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【やってみよう】マッチ1本でも一発着火! 焚き火のキホン -着火編-

2015.12.12 Sat

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

 先日、キャンプに行ってきました。冬キャンプの楽しみと言えば、やっぱり焚き火でしょう。「あったまるわ~」とか「離れられないね」なんていいながら焚き火を囲む。寒いから余計に火が恋しくなるんでしょうね。でもキャンプ場を眺めると、最初の着火に手間取ってる方も多いようです。ということで今回は焚き火の「着火」についておさらいしましょう。

 ちゃんと覚えれば、着火剤やガスバーナーなんつう無粋(?)なものを使わず、マッチ一本、ライター一発で着火できます。ちなみに我々、フェスやイベントなどで背丈以上もあるキャンプファイヤーを組んだりしてますが、灯油もバーナーも使わず小さな火種のみで着火してます(ドヤさ、ドヤさ)。さぁ、粋な着火を身につけて、みんなにドヤ顔してやりましょう。

焚き火着火の成否は段取り次第だ!

 キャンプ場で売ってる薪にライターの火をそのまま近づけてもまず燃えてくれません。まずは、手斧や鉈で薪を小割りにして燃えやすい材を作りましょう。便宜上、以下のように目安を設定してみました。

 零番:松や杉の枯れ葉(乾いたもの) 二つまみぐらい
 一番:ナイフや鉈で削って作る極細のもの 10本ぐらい
 二番:割り箸ぐらいの太さと長さのもの 8~10本
 三番:小指ぐらいの太さの薪 5、6本
 四番:親指ぐらいの太さの薪 4、5本
 五番:四番の2、3倍の太さの薪 4、5本

 薪の材質(針葉樹、広葉樹)や乾燥具合、気候(湿度や風)などによって、それぞれの本数を加減したり、零番や途中を省略したりと調整します。

この時は、火持ちのいいサクラの薪だったので、零番は省略、二番を多めにしてみました

一番確実なのはティーピー型

 小割にした薪は、細い方から順番にティーピー型に組んで行きます。ティーピー型といっても何の支えもなしには薪は立たないので、後ろに太めの薪を置いて立て掛けるようにして縦長の三角形に組んでいきます。炎は下から上へ燃えていきますので、着火の際はこの形が一番確実です。もし焚き付けになる零番がたくさんある場合や、着火剤を使う場合は、上にこんもり被せるようにしてもOKです。

火は下から上へと燃えるので、こういう形に組んでいくと小さな火種でも消えにくいのです


着火の際は無風状態で

 前述のように薪を組めたら段取りはばっちりです。あとは小さな火種でも確実に着火できます。マッチ一本でもいいですし、極細の薪(一番)にライターで着火したものでもいいので、そっと組んだ薪の中心下部に火を移します。そうすると、あとは何もしないでも、細い薪からじんわりと炎が燃え移ってくれます。個人的には、この瞬間が焚き火の工程で一番好きかも。
 ここで注意すべきは、着火する場所に風が当たらないようにすることです。もし風があるときは風下側から火を着けるか、太い薪で周りを釜戸型に囲んで風防を作ってやるとよいでしょう。小さな炎が少しずつ成長する様を静かに見守ってください。

組んだ薪の中心下部に火を移します。着火用の材は極細で長い棒状のものが扱いやすいです。火がついた棒はできるだけ縦に差し込むのがコツ

風が当たると小さな炎はすぐに消えてしまいますので、着火の段階は無風状態にしておきましょう。炎が一番細い薪から徐々に燃え移っていくこの瞬間が快感

追い薪を用意しておこう

 うまく着火できても、太い薪に燃え移る前に細い薪が燃え尽きてしまうこともあります。小割にした薪の三番、四番あたりは少し残しておいて、火の勢いが弱くなりそうなときに追い薪してやるとよいでしょう。

追い薪は炎のが当たりやすい位置に置いてあげます。追い薪の太さは火の勢いを見ながら。炎と対話しながら焚き火を育てましょう

煙突効果を活用する

 薪の組み方をティーピー型にすると、煙突効果で勢いよく燃焼します。組んだ薪の中心部分の温度が上がれば上昇気流とともに炎がまっすぐ立ち昇り、それに伴い下の方から酸素を取り込もうとする気流も発生します。これが煙突効果。
 ただし燃えすぎてしまうきらいもあるので、ある程度火が安定してきたら、縦に組んだ薪を倒して、横に寝かせた状態に移行しましょう。これでゆっくり燃える焚き火を楽しめます。

 以上が着火の基礎です。

 着火剤やバーナーで着火するのも否定はしません。でも、マッチ棒や細い枝の先端に灯した小さな炎ひとつが、じわじわっと燃え広がっていくさまには官能的な快感すら覚えます。これぞ焚き火の醍醐味と言っても過言ではない……と個人的に思っています。もちろん、薪が湿ってたりして着火しにくいときなどは、バックアップとして着火剤を持っておくのもよいでしょう。でもあくまでもバックアップ。着火剤を使わずに育てた焚き火は、なんとも愛おしいものです。

 このやり方でも場合によっては失敗するかもしれません。基本を抑えながら、いろいろと試行錯誤してみてください。自分なりの着火スタイルを確立できたら、あたなも焚き火マスターです!

(文/写真 渡辺信吾)

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