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お山のてっぺんカゲ遊び

(2013.06.09)

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東に昇る太陽を背に、西の大地に描かれるカゲ旭。おっきな大きな北海道のキャンバスだ。このときは、山頂直下の裏旭キャンプ指定地にテントを張って、山頂で御来光を待っていたときに遭遇

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こちらは、カゲ常念。常念岳の三角お山の形がくっきりと、安曇野の平野に描かれている。上の旭岳とはちがって、太陽は西。夕闇迫る北アルプスの一瞬の現象だ。このときは、常念小屋のキャンプ指定地をベースにしていた

kageyari

この時間帯の空は刻一刻と色を変え、紫色に染まる槍ヶ岳なんて貴重な一瞬にも遭遇できた。ただし、夜に向かうときの登山には細心のご注意を。ヘッドランプも必携ですよー

 ブロッケン現象といえば、山頂などで太陽を背にしたときに、自分のカゲの回りに虹のような光の輪が生じることをいう。欧州ではブロッケンの妖怪とも呼ばれているし、日本では御光とも御来迎とも呼ばれている。悪魔の到来なのか神の降臨なのか、善か悪かはともかく、古来からブロッケン現象は人々を惹き込まずにはいない。
 
 光学現象としてはとくに珍しいことでもないが、やはり、山頂でブロッケンなどに遭遇すると、登山者のテンションは急上昇↑。思わず、カゲに向かって手を振ってみたり、両手を広げて神になった気分を味わってみたりするものだ。

 ブロッケン現象は、太陽の斜光と対象物の位置関係によって生まれる現象である。つまり、故意でも偶然でも、その場にいなければ遭遇することはできない。同様の意味で、その一瞬しか味わえない山の楽しみがある。ブロッケン現象よりも派手派手しさはないものの、もっと壮大な気持ちになれる現象だ。
 
 それが「カゲ山」。よく影富士とか影鳥海なんて言葉を耳にすることがあるけれど、あれは、どんな山でも起こりうる現象だ。

 なにも山頂にいなくとも見られるものの、やはり山頂から見ていれば、その感動の深さもひとしおだろう。なんたって、大地をキャンバスに、自分の立っている山自体が大きなカゲそのものになっているのだ。そして、カゲのてっぺんには自分がいるわけである。ちょこっと、天下をとった気分にも浸れるはずだ。

 こんなカゲ山体験をしたいなら、朝夕の斜光の時間に山頂に立っていればいい。できれば、眼下に広がりのある拓けた山を選びたい。つまり独立峰であれば、この条件は満たされる。ちなみに右の写真は、北海道の最高峰・旭岳と、北アルプスは常念山脈にある常念岳のカゲ山である。

 この時間帯の山の空は独特。一瞬たりとも同じ色はしていないので、カゲ山以外の楽しみもあるだろう。ちなみに、さらに夜を迎えると……。満月の夜には、雲海に浮かぶカゲ山なんて神秘的な景観も生まれるらしい。見たい! 今度は、これを見に行ってみようかなー。

 ピークを踏むのも山の楽しみなれど、カゲ山遊びなんて、密かな山の楽しみがあってもいい。

 
 
ライター
tetsu

山岳•アウトドア関連の出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。著書に『テントで山に登ってみよう』『ヤマケイ入門&ガイド テント山行』(ともに山と溪谷社)がある。

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