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週末サーファーやこれからはじめたい人でもワクワクできる雑誌として復刊!「サーフィンライフ」

(2017.04.21)

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 こうしてウェブメディアをやってる私たちAkimama編集部だが、元々はそのほとんどが雑誌や書籍など紙メディアに携わってきた人間だ。とりもなおさず、雑誌を読んで育ってきた世代でもある。かくいう私もそのひとりで、雑誌にはかなり思い入れがある。

 しかし出版不況は現実問題で、ネット世代の雑誌離れや、専門誌の場合は扱う部門の参加人口の減少などによる発行部数が減少。部数減は収入減につながり版元の体力を奪っていく。歴史ある雑誌の休刊、廃刊のニュースが飛び込んでくると、やはりなんともいえず悲しいのだ。

「サーフィンライフ(SURFIN' LIFE)」もそのひとつ。35年以上の歴史を持つ老舗サーフィン専門誌だったが、昨年の8月に発行元の出版社が破産申請し、同誌は8月10日号を最後に休刊状態となっていた。雑誌自体は再開が模索されていると報じられていたので、どこが発行元になるのか気になってはいたが、この度、ダイビング雑誌「ダイバー(DIVER)」を出版しているダイバー株式会社によって復刊することとなり、4月10日に復活第1号が発売された。新体制にはかつて同誌の編集長を務めた小山内隆氏が15年ぶりに復帰した。

 筆者も発売日当日に書店に行ったのだが、どこも売り切れ。Amazonですら売り切れで入荷待ちとなっていた。入荷待ち予約してようやく先週末に手に入れることができた。配本数が少なかったのか、それとも本当に待ち望まれていたのかは定かでないが、できれば後者と思いたい。

 かつてのサーフィンライフといえば、プロサーファーのリッピング、エア、バレルなどダイナミックなライディングフォトが表紙を飾り、サーフィン専門誌然とした雑誌だった。しかし新生サーフィンライフは表紙からして雰囲気が変わった。ライフスタイル誌といってもいいような写真が使われている。製本は中綴じから無線綴じになり、右開き。内容もライフスタイル寄りの記事も多く、ファッションやアウトドア的側面もきちんと書かれている。週末サーファーやこれからサーフィンをはじめてみたいという方でも手を伸ばしたくなる佇まいと誌面構成だ。

メイン特集は「週末のサーフィンがもっと楽しくなる32のこと」。この中には「サーフキャンプでもっと海へ」というティップスも

「週末、ふらっと台湾サーフ」このタイトルにも、我々週末サーファーにはぐっとくる

 雑誌だけでなく、コンテンツビジネスにおいては、時代の流れとともに方向性を変えていくのはよくあること。読者に刺激を与え、新しい読者を獲得することの難しさは、我々も身にしみてわかっているつもりだ。しかも今回は一度は事実上廃刊かといわれた雑誌の復活である。今回の復刊、いや再創刊にかける想いなどについて、新編集長の小山内隆氏にインタビューを行った。

── かつて編集者、編集長として関わった雑誌を復刊させることとなって、どんな想いがありましたか?

小山内隆さん(以下「小山内」):今の発行元から声をかけられたのは昨年末ですが、その時は、特別な思いはありませんでした。“35年以上の長い歴史を持つ”サーフィンライフを復活させることに強い意識を持ったのは、年が明けて制作が始まった後、知人や同誌の先輩に声をかけられるようになってからですね。一度なくなったサーフィンライフが、再び定期刊行物となって蘇る。そのことに期待する声は想像以上に大きなものがありました。
 そうした声を意識しつつも、けれど一番強く考えたのは、継続していく雑誌をつくることです。デジタル全盛の今の時代に、雑誌を作り、継続させていく。雑誌のビジネスモデルは雑誌売上と広告収入ですから、どのような内容にすれば売れる雑誌となるのか。この点に関しては、かなり考察を重ねました。
 初号の編集作業中、ずっと頭にあったのは、昨年のスバル フォレスターのCMです。30代か40代の旦那さんがいきなりサーフィンを始めて、家族と一緒に海へ行く。帰路は、サーフィンに疲れた旦那さんは助手席で寝てしまい、奥さんが運転して帰るというものです。スバルという大企業が、CMのモチーフにサーフィンを起用し、著名人を使わず、夫婦をテーマにサーフィンのある生活の一部を描いて見せた。今までとは違った時代が到来していると感じたCMでした。
 この旦那さんのような人は、実は日本にたくさんいるのではないか。彼らが役に立つと思える内容なら、手にとってもらえるのではないか。そんな思い、仮説はずっと持ち続けていました。

── 復刊に当たって意識した読者は「週末サーファー」とフロムエディターの頁に書いてありましたが、手応えや確信的なものはありますか?

小山内:あります。むしろ平日に海へ行けるサーファーの方が少ないでしょうし、自分で情報を取れるサーファーなら、今の時代は雑誌を必要としないのではないか。そんな思いはありました。
 もちろん「週末サーファー」というキーワードに行き着いた背景にはデータもあります。サーフィンライフはどこで売れていたのか。その大半は都市部の書店です。復活した後も、都市部の書店で売れることが雑誌の継続につながる。では都市部の書店で購入する人はどういう人だろう。きっと会社員ではないか。そう考えたのです。

── 日本においてサーフィンのカルチャーはどう変化していくと思われますか?

小山内:何をもってカルチャーと呼ぶのか、定義づけが難しく答えにくい質問ですが、今回のサーフィンライフでは、そのような大きな枠組みよりも、読んで楽しく、めくって楽しい雑誌づくりを最優先に、海へ足を運ぶ人が増えることに期待しています。サーファーが継続的に増えていけば、カルチャーも豊かになっていくのではないでしょうか。

── 雑誌というメディアにこだわりはありますか?

小山内:こだわりというか、とても楽しいですよ、雑誌づくりは。

* * *

 歴史ある雑誌が、切り口や表現、判型は変わったとはいえ、デジタル全盛の時代に復活したことは非常にうれしい限りだ。そして私自身も週末サーファーのひとりとして、ページをめくるたびに飛び込んでくる写真や文字にワクワクしている。いまだにヘタの横好きテケテケサーファーの私だが、いくつになっても続けられる、いくつからでも始められる、一本でもいい波に出会いたい、そんなことを改めて感じさせてくれた新生サーフィンライフの今後に期待したい。


雑誌名:SURFIN’LIFE(サーフィンライフ)
発売日:隔月10日 4,6,8,10,12,2月
価 格:980円
雑誌コード:04177
発行人:戸川貴詞
編集人:小山内隆
判 型:タテ284mm×ヨコ210mm


ダイバー株式会社とは… 創刊37年を迎える「DIVER」を発刊している出版社。 月刊誌の発刊に加え、ECサイトの運営、プロモーション、イベント、ライセンス取得なども行う。2015年末STWグループの参加の元、新体制で雑誌の出版、業界のプロモートを実施。
https://www.diver-online.com

【お問合せ】
ダイバー株式会社 サーフィンライフ
surfinlifemag@diver-web.jp

 
 
ライター
渡辺信吾

アウトドア系野良ライター。デザイナー、Webディレクター、コーディネーターとしても活動中。波乗り、雪乗りで一年中真っ黒。 ホームページ「NORA」

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