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山岳ガイド・島田和昭「登山は人の本能から『気づき』を引き出してくれる」

(2015.09.04)

登山のTOP

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「ファシリテーターとして、会社、グループ、家族の研修を行なう機会も増えてきました。人と自然の間に入り込む山登りでは、自然の摂理から学ぶものが多いと思います 」

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同志社大学&高校の山岳部でのコーチ。「若手の教育には熱が入ります。 若いうちに体力を作って損する事はない。自分たちで考えて結果を出す事が大切です」

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不帰の嶮1峰尾根断壁をリード中。「仲間たちとのクライミング&ライドは 山ヤととしての課題であり ガイドとしての鍛錬となる楽しい時間です」 (写真:杉村航)

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「主宰する島田ガイド塾でのロープワーク講習。知識にしても道具にしても、それを正しく使える講習を心がけています。安全に登山を楽しみ続けてほしいですね」

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「登山の中でもっとも手応えを感じる沢登り。あらゆるリスクと引き換えにありのままの 美しい自然を堪能できます」 大峰前鬼川にて

大阪の下町でタフな毎日を送っていた少年が、
ボーイスカウトを通じて知った、野山にある自由。
自由に魅せられた少年は山に通い詰め、
いつか山を舞台に生きることを決心する。
「登山を通じて『気づき』をものにしてほしい」
山岳ガイド・島田和昭の目指すガイドとは―――

 

張り詰めた人間社会の外にあった「本当の自由」

「少年時代を過ごしたのは大阪の下町。都市生活の便利さはあるが、人間社会は複雑な土地でした。この町はとても混沌としていて、サラリーマンと外国人、ならず者までが同じ町内に住んでいました。大人の世界が複雑であれば子供の世界も同じように複雑です。子供であっても常に緊張感と警戒心を持ち続けねばならず、出かけるときに小銭を入れるのは財布ではなく靴下、といった少年時代を送っていましたね」

 ギスギスした人間社会に放り込まれた少年を救ったのは、小さな自然体験だった。

「そんなとき、近所のカブスカウト(ボーイスカウトの一部組織。小学生が入る)に入団したんです。道具を担いで野山に入り、キャンプを張る。自分の手足で問題を解決する。失敗もケガもすべて自分のもの。煩わしい人間社会から離れて『自分の力で生きている』という手応えを感じた初めての体験でした」

「外遊びに目覚めた中・高時代の遊び場は六甲山。道具をもたずに山頂を目指すといった、サバイバル的な楽しみ方をしていました。登山というよりは自然そのものを楽しんでいましたね」
 
大学時代に穂高岳に出会い、山の世界へ

「本格的に登山を始めたのは、大学に入ってから。上高地から見上げた穂高岳に魅せられ、大学時代の夏休みのほとんどを山小屋でのアルバイトと登山に費やしました。その後、一度は就職したのですが、やはり自分が生きるのは山につながる世界だと気づき、山の世界の大先輩である山本一夫さんの紹介でとある登山用品店に勤めることになりました」

「このお店に3年ほど勤め、その間にプロの登山家や高いスキルを持つクライマーと知り合う機会に恵まれました。高い技術と情熱をもつ人々に揉まれたのは良い経験でしたね。その後、このショップは閉じられることになり、別の店舗に移行することもできたのですが、一念発起してガイドの世界へと飛び込んだんです」

 開業以来、個人依頼のガイドや登山技術の講師業務を主体に活動してきたが、最近は「ファシリテーター」としての仕事も増えてきた、と島田さん。

「山に向かう人は、都会では解消できない思いを胸に秘めている人が多い。その秘められたものを解放する機会を山行のなかに用意したいと思っています。とくに最近は、グループへの随行が多くなってきました。指導を依頼されている大学の山岳部やビジネスマンのグループ、近所の子供グループ、おつきあいのある登山用品店の研修……。こういった方々と山を歩くと、グループの抱える問題や課題が次第に引き出されてきます。それを私から指摘するのではなく、個々人に気づいてもらえるようなガイディングを心がけています」

「私は、山の魅力のひとつが『山にはルールがない』ことだと思っています。もちろん守るべきマナーはあるのですが、山とは本来、人のルールの及ばない場所です。それを感じてもらうために、山を案内するときは藪漕ぎや一般登山道ではないセクションをほんの少しでも入れておくんです。そんな厳しいパートに向かったとき、自然に抗って勝つのではなく、自然を受け入れることでそれを乗り越える局面が登山者にはやってくる。そこから本当の登山が始まる。また、こんなときに社会生活のなかの困難を受け入れて、それと折り合いをつける方法のヒントが登山者には与えられます」

「思い通りにならないのは実社会も山の世界も同じ。与えられた状況を上手にサバイバルしていく心と知恵を登山は提供してくれると思います。山というフィールドを通して、人と自然をつなぎ、人と人の間で役立ちたいと思いながらみなさんを案内しています。しかし『人を育てながら、実は私が育てられている』というのが正直なところです(笑)」

 
長い時間身につけるものこそ、良いものを

「登山用品店で働いていたときも、ガイドとして道具選びを指南するときも『体に直接触れるものや長く身に付けるものほど、良いものを』とすすめています。道具選びではアウターやクライミングに使うギアに力を入れてしまいがちですが、これらの道具は雨や登攀のタイミングでしか使いません。その点、肌着や靴、バックパックは行動中体に密着し続けているものです。この3点こそきちんと選ぶことが重要です」

「バックパックについては、登山用品の売り場にたっているころからグレゴリーを愛用し、またお客さんにもすすめてきました。今もそうですが、グレゴリーは20年以上前から使い手の体にパックを合わせる『フィッテイング』に力を入れていたんです。現在、私が愛用しているのはアルピニストとデナリ、そしてバルトロです。アルピニストはスピードの要求されるアルパインクライミングで、道具の着脱や収納が素早く行なえるうえ、フィット感が最高です。デナリは冬のバリエーション登山で愛用しています。雪が入り込まない構造や、払えばさっと雪が落ちる布地、着脱が簡単な天蓋などもありがたいですね」

「バルトロは縦走登山で活躍します。長い縦走路の何枚もの地形図は背面のポケットへ収納。ふたつに分かれた天蓋のひとつは飲料、もうひとつには行動食を入れています。頂上への分岐では、パック本体をデポして内蔵されるサブザックで頂上を往復します。色んな面で気が利いていますね。もっとも気に入っているのは、難路でもパックがぶれないようにショルダーハーネスとウエストベルトが可動するところです。フィット感とともにこれが疲れにくさを生むシステムだと思います」

「また、使用したパックの改善点などをメーカーサイドに伝えると、次のマイナーチェンジではそれが修正されてくる、という姿勢からもグレゴリーに信頼をおいています。ストラップの位置や数、ポケットの大きさなどは些細でも使い心地に大きな影響与えるものです。また、グレゴリーの制作スタッフや販売スタッフがパックの使い手であることも評価しています。自分が取り扱うものに精通し、自信をもって販売する。ときには小売店の販売員のためにフィッティングの講習会も行なう。製品のクオリティはもちろん、グレゴリーの道具に対する企業理念も私がグレゴリーを使い続ける理由のひとつとなっています」
 

山岳ガイド・島田和昭
高校生の頃からサバイバル的なアウトドアに興味を持ち山谷へ向かう。大学生の頃から単独で北アルプス一周などに取り組み、バックカントリースキーやクライミングなどの世界へと没入。現在は神戸をベースに日本アルプスや近畿圏でのガイディングを行なう。日本山岳ガイド協会 山岳ガイドステージⅡ スキーガイドⅡ 自然ガイド。国立登山研修所講師
島田ガイド事務所
http://www7a.biglobe.ne.jp/~naturalstyle/

 

GREGORY  DENALI 75
¥43,000+税

■トルソーサイズ:S、M、L
■容量:S=72㍑、M=75㍑、L=78㍑
■重さ:S=2.64kg、M=2.72kg、L=2.8kg
■カラー:バサルトブラック


GREGORY  BALTOLO 65
¥36,000+税

■容量:S=61㍑、M=65㍑、L=69㍑
■重さ:S=2.2kg、M=2.3kg、L=2.36kg
■カラー:ニューブルー(写真)、スパークレッド、シャドーブラック

 
 
ライター
Akimama編集部
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