- 道具
アウトドアウェアをアフターサービスで選ぶなら……
2014.10.15 Wed
※東京・水道橋の老舗山専「さかいやスポーツ」の高橋典孝さんからの寄稿第二弾。売り場に立ってウン十年の道具目利きが、今回は「アフターサービス」について教えてくれました。
季節がら、夏山で使ったもののケアや、秋山・冬山の準備など、最近、お客さまからのアウトドアウェアの修理依頼が増えてきました。
私はちょっとした補修は自分で行ないますが、一般の方には防水透湿素材のウェアなどは修理しづらいですよね。昨今のアウトドアウェアは高価なものも多いし、出来ることならお金をかけてもしっかりと修理したいと考えるのはよく理解できます。
「愛着もあるし、奮発もしたお気に入りのウェア。ここはいっちょ、シーズン後(あるいは前)に修理しておくか!」
と、みなさまウェアを持ち込まれるのですが、ここでひとつ問題が。
それはブランドによって修理期間や修理費、そして仕上りが様々だということ。仕上がりうんぬんの前に、ブランドによっては一切のアフターサービスを受け付けていない、なんてところも……。
そんなわけで今回は、アフターサービス、なかでも修理の仕上りとコストパフォーマンスが良いと思うブランドを(かなり私観で)とりあげ、勝手に賞を差し上げてみました(笑)。製品購入の際の参考になれば幸いです。
ちなみに、修理価格は部位や状況によって全く異なるため、あくまでもざっくり高めか安めかの判断です。メーカーのみなさま、これはあくまで個人的なかたよった私観なので怒らないでくださいね!
パタゴニア プロダクト愛がすごいで賞
日本支社近くに専門の修理工場をもつパタゴニア。アメリカ企画の製品ながら、日本の繊細な技をもった職人が直します。メーカーカタログに記載されているとおり、お客様から修理工への直接の相談も聞いてもらえます。ユーザーにパタゴニア製品を長く使ってもらいたいという愛がびしびし伝わってくる対応です。
一般には、メーカーは修理品は基本的にもとの状態に近づけることを最優先とするため、修理する箇所のさらなる補強(改造?)をあまり受け付けていないのですが、パタゴニアは出来る限り相談にのってくれる気が……。期間はまちまち、修理が集中する時期には3~4ヶ月待ち! なんてこともあります。でも大抵は1ヶ月くらいで出来るかな? 価格は比較的安め、というか愛ある良心価格です。
モンベル 修理のすべてにおいて、おみごとで賞
大阪の本社内に専用の修理工“R3”を持つモンベル。修理の仕上りはさすがのクオリティ、価格もとてもリーズナブル。期間も受付から1ヶ月以内に仕上がることが多い気がすします。さすが日本ナンバー1アウトドアブランド。おみごとです!
ザ・ノース・フェイス 仕上りは超一級品で賞
日本国内では大手スポーツメーカーのゴールドウィンが展開する、ザ・ノース・フェイス。こちらも国内の自社専門修理工での繊細な修理はさすがの一言。修理上がりの商品がメーカーからお店に送られてきた際に、スタッフがどこを修理したのかわからない、なんてこともあるくらい逸秀な仕事っぷり! さすがの安心感。修理費用はクオリティに比例して、そこそこ、でしょうか。修理期間はおおむね1ヶ月くらいで安定している気がします。
ファイントラック アウトドアズマン育成を担っているで賞
最近すごい勢いでファンを増やし続ける日本ブランド。こちらも自社での修理となるのですが、ちょっと変わっているのがパンツのかぎ裂きなど比較的簡単な修理の対応。送られてくるのはなんと……パッチ?
そうです、愛着がある物は自分で直しましょうというコンセプトなのです。メーカーの手抜きか? なんて思うことなかれ。要望があればしっかりと、有償にてさらに手の込んだ修理をしてもらえます。でも自分で何とかしようと頑張るユーザーには自分の力で修理が出来るように手を差し伸べてくれます(しかも実質無償!!)。まさにアウトドアズマンの育成を修理というかたちで担う、すばらしい精神! やっぱりフィールドで遊びたおしてものづくりをしている精鋭たちはすごいな、なんて感心してしまいます。
いかがでしょうか。
今回は特にサービスのよい4ブランドに勝手に賞を差し上げましたが、上記以外にもしっかりとアフターサービスを行なうブランドは多くあります。
ウェアを購入する際、長く着たい、あるいはハードな使い方を想定しているのであれば、専門店でそっとご相談してみてください。カタログには書かれていない、「アフターサービス」という性能についても教えてもらえるかもしれませんよ!
写真・文=高橋典孝 構成=藤原祥弘