- 山と雪
芳ヶ平湿原。たまには山下りなんてのも、気楽でいいものです。
2014.08.14 Thu
宮川 哲 編集者
先日、久しぶりの山へ。目的は草津の湯だったのですが、そういえば、本白根山も草津白根山も目の前だと思い、そのまま山へと車を走らせました。
でも、いま、草津白根一帯は、火山活動の影響で火口から1km圏内は立ち入れないんですよね。車で湯釜のあたりを通り過ぎることは可能ですが、駐停車は禁止になっていました。火山ガスの影響があるから、当然ながら登山もできません。
事前の情報収集もしていなかったことを反省しつつ、でも、アタマのなかは山モード。しかたがないので、湯釜も弓池も通り過ぎて渋峠へ。ここまで来れば、1km圏内を越えているので、車から下りることもできます。
で、あたりの登山道を思い浮かべて見ると、あったあったいい道が。
渋峠から山を1時間も下りれば、芳ヶ平湿原にたどり着けるルートがあったんですよね。個人的なことですが、ここにある芳ヶ平ヒュッテには、過去にも何度かお世話になったこともありました。
とってもステキな山小屋で、新堀さんご夫婦とワンちゃんが3頭。バードとフロールとラ・ネイジュもみんな元気かな? なんて懐かしくなっちゃいまして、いざ山下り!! と相成りました。
芳ヶ平へは草津から登ってくる道と、草津白根山の湯釜の駐車場からアプローチする道と、あとはこの渋峠から下りていく道の3つがあるのです。でも、草津白根山ルートは火山活動によって通行止め。残りの2ルートは開放されていました。
芳ヶ平ヒュッテも火口から2kmの位置にあるので、大丈夫なんですって。
東京の暑さもなんのその、渋峠は標高も2,200mに近いので、とても爽やかな風が吹き抜けています。駐車場の脇にはニッコウキスゲが咲き誇り、これぞ高原!! といった雰囲気を醸し出しています。
うん、とってもいい気持ち。
渋峠からの下山ルートは、よく整備されていて歩きやすいのなんの。前半は大岩小岩が混じったいわゆるふつうの登山道になっています。でも、途中からは木道やら階段やらが整備されていて、子どもたちでも余裕で歩けるくらいです。
あ、そうそう。今回はうちも子連れ登山(下山)でしたので。ゴゼンタチバナが咲き誇っていたり、ブルーベリーの味がわたたになっていたり、一見地味なルートにも思えましたが、地の豊かさがあちらこちらに。
この可憐な樹林帯を小30分も歩けば、視界が急に拓けます。クマザサが一面に広がる場所は、ダマシ平と呼ばれるところ。このルートは冬場のスキーツアールートでもあるのですが、ダマシ平と芳ヶ平を間違えて遭難事故が起こりやすい場所なんだとか。それで、「だまし」の名がついているそうです。
ここまで来れば、もう芳ヶ平は指呼の間に望めます。ダケカンバの樹間からは噴煙を上げる草津白根も見えたりして、気分は上々。景色も雄大。時折、芳ヶ平ヒュッテの赤い三角屋根も見えています。
歩きやすい階段を下りきれば、そこはもう芳ヶ平湿原の一角。ワタスゲがまだたくさん咲いていました。よくみれば、モウセンゴケも一面にビッシリ! 食虫植物フェチなら、雄叫びを上げるところです。
キレイな湿地帯に延びる木道をポクポクと歩けば、もうそこは芳ヶ平ヒュッテです。
新堀さんのおかあさんのパスタランチがオイシいんですよね。で、楽しみにしつつ、扉に手を掛けたものの、アレ? 開かない……。
外でバタバタしていた音を聞きつけたのか、やがて扉は内側から開かれ、新堀さんのおとうさんが顔を出してくれました。久方ぶりの再会に喜んでしばしの歓談。
ただ残念ながら、おかあさんはいま下山しているとかで、パスタにはありつけませんでした。しかも、楽しみにしていたバードとフロールの再会は果たせず。なんと、あの2頭、もう亡くなっていました……。ショック。
ビアデッド・コリーの大型犬だけにその存在もとっても大きかったのすが、バードとフロールにもよくお世話になったなぁーと、ちょこっとセンチメンタルになったりして。
でも、新堀さんはちゃんと新しい仲間たちといっしょに暮らしていました。一瞬、バードとフロールかと思っちゃいましたが、同じくらいのビッグサイズのワンちゃんが2頭。とっても元気なワカモノ兄弟らしく、元気に飛び回っていました。そういえば、名前聞き忘れちゃった。
というわけで、ふと思い立った芳ヶ平だったわけですが、楽しく山の一日を過ごすことができました。
今度は、ちゃんと泊まりに行こうっと。ワンちゃんの名前も覚えとかなきゃね。
■芳ヶ平/登山情報
日帰り:歩行時間計 約2時間30分参考コースタイム:渋峠(30分)ダマシ平(30分)芳ヶ平ヒュッテ(40分)ダマシ平(50分)渋峠
アクセス:国道292号線の群馬と長野の県境にある渋峠が登山起点。草津の町から車で40分ほど。渋峠には無料の駐車場がある。マイカーかバスの利用が便利。
地図:『山と高原地図17 志賀高原・草津白根山・四阿山』