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どれを買えばいいの? 縦走・雪壁・バックカントリー、用途別にオススメのピッケルを紹介!

(2019.02.12)

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 最近、山友からピッケルの相談を受けることが多くなってきた。長さのはやり廃りや、用途が細分化されるのに合わせ、ピッケル自体も多様な種類が販売されており、いざ購入しようとするとなにを買っていいのかが分からないのだろう。

 これがいちばん! というのはむずかしいが、こんなシチュエーションにはこれがよい、というオススメがあるので紹介していこうと思う。

◆滑落の危険がある緩傾斜や縦走メインの雪山登山

 アイゼンをはいていても緩傾斜を歩くだけならストックを持つのがいちばん歩きやすい。では、どんなときにピッケルを持つのか。それは「滑落の危険がある場所を通過する場合」だろう。山でたとえると、八ヶ岳にある硫黄岳などだろうか。なだらかで道幅も広いが、風が強いためなにかの拍子で滑落してしまう可能性がある。そのような場所ではピッケルは必携だ。このようなシチュエーションでは、基本的にストックのように突いてバランスを取りながら歩くため、長め(身長−100㎝くらい)のストレートシャフトが使いやすい。高い耐久性は必要としないのでB(ベーシック)規格のピッケルで充分。

八ヶ岳にある、赤岩ノ頭から硫黄岳へ向かう稜線。緩傾斜だが、風が強いことが多く、滑落の危険がある。

◆急登・岩場・雪壁などを含む雪山登山

 経験を積んでいくと、そのうち傾斜の強い山へ登るようになってくる。急登や斜度のキツイ雪壁では、ピックを刺しながら登る場面が出てくるし、急登でストックのように使いやすいか、岩場の登り下りでジャマにならないか、が重要になるため、短め(身長−110〜120㎝くらい)で、ベント(カーブ)したものが便利である。さらに、ピッケルを支点にロープを使うなどで耐久性が高いものが必要そうなら、T(テクニカル)規格のピッケルを選ぶとよいだろう。

(左)西穂高岳にある独標の登り。ピッケルを短く持って(ダガーポジション)、刃(ピック)を刺しながら登る。(右)奥穂高岳へ向かう途中にある雪壁。かなりの斜度だ。

◆バックカントリー

 バックカントリーではスキーでもスノーボードでも、基本的にハイクアップするときにはストックを使うので、ピッケルは滑落危険箇所でしか使用しない。使用頻度が低いし、ストックのように使うこともないので、とにかく短く、軽いものがオススメだ! 森林限界以上までハイクアップして雄大な景色のなかを滑りたい!! なんて人はぜひご用意を。

スキーでもスノーボードでも、締まった雪で滑落の危険がある場所にはピッケルを持って行く。

 3つのシチュエーションでのオススメを紹介したが、絶対にこのピッケルでなきゃ登れない! という訳ではない。縦走で軽さを求めたければ、短く軽量なものにするなど、自分がいちばん重きを置くポイントに合うピッケルを選ぶといいだろう。
 


 

 ここからは少し番外編。いままで紹介したピッケルから、さらに難易度の高いルートを歩くために必要な「アックス」をご紹介。

◆冬季アルパインルート

 無雪期にアルパインクライミングを楽しんでいる人は、冬季アルパインのルートも気になるはず。そのようなルートでは、手も使わなければ登れないほどの急登や、岩登り、さらには凍っている場所なんかも出てきたりするので、さまざまなシチュエーションに対応できる「アックス」が便利だ。ハンドルが付いていてアイスクライミングができ、石突き(スピッツェ)や、ハンマーも付いているものがいい。このタイプだと縦走でも使用できるので、ピッケルとして使うのもあり。

岩や雪壁がミックスされたアルパインルート。どんな場面にも対応できるアックスが必要となる。

◆アイスクライミング

 もうここまでくるとピッケルとは用途が変わってきてしまう。アイスクライミングでは少ない力で握り込める独特な形状のハンドルと、深いカーブをしたアックスがよい。必ず1対2本必要で高い買い物となってしまうが、一度、氷を登れば、たちまち虜になってしまうことだろう。

蔵王・仙人沢でのアイスクライミング。垂直に立ったバーチカルな氷瀑をアックスとアイゼンで登る。



各シチュエーションでのオススメモデル

【左上】ストレートシャフト:ブラックダイヤモンドの「レイブン」。サイズ展開が55㎝〜80㎝まで5㎝刻みで豊富にあり、価格も手頃で初心者にオススメの一本。
【左中】ベントシャフト:グリベルの「エアーテックエボリューション」。T規格のシャフトを使用しており、耐久性が高く、ロープを使うような山行にも向いている。※画像は旧モデル
【左下】バックカントリー:CAMPの「コルサナノテク」。50㎝で重量約246gと驚異の軽さ。縦走時の軽量化にもよい。
【右上】アルパインルート:ペツルの「クォーク」。ほどよいカーブ、重量、そしてハンドル形状により縦走からアイスクライミングまでオールラウンドにこなせる。※画像は旧モデル
【右下】アイスクライミング:ペツルの「ノミック」。重量バランスがよく、男女ともに使いやすい。最新モデルでは石突きも付いており、歩きでの使用もしやすくなっている。※画像は旧モデル

 
 
ライター
河津 慶祐

高山縦走からクライミング・沢登り・トレラン・バックカントリーと一年中オールラウンドに山を楽しむ。山道具好きが高じてライター・編集者に。典型的な器用貧乏で、やりたい事が多過ぎ、広く浅くになってしまっているのが悩み……。ブログは「Mountain Gear Laboratory

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