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ワールドカップ決勝の地、リオ州のとある街にて。カピバラの暮らす川で日本人がゴミ拾い

2014.06.12 Thu

宮川 哲

宮川 哲 アウトドアライター、編集者

 サッカーワールドカップブラジル大会の決勝地であるリオデジャネイロ(以下リオ)。世界的にも名の知れたコパカバーナ海岸や、ボサノバの名曲『イパネマの娘』が生まれたイパネマ海岸など、4.3kmにわたって連なる白砂のビーチはカリオカ(リオっ子)の誇りです。

 このリオの代名詞的ビーチから、少しだけ離れた海岸線。そこで見たのは、たくさんのゴミが浮かぶ海で泳ぐ地元の人たちの姿です。潮の流れがここにゴミを集めてしまうのでしょうが、彼らは「いつもこうだ」と苦笑しながら、その海に入り、子どもたちを遊ばせていました。

 この海に注ぐ川のひとつ、パライバ川の上流の街で、河原のごみ拾いをしている日本人がいます。レゼンデという街の日系企業に勤める竹内誠彦さんです。

 海好きの竹内さんは日本でビーチクリーンの活動に参加していましたが、赴任したのは海のない街。しかし、「この川はリオの海に続いている!」と、月に1回、河原の清掃を始めたのです。 

 ブラジルは貧富の格差が大きい国。裕福な家庭にはお手伝いさんがいて掃除をしてくれますし、街の掃除は清掃員の仕事という意識。貧しい家庭では環境について考える教育も余裕もありません。

 私の3人の子どもはブラジルの現地校に通っていますが、ブラジル人の子どもたちは鉛筆の削りカスをそのまま床に払い落します。おやつに持ってきたお菓子の袋も、ポイっです。

 日本の小学校って、給食のあとに掃除の時間がありますよね? 子どもの頃は面倒だとも思っていたし、男子がサボっているとイラッとしたり。でも、現在ブラジルに住んでいる私にとっては、あの掃除の時間をわが子にはぜひとも経験して欲しい。ゴミを床に落とすことに対して何も感じなくなるのはこわいことです。

 そんな国ですから、ゴミ拾いの活動に対して「意味がない」などの言葉をかける人もいます。でも「ありがとう」の言葉がずっと多いと話す竹内さん。

 ゴミ拾いは “ブラジル海さくら”という団体名で活動しています。川原のゴミを拾い始めて1年3か月。1回目は2人だった参加者は、毎月15人以上が集まるようになりました。約半数がブラジル人です。

 最近では学校から教育の一環として子どもたちにゴミ拾いを経験させたいと申し出があることがあり、数十人の子どもたちと一緒にゴミ拾いをする月もあります。市も活動に賛同してくれ、市全体に1200個のゴミ箱が新たに設置されました。じつは、そのうち約120個は設置後1週間で盗まれてしまったというのも、ブラジルらしいところなのですが。

 ともあれ、日本人がゴミを拾い続ける姿は、街の人の心に少しずつ響いているように感じます。「ゴミはゴミ箱へ」なんていう標語よりずっと。

(文/小宮華寿子 写真/André Domingues他)

            

Akimamaブラジル特派員
小宮華寿子

ブラジル在住のフリーランスライター。Akimamaのメンバーとは昔からの浅からぬ縁で、ブラジルからホットは話題を伝えてくれる心強い味方に。リオデジャネイロ州のレゼンデという街に暮らしている。育ち盛りの男児2人、女児1人の母。ワールドカップで沸く、ブラジルのいまをAkimama目線でレポートしてくれます! web版『地球の歩き方』でも活躍中。詳しくはコチラ

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