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【やってみた】アイロンでウェアの撥水性が復活するってホント?

2016.06.10 Fri

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

 結論から申し上げます。圧倒的です。

 撥水性の落ちてきた雨具やジャケット、どうしてますか? 多くの方は撥水スプレーを吹いて何とかしのいでいる、というのが実情ではないでしょうか。年がら年中フィールドに出かけているAkimamaとしては、大切なウェア類の手入れを怠るわけにはいきません。出かけるたびにきちんと専用洗濯洗剤で洗い、数度の洗濯ごとに漬け込み式の撥水剤で処理をしてコインランドリーの大型乾燥機に放り込んでおりました。

 というのも防水透湿性ウェアの場合、撥水性がものすごく大事になります。仮に撥水してくれないと表地が水を含み、その水が膜状になってウェアを覆ってしまうために透湿性は著しく低下してしまいます。快適に素材の性能を発揮してもらうためには、雨水は表地に留まらない方が良いわけです。そこで撥水性が求められる、という理屈です。それになんと言っても、雨を軽快にコロコロと弾いてくれるウェアは見た目にも快適ですしね。身も心も軽くなるってもんです。

どうですか、この撥水具合。アイロンを当てただけでこの仕上がり。撥水剤の残り方や素材の特性、劣化具合などいろいろな要素に左右されるでしょうが、熱を加えることで撥水性が多少戻ってくるのは確かです

 で、難しい話は丸ごとスルーしますが、この撥水性は時間と共に劣化します。しかし、熱を加えてやるとある程度復活します。漬け込み式撥水剤で処理した後、乾燥機でまんべんなく熱を加えてやるのも撥水剤の特性をより発揮させるために必要な処置だったわけですが、単に熱風式の乾燥機に放り込んでやるだけでも撥水性は相当に回復してくれます。

 そう、撥水性の回復には熱が不可欠。それは知識としては分かっています。だからアイロンでもイケるよ、とは知っていました。だけど心のハードルを越えられずにいたんです。それが、

レインウェアにアイロンかけると、溶けちゃうんじゃないの?って不安感。

 この漠然とした想いを乗り越えられずに今日まで山歩きを続けてきました。が、天気予報に雨が続く、この時期に結果を出さないでいつトライするのだ! 人柱になってこそのメディア、失敗してもそれはネタ!というAkimama魂を発揮して、アイロン撥水復活劇にチャレンジしてみました。

当て布は薄いタオルを使いました。しわを伸ばすわけではないので、ぎゅっと押さえる必用はありません。

何度かアイロンをかけ、水をかけて撥水具合を確かめ、満足に撥水性を回復させる最低温度を探りました。その結果が、今回は約120℃。当て布をしているので、実際にはウェアをこの温度まで加熱することはありません。

アイロンを当ててすぐに触ってみると、わずかに熱い程度。温度計で測ると50℃くらいでした。いろいろ調べてみましたが、撥水性を回復させるに必要な温度がどのくらいなのか正確な数値は分かりませんでした。もしもAkimama読者の中にご存じの方がいらしたら教えてください。

止水ファスナーやロゴ、ポケット周辺の溶着などには手を出さないのが吉のようです。気になるようならドライヤーでササッと熱風を当てておくだけにしましょう。

 その結果が冒頭の一文です。気のせいか、乾燥機で熱処理をするよりもアイロンの方が仕上がりも良く、撥水性も回復しているような気配。こんなに変わるの?と驚き、アイロンでここまで回復するんだったら何も困らないし、次の週末も雨でもいいや〜〜、と思うほど。それにウェアもちっとも傷んでいません。

 こうなったらリミッター開放です。調子に乗ってレインウェアも、いつも着ている防水透湿ジャケットも、レインハットも手袋も、高笑いと共に全部全部アイロン処理。当て布をして低温で熱を加える。たったこれだけでめっちゃ雨水コロコロになるなんて。マジ驚き&めっちゃテンション上がります。撥水性の回復具合には差があると思うけど、何らかの効果は見られると思います。みんなも今日お家に帰ったら、すぐにお母さんのアイロン借りたらいいと思う。

ゲイターなんてあっという間にボロボロになるアイテムですから仕方ありません。とは言え、撥水性? 何それ? って状態です。

アイロンをかけたことで、撥水性が何たるものだったか思い出したようです。もうね、笑いが止まらない気持ちよさですよ。

まだまだ新しいだけに、全体的には文句のない撥水具合。けれどヒザの内側はすれて水が染みていました。

ちょっと撥水しきれてないところもありますが、シャワーでざーーーーっと水をかけて、一振りしたのがこの状態。悪くないと思います。

■アイロンで撥水復活の注意点
・処理するウェアの洗濯表示を確認。アイロン禁止になっていないかどうか確認!
・レインウェアなどは汚れを落としてから。真水でジャブジャブやるだけでもOKだと思います。で、しっかり乾かしてからアイロン処理
・アイロンは低温〜中温。生地が熱くなるような温度はダメ
・かならず当て布をしてから
・剥がれる可能性があるので、ロゴマークや止水ファスナーなどには熱を加えないように
・アイロン後は水をかけてみましょう。コロッコロの撥水具合にテンションが上がって作業がはかどります

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