line_box_head

篠遠博士追悼シンポジウム開催。人はなぜ海を渡るのか? 海洋考古学の挑戦と冒険

(2018.10.12)

カルチャーのTOP

icon

 地球の表面積の3分の1にもなる太平洋。人は、なぜ、いつ、どのようにしてこの広大な大海原を渡って島じまに移り住んだのでしょうか。 

 この人類史上最後の民族移動の解明に生涯をかけて取り組んだひとりのパイオニアが、昨年ハワイのホノルルで、93年の長い生涯を閉じられました。ハワイビショップ博物館に籍を置き、50年以上にもわたり、ポリネシアを中心とする人類史の謎に挑んだ日本人考古学者、篠遠喜彦博士です。
 日本に生まれた篠遠博士は、みずからも海を渡りハワイで学び、彼の地に暮らしながら、研究と発掘を続けました。そして、タヒチ、マルケサス諸島などへと渡り、次々に大発見を行ない、楽園ポリネシアの人びとに、埋もれていた過去を贈り届けたのです。
 そこで、博士の1周忌に際し、博士から大きな学恩を受けた日本の研究者たちが、博士の人生や切り開いた仕事、それを受け継いだ仕事、そして、未来へとつなぐべき精神を語り合うシンポジウム「楽園考古学を超えて」が、11月3日、東京海洋大学越中島キャンパスで開催されます。
 篠遠博士は、土器が出土しないハワイ諸島で、出土した釣りばりを資料に、文化編年が可能なのではないかと着想し、その方法論の研究を進めました。その後、調査範囲をタヒチ、マルケサス諸島、トゥアモツ諸島など、東ポリネシア全域に拡大していき、そして、ポリネシアに、いつ、どのような経路で人類が移住したのかを世界で初めて提示しました。
 また、1975年にはアメリカ建国200年を記念し、ハワイで企画された実験航海プロジェクトの学術顧問に就任。このとき復元された遠洋航海型双胴カヌー「ホクレア号」は、ミクロネシアのサタワル島人の助けを借りながら、ハワイからタヒチの約3000kmの航海を、夜空の星で方位を知るなどの伝統的な航海術で成功させました。そして、1978年にはタヒチのフアヒネ島で水没遺跡を発見。ポリネシアで初めて古代の遠洋航海型双胴カヌーの多くの部品を掘り出しました。1987年、ハワイからアオテアロア(ニュージーランド)までを往復し、ハワイに帰還したホクレアを迎える人々。©️Honolulu Star-Advertiser

 会場となる海洋大学越中島会館は、2007年夏に伝統的古代航海術を用い、ハワイから日本への航海に成功したカヌー「ホクレア号」の「日本航海記念シンポジウム」を開催、篠遠博士も来日し、講演した場所でもあります。
 島の人びとから深い敬愛を受けた篠遠喜彦博士。そんな日本人がいたことを胸に刻み、南太平洋の探検、冒険、そして学問へと思いを馳せてみてはいかがでしょう。

 海洋考古学は、発掘調査だけではありません。わずかな手がかりから古代の船を再現し、実際に冒険航海に出ます。また、土中に埋もれた神殿を築き直し、遠い過去と現代の人々を繋げようとします。考古学の領域は広く、そこで活躍するのは学者だけではありません。

 楽園考古学の世界へ----。人類史の謎を解くのはあなたかもしれません。

【篠遠喜彦博士追悼事業 実行委員会代表 後藤 明】
(写真協力=飯田裕子/ビショップ博物館)

 
篠遠喜彦博士追悼シンポジウム
楽園考古学を越えて
南太平洋ー考古学の挑戦と冒険

日時  2018年11月3日(土・祝)
    10:00〜17:00(開場9:30)
会場  国立大学法人 東京海洋大学 越中島会館 講堂
定員  400名(定員になり次第締め切らせていただきます)
参加費 無料(事前申込不要)
主催  篠遠喜彦博士追悼事業実行委員会

当日のプログラムなど詳細はこちら
●問い合わせ 090-3249-7813(藍野裕之) h.aino@icloud.com

 
 
ライター
Akimama編集部
line_box_foot