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野外料理に活かせるか? バリ島で料理教室に参加してみた

(2016.12.05)

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 バカのひとつ覚えで、毎年のようにバリ島を訪れている。回を重ねること今回で12回目になる。
 のんびり息抜きするのと波乗りが主な目的なのだが、滞在中には毎回ひとつアウトドアアクティビティを体験するようにしている。これまで渓谷でのラフティングや里山トレッキング、本格的な登山などを体験してきた。バリにはマリン以外でもバラエティに富んだアウトドアのアクティビティがあるのだ。そして今回は、アクティビティとはいえないが、自分の野外料理のレパートリーに加えられないかと思い、バリ伝統料理の料理教室に参加してみたのだ。

 インドネシアやマレーシアの代表的な料理というとナシゴレン(焼きめし)やミーゴレン(焼きそば)がポピュラーだ。実際、私もバリに行きはじめた頃はそういうものばかり食べていた。だが通い慣れていくうちに、ナシチャンプルと呼ばれる、いろいろな惣菜をごはんに乗せてチャンプル(混ぜ混ぜ)しながら食べる料理が好きになった。厳密に言えば、独特の深い味わいを持つ惣菜類が好きになった。その独特の味わいというのがスパイスによるものであることを知った。

 私は、このスパイスを知れば、日本でもバリ料理が作れるのではないかと考えた。しかも、野外料理に使えば絶対にモテる、いや美味しくなるはずと確信していた。

 結論から先に言おう。
 料理教室に通ってみたら、日本でその味を完全再現することはかなりむずかしいということがわかったのだった。

 とはいえせっかく学んだことだ。完全再現はむずかしいとしても、何とか近づけられるかもしれない。バリのスパイスの奥深さを知れば知るほど面白い。興味のある方は、お付き合いいただきたい。

 さて、今回参加したのは、バリ在住26年というユミさんが主宰するダプールバリという料理教室。ウブド地区にある。外国人向けにはほとんどアレンジせず、バリのお母さんたちのレシピを忠実に再現した料理を紹介してくれるそうだ。

 まずは、インドネシアの中でも独特の食文化を持つバリの伝統料理の特徴や、使われるスパイスやハーブについての講座を受ける。

 ひとつずつ現物を見ながら教わるのだがその種類が実に多い。基本のスパイスには、にんにく、赤わけぎ、唐辛子、甘唐辛子、根茎類では生姜、ウコン、バンウコン、ナンキョウ、ぽんつく生姜、菖蒲根、シード類は白こしょう、黒こしょう、長こしょう、コリアンダーシード、生白ごま、ククイナッツ、丁子、ナツメグなどなど実に18種類。これまで見たこともないようなものもある。さらにハーブや調味料に至っては、サラムの葉、レモングラス、コブみかん、レモンバジル、ニオイアダン、タマリンド、ヤシ砂糖、そしてスローと呼ばれるオキアミの塩辛など日本では入手できないものも多数だ。スローは魚醤のような香りと旨味を持った調味料で、これが入ることで味が決まるといっても過言ではないらしい。これは地元のスーパーで瓶詰めのものが売っていたのですでに購入した。

 これらそれぞれの匂いを嗅いでみたり、嚙ったり舐めたりして味見をすると、バリの惣菜の味わいの中にそれらがしっかりと存在していることを再認識できる。

 また、これらスパイスには滋養強壮、整腸や殺菌作用など薬効のあるものがある。健康面以外でも、食材を常温で保存するための知恵なのだろう。東南アジアの料理を食べてお腹をこわすケースがあるとよく言われるが、私はスパイシーなバリ料理を好んで食べるようになってから、一度もお腹を壊していない。おそらくこれらの薬効スパイスによるものなのかもしれない。(※個人差があります)

 最初に取り掛かったのは、バソ・グデという基本のスパイスペーストづくりだ。
 上記に挙げたスパイス類をシード類、根茎類、球根類、辛子類の順に石臼ですりつぶし、ペースト状にしていく。最後に、塩、オイル、スローを混ぜ合わせていく。このスパイスペーストがほとんどの料理に使われる。

 もうひとつ、バリ料理だけでなくインドネシア料理に欠かせないのがサンバルと呼ばれる、辛い調味料がある。にんにく、赤わけぎ、唐辛子のスライスを混ぜ合わせ、レモングラスやトマトなどでアレンジする。火を通して作るものや、生のままのもの(サンバル・マター)などがあり、料理に和えたり、辛味を加える時に使うのだ。

 ここまでの準備だけでも相当な手間がかかることがご想像いただけるだろう。バリのお母さんたちは、朝からこれらのスパイスを手作りしているそうだ。そして手間がかかる分、朝のうちに1日分の調理をしてしまい、夜まで保存しながら食べるらしい。

 今回教わった料理のレシピをここに掲載することはできないので、作った5品を写真で紹介しよう。

「グランガッサム」というチキンとバナナの茎を使ったスープカレーのようなもの。しっかり煮込んであるのでチキンもホロホロに柔らかくなっている。

「ベー・シアップ・ムシシット」という細くさいた鶏むね肉にサンバル・トマトを和えたもの。ごはんがすすむ。

「サテ・リリッ」はつくね風串焼き。ココナッツが入っていて、サクフワ。

「ジュクッ・ブアカチャン・ムカラス」は長いんげんのスパイシーココナッツソース和え。長いんげんはバリ惣菜の定番だ。

「チュミ・ゴレン」イカ唐揚げのサンバルマター和え。これが絶品!!! 絶対再現したい。
 
 以上5品をごはん(ナシ・プティ)に混ぜ合わせて食べる。いずれも美味しく、しかも本格的な味付けで完成した。

 アットホームで楽しい料理教室だった。もしバリに行く予定があってバリ料理に興味がある方は、ぜひダプールバリをチェックしてみてはいかがだろう。

dapur BALI スタジオ
Jl. Nyuh Kuning. Ubud

 これらを日本で完璧に再現することは難しいとしても、東南アジアの食材を扱うスーパーなどでできる限り食材を集めたり、代用できそうな食材を調べれば、近い味は作れそうな気がする。特に煮物や焼き物などは、アウトドアにも相性がよさそうだ。ミックススパイスのペーストは事前に作っておけるし、保存もきくから、使う分だけ持っていけばいい。

 いずれ近いうちに、キャンプやバーベキューで実践してみたい。誰も作ったことのない美味しい野外料理ができそうだ。

 
 
ライター
渡辺信吾

アウトドア系野良ライター。デザイナー、Webディレクター、コーディネーターとしても活動中。波乗り、雪乗りで一年中真っ黒。 ホームページ「NORA」

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