし同じような炊飯方法でも、ジップロックではなくポリ袋炊飯なら問題ないようだ。

 ポリ袋に使われる「高密度ポリエチレン」のものは耐熱が110℃程度ということで、沸騰した水での湯煎に耐えられるというわけだ。で、高密度ポリエチレンってなによ?ってことなんだけど、「半透明」のポリ袋ならコレに該当するようだ。炊飯には「アイラップ」という商品が某サイトでオススメされていた。

 まぁ、やり方はジップロック炊飯と同じなんだけど、ポリ袋に米と水を入れて口を結んで運搬というのはジップロック以上に心もとない……。現場でポリ袋に移すか袋ごとナルゲンボトルなどに入れて運搬するのがいいだろう。
 ポリ袋炊飯も直接ナベ肌に触れないようにカトラリーや皿などを底に敷いておこう。
 沸騰した水の中にポリ袋ごと入れてフツフツするくらいの火加減で20分ほど湯煎すればよい。この際、ポリ袋の中の空気はできるだけ抜いておこう。ただし、結び目は袋の上の方で! これは米が水を吸って膨らむスペースを確保するため。空気を抜いたあと遊びがない状態で結んでしまうと最悪ポリ袋が破裂してしまう!
 ポリ袋で炊いたお米は正直普通に炊くよりもおいしいとは言えない。芯はないものの粒と粒がくっついて柔らかく感じる……。おそらく米が膨らむのを袋が抑え込んでしまっているといった感じだろう。昔から米が踊るとおいしいなどというが、袋の中では踊れないに違いない。火にかける時間も長く、燃料も多く使うし、実際山でオススメする炊飯方法とは思っていない。

 それでもコッヘルを汚さない、湯煎する水は泥水でもいい、他のモノも一緒に湯煎できるなど利点もそれなりにあるから、頭の片隅に覚えておいても損はないと思う。

 ひと口に米を炊くといってもいろいろな方法がある。ときと場合によって使い分けるといいと思う。

 さて、次回はこの白い米を利用して今まで紹介したくてもできなかったあの料理を作るぞ! こうご期待!
(文・写真=BASE CAMP A-suke)


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