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これからのレイヤリングが変わる! ザ・ノース・フェイスが、画期的な防水浸透素材「FUTURELIGHT」を発表!

(2019.02.18)

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 行動中のレイヤリングは、誰もが気を使うところ。蒸れを嫌って、行動中に脱いだり着たりする回数はできるだけ少ないほうがいい。できれば、着たままでいたいもの。

 ザ・ノース・フェイスが、2019年1月8日に米国ラスベガスで開催されたテクノロジー展「CES」にて、そんな悩みを解消してくる新素材「フューチャーライト(FUTURELIGHT)」を発表しました。

「フューチャーライト」は「ザ・ノース・フェイス」のグローバルアスリートチームの要望で開発プロジェクトがスタート。米国と日本(ゴールドウイン)が共同開発。素材開発は、米国がリードし、日本はガーメント(衣服)のフィット感、パターンなどをおもに担当したそうです。
 
◾️先駆的なテクノロジー「ナノスピニング」
 この新素材は「ナノスピニング」という技術でつくられる、通気性に優れたフィルムを「サステナブルな手法」で開発しています。「ナノスピニング」とは、ポリウレタン繊維をミクロ単位で何層にも吹き重ねシート状にします。
 
ナノスピニング技術のイメージ解説。細いポリウレタン繊維を何層にも吹き重ねてシート状にしていく。出展:THE NORTH FACE / ナノスピニング製法で製作されたメンブレンの拡大写真
 ナノレベル(10億分の1)の無数の穴が空いた網のような構造のメンブレン(生地に貼り付けるフィルム状のもの)は、透湿性 (蒸気=汗を発散させる力)よりも、通気性(空気を通す力)に長けています。

 また、独自のボンデング技術で製作されるこの新素材は、防水性を保持しながら、いままでの防水素材の約20倍の通気性をもたせ、衣服内の排熱を可能にしたそうです。生地の中のメンブレンが薄くて軽いので、とてもしなやか。体の動きにフィットして、衣類が擦れる音も軽減されています。

「フューチャーライト」は、高い防水浸透性を求める、ザ・ノース・フェイスのグローバルアスリートチームの要望によって生まれました。行動中のレイヤリングでは、気温や体温の変化をジャケットやミッドレイヤーの着脱で体温や発汗の調整をしてきました。しかし、この通気性に長けた新素材のジャケットを着用することにより、着脱をできるだけしないレイヤリングができることをめざしたのです。
 
出展:THE NORTH FACE / 通気性テストの様子。 比較実験。生地の下から大量の空気を当てている。右が「フューチャーライト」結果は、ご覧の通り。
◾️厳しい条件での防水テストをクリア
 さらに防水性は、安全性認証における世界的な第三者機関であるUL(アンダーライターズ・ラボラトリー)でテストをし、素材の限界まで向上させました。ULは、おもにNFPA(全米防火協会)の防水試験を担っている機関で、消防隊、救急医療、危険物処理などの現場のウェアやギアの試験を担当しています。一般的なアウトドア業界の評価テストよりも50%も高い水準で行なっているそうです。

 ULは、NFPAのときよりもさらに厳しい条件で防水テストを行ったそうです。その結果をULのマイケル・シーワードさんは「フューチャーライト」は、単に防水性に優れているだけでなく、アウトドアシーンに求められる非常に過酷な状況に適しているでしょう」とコメントしています。

出展:THE NORTH FACE / UL(アンダーライターズ・ラボラトリー)での防水テストの様子。
◾️アスリートチームによるフィールドテスト
「フューチャーライト」は、ザ・ノース・フェイスのグローバルアスリートチームによって、世界の最高峰や極限の地域で大規模なフィールドテストが2年間、継続的に行なわれました。

 テストの中で特筆すべきは、2018年、ザ・ノース・フェイスチームのジム・モリソンが行なった、エベレスト、チョ・オーユー、ローツェといった8,000メートル峰3座の登頂とスキー滑走です。2018年9月30日午後2時22分、ジム・モリソンとヒラリー・ネルソンは「フューチャーライト」のテスト着用をしながら、世界で4番目に高いローツェ山に登頂。山頂から、約2,100mのスキー滑走を世界初成功させました。

出展:THE NORTH FACE / ヒラリー・ネルソン
◾️テクノロジーの可能性
 さらに、ナノスピニング技術は、アスリートやユーザーのアクティビティーや環境に応じて、厚さ、ストレッチ性、透湿性、耐久性、生地のテクスチャ(質感)を調整、適正化させることを可能にします。

 たとえば、ヨガなど有酸素運動系のアクティビティには、浸透性の高い生地を設計したり、耐久性を高めることで、アスリートチームテストを行なったような過酷な環境に耐えうる生地をデザインすることができます。

 このように、アパレル、エクイップメント(テントなど)、アクセサリー(帽子や手袋など)の生地の構造をそれぞれに合わせて設計できる、画期的な技術です。今後は、Tシャツやスウェット、あるいは、ジーズンなどにと可能性は広がっていきます。
 
◾️新しい環境負荷基準に沿った生産
 またこの生地の製造において、環境負荷をできるだけ軽減したいというミッションを実現しました。これは、現在のアパレル業界全体が取り組んでいる問題です。

・3層構造ウェアの生地は、表地・裏地:100%リサイクルのポリエステルを採用
・フィルム自体、有害物質が少ない。
・生地を張り合わせる糊の量を軽減している。
・はっ水加工は、通常使用されるフッ素を使わない加工を行なっている。
・プラズマ処理を施し、染色や撥水加工のエネルギーを従来から約40%カット。

 太陽光発電で稼働する工場で生産するなど、製造工程においても、これらのサステイナブルなシステムを構築しています。
 
◾️発売は、2019年秋冬から!
 ザ・ノース・フェイスでは、この素材を使用したウェアは、コアシリーズと定義する「サミットシリーズ」、トレイルランニングに特化した「フライトシリーズ」、スキーに特化した「スティープシリーズ」のアイテムに、2019年秋冬コレクションから採用していくそうです。

 ハイパフォーマンス(高性能)で、サステイナブル(持続可能な発展)、両方のスタンダードを確立していきたいという。すばらしい新素材と製品の誕生に、今後の展開を期待したいです!

ザ・ノース・フェイス: 公式サイト

 
 
ライター
北村 哲

登山、スノーボード、キャンプ、フェス、旅好きのフリーライター。プランナー/ディレクターとして、アウトドアやスポーツ関連のカタログ、映像、イベント、アーティストコラボ商品などの企画制作も行う。富士山好きで、吉田口の歴史や登山道に詳しい。

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