• ファッション

HAGLÖFS × 日本の夏山
「ASIAN STYLE」でいく
尾瀬ヶ原と至仏山

2016.08.09 Tue

All photo by Tomoyuki Okano

北欧生まれのタフな機能と上質なデザインで知られる
アウトドアブランドのホグロフス(HAGLÖFS)。
創業102年の伝統を誇る同ブランドが、満を持してリリースするのが、
日本の山岳気候やわたしたちの体型によりフィットした「ASIAN STYLE」。
ホグロフスのよさを知り尽くしたガイドと、アウトドアウェアに造詣の深い
女性ライターが、いち早く「ASIAN STYLE」に袖を通し、その魅力に迫ります。


上)鳩待峠から尾瀬ヶ原へと続く登山道は森に包まれた下り道。尾瀬は片柳さんのホームグラウンド。その魅力をうかがいながら、尾瀬ヶ原へ。左下)シンプルかつ軽量なデザインに必要な機能がつまったデイパック「ROC HELIOS 25」。早くも人気沸騰の予感漂う、今期の新作。右下)ミズナラの樹上につくられたクマ棚。尾瀬は動物たちの楽園でもある

 どこまでも続く坂道のてっぺんには、はかなさ漂う夏の朝が広がっていた。ひとときの息吹を壊してしまわぬよう、ゆっくりと歩きはじめる。渓筋を下る登山道をゆくと、枝ぶりもみごとな巨木が迎えてくれた。

「ミズナラです。枝先が折れていることが多いのは、ミズナラの実が彼らの大好物だからです」

 ガイドがそう話すと、傍らの女性は足下で盛大に倒されたミズバショウを目に留めた。

「どうやらいるみたいですね」

 冬眠明けの彼らは解毒作用のあるミズバショウの根を食べるという。ガイドが指さす樹上には、枝が敷き詰められた快適そうなベッドがあった。

「あれがいわゆるクマ棚、冬眠前の彼らがドングリを食べた跡です」

 足下の沢を走るイワナたちを眺め、緑の小道を歩んでゆく。山小屋が見えたかと思うと、不意に、圧倒的な広がりが目の前に現れた――。
 日本を代表する山岳リゾートであり、もっとも古い国立公園のひとつである尾瀬。至仏山や燧ヶ岳など2000m級の山々に囲まれた、南北約2.5km、東西約6kmにわたる広大な湿原は、希少種をはじめとした多様な動植物を育む生命のゆりかご。そんな尾瀬にやって来たのは、ガイドの片柳圭介さんとアウトドアライターの山畑理絵さんだ。

 広大な湿原に浮かぶ池塘には、かわいらしいオゼコウホネ、そして「羊の刻」に花開くというヒツジグサの姿が。木道に据えられたベンチに座ってそれらを眺め、お茶を飲んでひと息ついたら、いよいよ至仏山へ。登山道は樹林帯へと吸いこまれるように続いてゆく。

 汗をかきやすいこんな状況でこそ、ウェアの差が如実に表れる。アウトドアショップで長く働いていた山畑さんは、プロとしてさまざまなブランドの製品を手に取ってきた。

「レディースものでいうと、ホグロフスの製品は断然、シルエットがきれい。シャツやカットソー、シェルのウエストが絞られていて、女性らしいラインがより美しく出ると思うんです」

 バックカントリースノーボーディングや山スキーなど、ハードなウインターウェアのイメージをもつ同ブランド。シリアスな環境で磨かれた技術は夏のウェアにも活かされており、幅広い展開を見せている。汗をすばやく吸収し、発散させる素材を使ったうえで、シルエットを美しく見せながら、衣服内で空気の対流が生まれるようデザイン――それこそがホグロフスのウェアの特徴だと彼女はいう。

「ところが、ヨーロッパブランドゆえか、サイズ感が難しかったんです。XSだと小さくて、Sだと大きい……みたいな。ASIAN STYLEの誕生で、そんな心配がなくなったのは大きいと思います」

 さらに高度を稼いで山頂へ。
 足下に咲く可憐な花々が、登りの無聊を慰めてくれる。多くの登山者のトレッキングシューズに踏まれ、磨きこまれたように光る蛇紋岩があらわれる。至仏山を形作る蛇紋岩は、希少な植物を育てる土壌をつくりあげていると、片柳さんが教えてくれる。

「とはえいえ、ものすごく滑りやすくなってますから、できるだけ注意して歩いてください」

 確かな足場を選びながら、一歩一歩、慎重に。パンツの善し悪しが如実にあらわれるのはこういう場面だ。つっぱり感のないストレッチ加工や、アクティブな足さばきをサポートする立体裁断などの創意が「ストレスを生まない」という潜在的な快適さを演出する。海外ブランドのパンツ選びは、トップス以上に難しいことがあると片柳さんは笑う。

「ぼくは純日本人体型といいますか、パンツはとくに困っていました(笑)。ウエストと丈の関係でSとMで迷いながら、レディースのLを試してみたり。裾にジッパーがついていると丈ツメはできないし、膝が合わないと立体裁断が活きてこない。ASIAN STYLEの恩恵は、トップス以上にパンツにあると思います」

 樹林帯を抜けると視界が開け、いつの間にやら広大な尾瀬ヶ原が眼下に一望。ひと筋の風が舞うと、ウェア内を涼しい風が吹き抜けていった。


最上段)振り返ると、眼下に広がる尾瀬ヶ原とその向こうにそびえる燧ヶ岳。絶景が背中を押してくれる登り道。中左)樹林帯を抜けると、涼しい風が吹き渡る。中中央)蛇紋岩が育む一属一種のオゼソウ。中右)ツルツルの蛇紋岩。雨の日はいっそう気をつけて! 右下)尾瀬を代表する夏の花・ニッコウキスゲ。たくさん咲いているけれど、一期一会の一日花

 至仏山頂へは、コルのない、ひたすら続く登り道。心地よい風と背後に広がる尾瀬ヶ原、燧ヶ岳の絶景に励まされる。

 山では、些細なことが長時間続くことで、思わぬストレスへとつながっていく。バックパックの不具合だったり、トレッキングシューズのずれであったり。パンツの裾が合わずに擦れ、踏みつけてしまうことも。小さな不具合が想像しえない苦痛となることも。

「パワーで押し切るように歩けない女性にとって、ジャストサイズのウェアであることは、大きな利点だと思います」 

 ASIAN STYLEがもたらす目に見えない長所について、山畑さんはそう話す。ASIAN STYLEは従来のEU/SCANDINAVIA STYLEを縮小しただけのものではない。身頃や胴回り、腰のフィットやモモまわり、裾の長さなど、考え得るすべてのパーツすべてを日本人の体型に合わせて新たにデザインされている。そうして、吟味されたデザインに合わせて、高温多湿な日本の自然環境に合わせた素材を採用し、さらにベンチレーションを配するなどの機能を加えている。そのため、現状ではすべてのモデルにASIAN STYLEが用意されているわけではない。シャツとカットソー、パンツにショーツ、女性用のソフトシェルなど限られたモデルにのみ適用されている。

「今後、ASIAN STYLEを採用するアイテムが増えると聞いていますよ」

 そう話す片柳さん。秋冬モデルから、ASIAN STYLEはフリースや防水加工を施したダウンジャケットにも採用されるという。サイジングにはさらなる調整が加えられ、採用されるアイテム数も徐々に増えていくとか。

 山頂が近づくにつれ、ますます花の数が増えてくる。今年は雪が少なかったため、開花の時期が早く、量も少ないという。雪の下で太陽を待ちわびた花々が、短い夏を謳歌している。


上)山頂に近づくほどに増えてゆく高山植物の数々。左下)たどり着いた至仏山頂は、輝く太陽と大きな入道雲の下。右下)お昼ごはんを食べたら、風に吹かれて心地よい午睡……

 ふたりはやがて山頂へ。キアゲハのつがいが舞う頂からは周囲の山々——皇海山、日光白根山、会津駒ヶ岳、巻機山、谷川岳が一望できる。ひと筆走らせたように強い風が吹くと、山畑さんはソフトシェルを羽織った。
 優れたアウトドアの道具はその存在を主張しない。使っていることを、着ていることを忘れさせ、意識を、感情を、純粋に山へと向かわせてくれる。遣い手と道具の境界が溶けゆくような一体感、それこそが逸品の証ともいえる。

 山頂を離れ、小至仏山そして悪沢岳へと続く稜線に入ると、山の様子がはっきりと変わった。ごろごろとした大きな岩が現れ、アップダウンが繰り返される。悪沢岳への分岐を過ぎると、小さな湿原が現れた。同時に、左手に前方に鳩待峠も見えてきて、寂しい気分が広がってゆく。

「次はもう少し長い旅に出たいですね」 

 山畑さんがそう言って笑うと、稜線にはウグイスの谷渡りがこだました。



【DATA】
■アクセス
JR上越線沼田駅、上毛高原駅から関越交通バスで戸倉へ。戸倉で乗り換えて同じく関越交通バスで鳩待峠へ。沼田駅から約1時間50分。
自動車での場合、関越自動車道・沼田ICから国道120号線で戸倉方面へ。戸倉から鳩待峠へは交通規制されているので、駐車場に車を停め、乗り合いバスやタクシーを利用する。

■アドバイス
至仏山には毎年、登山禁止期間が設けられ、山開きは例年7月1日となっている。年によって異なるものの、解禁直後は雪が残ることも。あらかじめ路面状況を確かめ、足ごしらえをしておきたい。また、山ノ鼻から至仏山への東面登山道は登り専用なので下ることはできない。トレッキングポールを使う場合、石突きのキャップは外さずに使用すること。詳細は尾瀬保護財団へ。

尾瀬保護財団 ☎027-220-4431
 www.oze-fnd.or.jp/
片品村役場むらづくり観光課 ☎0278-58-2112
 www.vill.katashina.gunma.jp/soshiki/kanko/kanko.html

■参考コースタイム
鳩待峠(1時間)山ノ鼻(3時間)至仏山(55分)悪沢岳分岐(1時間10分)鳩待峠

【COORDINATE】


  • DRACO JACKET WOMEN
    軽量でストレッチの効いた、汎用性の高いソフトシェル。蒸し暑い登山を想定しデザインされさらさらとした快適な着心地を約束してくれる。
    ●COLOR: REAL RED/RUBINほか2色
    ●SIZE:S~L(ASIAN STYLE)
    ¥18,000+税

  • ANJA SS SHIRT WOMEN
    汗をすばやく吸収して拡散する、軽量なウィッキング素材を使用した半袖シャツ。コットンのような滑らかな肌触りが心地よい。
    ●COLOR: VOLCANIC PINK/CARNELIAほか1色
    ●SIZE:S~L(ASIAN STYLE)
    ¥10,500+税



MID KLINT PANT WOMEN
ハードな登山での使用を想定したタフなパンツ。ストレッチ素材を使い、立体裁断を施しているので、アクティブな動きにも対応してくれる。
●COLOR: ROCK
●SIZE: S~XL(ASIAN STYLE)
¥16,500+税


【PROFILE】


  • 山畑理絵
    1986年生まれ、ライター。テント泊縦走からトレラン、スキーと1年の多くをフィールドで過ごす。アロマテラピーインストラクターとしても活躍中。
    「裾のラインやスリットにいたるディティールにまでこだわりぬいた、ホグロフスのトップスが大好きです! 美しいラインはそのままに、サイズ感がぴったりになったのが嬉しいポイントです」

  • 片柳圭介
    1977年生まれ。バックカントリースノーボーディングから夏山ハイキングまで、幅広く案内する「High Five Mountain Works」所属のガイド。
    「この10年ほど、夏冬問わず、ホグロフスのウェアを愛用しています。乾きやすさ、動きを妨げないデザインのパンツが好きです。ASIAN STYLEは”待ってました!”という感じ。秋冬ものにも期待しています」


文=麻生弘毅 写真=岡野朋之
協力=ホグロフス

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