line_box_head

大雪山登山とエコツーリズムの拠点。6月15日、北海道・旭岳に新しいビジターセンターがオープン

(2019.06.16)

登山のTOP

icon

 6月15日、北海道の最高峰・旭岳の登山口脇に新しいビジターセンターがオープンしました。

 今回の改修は、昭和57年に建造された従来のビジターセンターが老朽化したために行われたもの。日本最大の国立公園「大雪山国立公園」の中に新設されるとあって、建築は環境に配慮するなど、さまざまな問題を乗り越えながら、2年をかけて進められてきました。

左/取材に訪れた日はあいにくの霧雨。晴れていれば、背後に旭岳が控えるという絶好のロケーションです。 右/玄関脇には汚れた登山靴を洗うことができる洗い場も。このあたりに、ただの観光施設とは違う現場感が漂います

 建物に入ってまず目につくのは、十勝連峰と大雪山系の立体模型です。まずはここで明確にしておきましょう。大雪山という固有の山はありません。大雪山というのは旭岳を中心にした山塊のこと。

 この山々の雄大な姿を写し取っているだけに、山好きたちは一瞬で虜に。「この稜線からあの山が見えるんだな」と、展示に鼻先を擦り付ける勢いで釘付けです。

大雪山から十勝連峰までを立体的に見渡すことができる。こんな模型はこれまでに作られていませんでした。山好きなら必見の展示です

 そのすぐそばには、旭岳の様子を映し出すライブカメラやヒグマの出没状況を示すパネルが設置されています。また高山植物の展示コーナーでは開花状況も展示するなど、その時々の山の状況をリアルタイムで伝える工夫が凝らされています。こうした展示は、これから入山するという人たちがプランを練り直し、リスクを回避することにも役立ちます。

左/地域の自然環境や歴史文化を学びながら、継続的な利用と持続性を考える「エコツーリズム」。トレッキングコースの情報をアップデートすることも、その実践のひとつです。 右/豊かな自然の中で暮らす動物や植物の展示も充実。写真は大雪山でも目撃例の多いヒグマ

 館内は北海道産の木材を活かした高い天井のおかげで、とても開放的な雰囲気。その中に大雪山の動植物、大雪山の地質、大雪山と人の関わりや文化、エコツーリズムに関わる展示が、機能的にレイアウトされています。また視聴覚スペースとなるレクチャールームでは旭岳の自然についての映像も上映されます。

左/大雪山の名付け親・小泉秀雄や、この地で雪の結晶の研究をした中谷宇吉郎、「富士山に登って、山岳の高さを語れ。大雪山に登って、山岳の大おおいさを語れ」と記した小説家・大町桂月らの足跡を展示。 右/地学的なりたちは、大雪山の動植物的特徴を理解するためには欠かせない基礎知識となります

 加えて中央の休憩コーナーには、旭川産の椅子やテーブルとともに、大雪山に関わる文献を並べたライブラリーも併設しています。それらの展示を見て回っているだけでも博物学的な好奇心が刺激され、知識欲はどんどん高まっていきます。

 天気によっては山に上ることができない。そんな日も少なくない土地柄ですが、悪天の日には室内モードに切り替えて、大雪山を学び直すことにも繋がりそうです。

左/パンフレットも多言語に対応。 右/レクチャールームは扉を閉めれば防音仕様。映像の音が外に漏れにくくなるので、安心して映像に集中することができます

 なにしろ知識こそ感動の源、教養こそ登山の香辛料です。知って、理解することで、同じ景色を見ても感動の度合いが違ってくるのは誰しも知るところ。そうした山に関わる教養を養ってくれるのも、ビジターセンターの大きな役割です。

 また新ビジターセンターは北海道の豊かな自然に親しむエコツーリズムの拠点としての役目も与えられています。旭岳をどう楽しむのが良いのか。今の時期は何がおすすめなのか。そうした漠然とした好奇心にも、スタッフが丁寧に応えてくれます。

 大雪縦走の玄関口にもなっている場所だけに、山中での安全対策やトレマナー啓発などにも積極的です。入山の前にはぜひとも立ち寄ってみることをおすすめします。

■新・旭岳ビジターセンター
https://www.asahidake-vc-2291.jp
住所/北海道上川郡東川町旭岳温泉
電話/0166-97-2153
開館日/年中無休(年末年始休館)
開館時間/9:00〜17:00
入館料/無料

 
 
ライター
林 拓郎

スノーボード、スキー、アウトドアの雑誌を中心に活動するフリーライター&フォトグラファー。滑ることが好きすぎて、2014年には北海道に移住。旭岳の麓で爽やかな夏と、深いパウダーの冬を堪能中。

line_box_foot