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登山ガイド・菅野由起子「道具選びで大切なのは使いやすさ。ストレスがない道具だけが手元に残る」

(2015.06.05)

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菅野由紀子

ガイド仲間やお客さんからは「カンスケ」の愛称で親しまれる。夏から秋の高山、積雪期は森林限界を超えないエリアでスノーシューなどのツアーを催行する。山好きが高じて妙高山のふもとに移り住み、仕事にプライベートに山づけの毎日を送っている

菅野由紀子

食べられるものを探して近所の低山を徘徊中。「技術的なことだけなく、地域の食べ物などの情報もお客さんに伝えていきたい」

菅野由紀子

プライベートでは岩登りも楽しむ。「普段のツアーでは行いませんが、個人としてのスキルを高めるためにも、プライベートではよりハードな山登りも楽しんでいます」

菅野由紀子

ツアー時の荷物の一例。「いざという時、お客さんのサポートをするための道具は必携。ときにはバテた人の荷物を受け持つこともあるので、身近な山へのツアーでも、50ℓクラスを背負っていきます」

J53

「J53は開口部の数が多く、また大きく開くので重宝しています。内容物の整理がしやすく、アクセスもしやすいのはうれしいですね」

「山が仕事場ですが、プライベートでも
時間ができればやっぱり山に行ってしまいます」
とは、登山ガイドの菅野由紀子さん。
細やかかつ飾り気のない人柄で人気を集める
新進女性ガイドに、山の魅力を聞く。
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落石、嵐、流星群。盛りだくさんの初めての山

「登山を始めたきっかけは、大学時代のワーンダーフォーゲル部の募集。シュラフに入って眠っているイメージの勧誘ポスターに魅かれたんです。ところが部を訪ねてみると、現役が2人しかいないところに新入生が殺到したものだから、募集したほうが怖気付いて結局受け入れてもらえませんでした。そんなところに友人から社会人山岳会を紹介され、山へ通うになったんです」

「初めての山は、山岳会の定例合宿で向かった剱岳でした。1週間に及ぶ長い山行だったのですが、毎日いろんなことが起きました。落石があったり、嵐に飛ばされそうなテントを抑え続けたり、別の晩にはテントから顔を出して流星群を見たり。この旅のインパクトは相当なものでした。この時の登山が穏やかなものだったら、もしかしたら山にはまらなかったかもしれません」

老舗山岳系出版社を経て、登山ガイドへ

「学生時代は山岳会の定例山行や、気の会う仲間と山に通い続けました。就職の段になったときも、会社選びの指針は『山にたくさん行けるかどうか』(笑)。そんな折にたまたま登山雑誌で社員を募集しているを見つけ、就職することになりました。配属されたのは直接山とは関係ない経理部でしたが、土日はしっかり休めたので山には通い続けられました。大きなザックで会社に行ってもよいのには助けられましたね」

「その後、雑誌の編集部へと移動になったのですが、そこで登山ガイドの試験を取材する機会がありました。そこではじめて、登山ガイドの仕事を意識し、魅力的に思いました。試験に受かるには体力的に余裕があるうちでないと難しい。当時の私は30歳前後。急いで勉強をして、登山ガイドへと転向しました」

安全を確保しながら、山を楽しんでもらう

「個人事務所で何年か修行を積んで、今はツアーのガイドと個人でのガイドを並行して行なっています。どちらのツアーでも心がけているのは安全の確保と、お客さんにリラックスして楽しんでもらうこと。人の命を預かる仕事ですから、下調べや下見、天候についての情報収集は念入りに行なっています。また、初心者は体力と集中力が切れる下山中に事故を起こしがちなので、個人でガイドするときは下山のルートが楽なコースを選ぶように心がけています」

「好きな山域はすまいのある妙高山周辺や八ヶ岳。通い続けていると、技術的な話だけでなく、季節に合わせて移ろう自然の話を盛り込むこともできます。ツアー中の食事にも地元の山菜や食材を加えて、舌でも地域の自然を楽しんでもらえるようにしています」

プライベートでも山へ

「ガイド中はお客さんのペースやレベルに合わせて歩くので、体への負荷が小さい。スキルアップと体力向上を兼ねて、プライベートでも山に入っています。好きなスタイルは沢登り。大きな沢を詰めて稜線に出て、頂上を踏む。そんな山行が好きですね。道がない場所からルートを見つけ出し、いいテン場があればタープをかけて焚き火をして眠る。沢には自由があると思います」

「海外ではネパールのランタン谷周辺に通っていました。今、先の地震で大変なことになっていますが……。ネパールは山のスケールの大きさも魅力ですが、キャラバンを組んで、地元の人と触れ合いながら旅をするのが好きでした。ヨーロッパの登山にはない、こんな交流にも魅力を感じています」

使いやすい道具だけが残る

「登山の道具は気に入ったものを使い続けています。特定のメーカーが贔屓ということもありません。道具選びの指針を敢えて言えば、『使っていてストレスがないもの』となるでしょうか。使い勝手が悪いもの使わなくなるので、手元には使いやすいものだけが残っていますね」

「山行にもよりますが、お客さんが30ℓ程度のザックで済む時は、私は50ℓ前後のものを使っています。救急用品やロープ、ツェルトなどを入れようと思うと、これくらいの容量になります。現在使っているのはグレゴリーのJ53。大きなスペースのある背面システムのおかげで背中が蒸れず、また、ベルト類も通気性が高いので快適です。そして、重宝しているのが内容物へのアクセスのよさ。ジッパーが各所に配され、必要な道具にすぐにアクセスできます。救急用品やロープなどは普段は使わない道具ですが、必要になれば、すぐに取り出せなくてはいけないもの。ガイドとして、いざという時に使いやすいのは心強いですね」

Plofile
菅野由起子(かんのゆきこ)
「山登りを安全に楽しんでもらいたい」をモットーに、四季折々の山の魅力を盛り込んだツアーを企画・運営する。資格/公益社団法人日本山岳ガイド協会認定・登山ガイドステージⅡ、スキーガイドステージⅠ、日本旅行業協会・総合旅程管理主任者、Wilderness First Aid(SlipStream)50時間コースなど。個人ガイドの申し込みは下記ブログから。

カンスケやま日記
  

GREGORY
J53
¥24,500+税

容量:55ℓ
重量:1.44Kg
トルソ:46〜51㎝
(上記スペックはMサイズ)

 
 
ライター
藤原祥弘

採集系野外活動を中心に執筆とワークショップを展開。著書に『海遊び入門』(小学館・共著)ほか。好きな獲物はカンパチとノコギリガザミ。twitterアカウントは@_fomalhaut

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