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夏山直前! あなたの体にピタリと合うシンデレラザックの選び方を山の姐さんたちに八ヶ岳で聞いてみた

2017.06.30 Fri

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柳澤智子 ライター、編集者

Akimama夏の大特集【REAL BACKPACKING WITH GREGORY】。冒険家、登山家、旅人から人気ライターまで、様々なアウトドアのプロフェッショナルを総力取材。今回は、いよいよ近づく夏山シーズンに向けてザック購入を考えているあなたのために、自分にぴったりの「シンデレラザック」の選び方を、4人の先輩に山を登りながら聞きましたよ。

経験豊かな山の先輩方。左から順に、朝日陽子さん(Facebookページ「登る人」主宰)、鈴木みきさん(イラストレーター)、山戸ユカさん(料理研究家)、渡邉幸子さん(登山ガイド)。詳しいプロフィールは文末へ。今回は、全員でグレゴリーのザックを背負い、北八ケ岳の天狗岳を登ります!

9:00。渋の湯から天狗岳をめざす。梅雨だというのに雨が降らないここ数日。強力な晴れ女たちの力を感じる。あたりにたちこめる硫黄臭に、「硫黄って実は無臭で、これは硫化水素の臭いだって知ってた?」というトリビアに一同「知らなかった!」

選び方その1 自分の体に合うかどうかの、フィッティングはマスト!

Akimama
「いよいよ7月。夏山シーズン到来で、より高い山へ行きたい、新しいザックを買いたい、と思っている読者も多いはず! そこで登山業界でならすツワモノのみなさんはザックでの失敗なんてありますか?」

鈴木
「もちろんありますよー。初心者のときに“大は小を兼ねる!”と思って、大型ザックを購入したらいっぱいに入るまで荷物を増やしてしまって重たかったこと。自分が行きたい山に必要な量とザックの容量があってなかった!」

朝日
「私はサイズで失敗しました。きれいな赤だなーと色が気に入ってアウトレット店で選んだのですが、それがなんとメンズのMサイズだった! 登山用品店に勤めるようになってから初めて背面があっていないことがわかりました」

Akimama
「メンズのMって!」(驚愕)

渡邉
「私もまだ山の知識がなかった当時、背面長で選ぶということを全く知らなくて大型ザックを通販で購入したなあ。10年くらい愛用したけど。当時は、そのザックが一番!と思っていましたけど、使い古して2つ目の大型ザックを背面長を合わせて購入したら、こんなに背負いやすいザックがあるんだ!とびっくりしましたよ」

山戸
「フィッティングして、自分のサイズ、背面長を合わせるって大切なんですよね。私は、自分のサイズがどのメーカーでもSとMの間のような体型なんだけど、Sだと小さいしMだと大きい気もすると。いつもサイズ選びには悩まされます」

Akimama
「ほうほう」

山戸
「背が近い夫のザックを借りた事があって。メンズとレディースでモデルが分かれていないものだったんだけど夫がしばらく使っていたあとに、背面長を調整するのを忘れてそのまま山に出かけたらものすごい背負いづらかった!」

Akimama
「そんなにザックが合わないとつらいものなんですか?」

山戸
「今日みたいに山小屋泊まりで荷物が軽い場合だったら、そこまでシビアじゃないかもしれないけど、テントや食料を背負うようなら全然違うと思いますよ。私、夫と2人でアメリカのジョンミューアトレイル340キロを3週間かけて歩いたんだけど、そのとき背負ったのがグレゴリーのディバ70。一番荷物が重かった時で25キロほどになっていたかな」

akimama
「25キロ!」

山戸
「日本の山に比べてトレイルの勾配は優しいとはいえ、歩くたびに足が地面にめりこむんじゃないかと思うほどしんどかった。でも、グレゴリーのしっかりしたハーネスと腰のベルトのおかげで、あの重量を背負うことができたんだと思う」

朝日
「私も初めてソロで北アルプスを4泊5日で縦走した時の相棒が、グレゴリーディバ60だった! 水分補給をおろそかにしてバテてしまってさんざんなソロ縦走デビューだったけど、途中出会った年配のご夫婦が“大きな荷物を背負って、えらいねえ”とザックを見て褒めてくれて。早く帰りたいと逃げるような気持ちでしたけど、その言葉を聞いてちょっと誇らしい気持ちになったのを覚えていますよ」

akimama
「大変な山行ほど、ザックとの相性を実感するものなんですね」

鈴木
「確かにザックって安い買い物じゃないし、いくつも背負いくらべたほうがいいよね」

知っておきたい基本知識

「フィッティングがなぜ必要なのか?」

ザックのサイズなんて身長に合わせればいいののでは?と考えているあなた! それは、大きな間違いです。身長だけでザックを選んではいけません。
背中の長さ(背面長)が一番大切なのです。正しい背面長を測定し、自分に合ったザックを背負うことで腰へ正しく荷重分散され、そして、正しい腰位置でウエストベルトをすることで、ザックの荷重はランバーパッドとウエストベルト・トランスファー・パネルにより支えら、重い荷物でも背負いやすくなるというわけ。グレゴリーのモットーが「着るバックパック」というのはこういうことなんですね。

10:00。初心者でも登りやすい比較的ゆるやかな道が続く。美しいコケの森で知られる北八ケ岳だけど、雨が降らず乾燥してかさかさに。「いやー、かわいそう。明日の予報は雨だからがんばるんだよ」(渡邉さん)

選び方2 実際におもりを入れて背負おう

Akimama
「ところで、どういったところでザックを買います?」

鈴木
「山の道具を揃えている、専門店かなあ。いろんなメーカーのものが一度に見られるし、店員さんも詳しい方が多いし」

渡邉
「私も専門店をおすすめします」

Akimama
「ユーザーでもあり、販売員を経験している朝日さんはいかがですか?」

朝日
「そうですね。山に詳しい店員さんがちゃんとおもりを入れた状態でフィッティングしてくれるなら、どんなお店でも問題ないと思うのですが」

Akimama
「おもりですか?」

朝日
「そう。まず、底の方に軽いものを入れて背中に沿うように重いものを入れて、外側と一番上に軽いものを入れて隙間を埋めて、って実際のパッキングと同じようにおもりを調節して詰めて背負うんです。そうやって体感してもらって、決めかねているようであればほかのお店も見てもらったり、後日またきてみてくださいってご案内してましたね」

鈴木
「確かに、私も初心者の方のお買い物につき合ったりしますが、初見では買えないと思います。どんな山にどんな行程で行く予定なのか、荷物はどれくらいの重さなのか、初心者だとはっきり伝えられないと思うし」

Akimama
「どんな山行なのかをしっかり把握して、フィッティングをすること。また、脚力や体力などによって、適したモデルの選び分けがすることが大切なんですね。そして、迷うようなら日を改める、と」

10:30。水分補給やウェアを脱いで小休憩。さすが健脚ぞろい、いいペースです。この後、11時に今晩泊まる予定の黒百合ヒュッテに到着し、必要ない荷物をおかせてもらい、天狗岳にアタック。

あのぽっこりした頂が東天狗岳(2640メートル)。天狗岳は西天狗岳(2646メートル)と東天狗岳の総称。中山峠を超えて森を抜けると、稜線は岩場に。ひょいひょいと足取り軽く登っていく4人の姿は、まさに天狗。

写真中央、少しへこんだくぼみが、みどり池とシラビソ小屋。北八ケ岳には白駒池、雨池、双子池など池が多く、池巡りというコースも人気。それぞれに白馬と結ばれなかった若い男女の悲しい話など伝説を持っているので、調べていくと楽しいぞ! ちなみにみどり池は、「色がみどり色だから?」と特に伝説はないよう。

選び方3 一気室、二気室? ポケットの位置は? 
パッキングの好みでデザインは選ぼう

Akimama
「フィッティングが大切、という話で始まりましたが、そもそもいくら自分の体に合っているからといって、デザインが気に入らないと背負いたくないというのが女心だと思うんですが、デザインはどうやって選べばいいんですか?」

鈴木
「まず、好きな色かどうかじゃないですか?」

山戸
「確かに背負いやすくても、好きではない色だと選ばないよね」

鈴木
「私、ポケットにいろんなものを入れていくので、雨ぶた、サイドとフロントにストレッチのあるポケットがあるタイプが好きですね。ウエストベルトにポケットがあると、グローブや日焼け止めなどさっと入れられて便利。今回背負ったディバ50も、背中のポケットのフロントにファスナーがあって使いやすかった!」

渡邉
「私はポケットがあまり外についていないタイプが使いやすいですね。ポケットが多いと、どこになにを入れたか忘れちゃうんですよね。一気室かニ気室かで言うと、一気室が好き。上からぽんぽん荷物を詰めていって、取り出したいときは全部出しちゃう(笑)」

山戸
「渡邉さんみたいにクライミングが中心の登山だと、目的地までものを出すことってあまりないしね。そんなときは、一気室である程度軽いザックで行きたいよね。私は、飲み水は水筒派なので、サイドにドリンクポケットがあるのは嬉しいですね」

朝日
「私も一気室派ですね。スタッフバックで小分けにしてパッキングしているので、袋状のザックの方が使いやすいかな」

Akimama 
「一気室か二気室か、雨ぶたのありなし、ポケットの位置、いろいろと好みがあるんですね。それは、自分の好みで選んでいいということなんですね」

13:00。東天狗岳に登頂! 遠くに見える山を見て「あれは乗鞍だね」と教えてくれる渡邉さん。風も弱く、人も少なかったため頂上で30分ほど休憩。

朝日さんと鈴木さんが背負ったのは、DIVA50。テント泊や食料を背負っての山小屋利用の数泊縦走などの山行に向くサイズ。男女別の背面長は3つのサイズ展開、ハーネスにも3つ、ヒップベルトには5つのサイズがあり、合計15種類の組み合わせでフィット感を調整できる。さらには、取り外し可能なEVAシム(ランバーチューン)により、腰の形状に合わせて2段階で調節でき完璧なフィットに。¥39,960

山戸さんが背負ったのは、MAVEN45。寒い時期など荷物が多い日帰りだったり、山小屋泊に。コンパクトとはいえ、調節可能なバックパネル。長さを調節できるバックパネルで常にパーフェクトなフィット感! ¥25,920

渡邉さんはJADE38を。日帰り用のでデイパックよりは容量が大きく、フル装備バックパックより嵩張らず、驚くほどの快適さと重さ。¥25,920

グレゴリーの技術が顕著にあわられるのが、背面。左からJADE38、MAVEN45、DIVA50。

14:00 黒百合ヒュッテに到着。ビールを飲みたいのをぐっとがまんして、まずは汗が冷えないうちに着替えて再集合。ザックについての対談は、いつしか小屋のご主人・岳樹さんや小屋番の若者も交えての大酒盛りに。いつ訪れても、清潔でごはんがおいしくて人がやさしい黒百合ヒュッテ。いい小屋です。

梅雨前線が発達し、夜中じゅう吹き荒れた雨風。あまりの風の強さに小屋はがたがたと音を立てていたが、久しぶりの慈雨に八ケ岳の木々はたっぷり水分を吸ってよみがえっていた。5時半に朝食を食べ、7時に下山スタート。滑らないように気を使いながら、順調に9時過ぎには渋の湯に到着。グレゴリーのザックには、ザックカバーが標準で内蔵されているから、うっかり忘れても安心。とはいえ、簡単なものなので別売りのレインカバーをしっかり用意しておこう。

今回、好きな山域やスタイルもバラバラな4人が口をそろえて話してくれたのが“大事なのは、自分にあったザックを選ぶこと”ということ。
自分に合うってどういうこと? と思ったあなた! まずは、フィッティングに行ってみよう。グレゴリーではこんなキャンペーン、やっていますよ!

「GREGORY FITTING CAMPAIGN」やっています!
期間:6月24日(土)~7月23日(日)

フィットするザックを手に入れて、夏休みを楽しもう!

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朝日陽子 Facebookページ「登る人」主宰
アパレルに勤務後、退職を機に山一色の生活にシフトすべくICI石井スポーツに転職。アウトドアを通じての町おこしに興味を持ち、2017年より地域おこし協力隊として奈良県川上村へ移住。沢登り好き。クライマー、探検家、冒険家とも交流があり、おもしろいことをしたい!とアウトドア、探検をテーマに講演会を主催したり、文章に書き残したりしている。

鈴木みき イラストレータ
20年前のカナダ旅行をきっかけに山に目覚め、山小屋のアルバイト、山岳雑誌で読者モデルなどを通じ、山にどっぷりとはまる。山の楽しみ方を描いたコミックエッセイの出版やトークイベント、登山同行ツアーなども行い、登山初心者を応援している。この撮影時期は、『山登り語辞典』(誠文堂新光社)、『鈴木みきの休日ふらり山旅計画 ~アルプス特急「あずさ」に乗って日帰りできる10コース~』(エクスナレッジ)鈴木みきの富士登山ご案内(イースト・プレス)の新刊3冊をほぼ同時に出版したころで、本人曰く「1年分の労働をしつくした!」と晴れやかな顔。

山戸ユカ 料理研究家、レストラン「Dill eat,life」オーナーシェフ
アウトドアマンだった父、祖父の影響で登山をはじめる。2013年に生まれ育った東京を離れ、八ヶ岳南麓に移住。季節の野菜を中心としたレストラン「DILL eat,life. 」を夫とともにオープン。アウトドア好きの夫とともに登山のほか、クライミング、スキーなども楽しむ。著書に『保存食で体をととのえる』(家の光協会)、「1バーナークッキング」(大泉書店)、『DILL EAT,LIFE. COOKING CLASS』(グラフィック社)。自然を楽しむことを提案する編集ユニットnoyamaとしても活動。雑誌『BE-PAL』(小学館)で「The Mountain Table」を連載中。

渡邉幸子 登山ガイド
日本山岳ガイド協会認定登山ガイド、八ケ岳山岳ガイド協会所属、「Happy‘s Mountain Guide」主宰。20代半ばに星野道夫の本に出会い、アラスカに憧れバックパッキングの旅へ。登山やクライミングを楽しむようになり、冬山、海外クライミング、アイスクライミングなど一年を通してフィールドに出向く。山梨県北杜市在住。

今回、歩いたコースはこちら。

1日目(歩行時間4時間30分)
渋の湯—黒百合ヒュッテー中山峠—東天狗—天狗の奥庭—黒百合ヒュッテ

2日目(歩行時間2時間)
黒百合ヒュッテー渋の湯

構成=須藤ナオミ
文=柳澤智子
写真=野川かさね


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