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「決まり事」じゃないけど、知っておきたい——心おきなく四国の清流で遊ぶには
2022.07.18 Mon
大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー
四国の徳島・高知両県は清流王国。そこには泳がずにいられない澄んだ流れと、川とともに暮らす人々との出会いがある。
しかし、こちら次第では地元民とのあいだに微妙な空気が漂うことも。ローカルルールというわけではないが、まちがいを避けるポイントを紹介しよう。
仁淀川(高知県いの町のあたり)。
【禁止の看板はないけれど】
「日本最後の清流」四万十川でも「仁淀ブルー」の仁淀川でも、支流のほうがさらに澄んでいる。しかし、支流で遊ぶとなると問題は車の駐車。広い河原がある本流なら車で川辺に近づけるが、支流では迷惑にならない道路わきに駐車し、多少不便でも徒歩で川へが基本だ。
駐車場所から少し歩く覚悟があれば、こんな場所も見つけられる。
しかし、実際に現地を訪れると、「おや、車で水辺まで行けるコンクリートスロープがある!」と発見することもあるはず。でも支流のそれ、ほぼ消防車用の道です。火事のとき、消火用水を川から吸い上げるためのスロープなので、長時間駐車するのはアウト。
仁淀川の浅尾沈下橋。
長時間の駐車は、四国の川の名物「沈下橋」のたもとでも不可。沈下橋で自動車は交互通行。たもとにある車寄せは待機場所なのだ。
【河原? 通路?】
本流にある広い河原。どこでも駐車やキャンプができそうだがちょっと待て、地面をよく観察しよう。砂利に轍が見えたら、そこは軽トラのフリーウェイ。アユ漁など川に関わる地元民の道だ。車やテントでそこを塞ごうものなら、にこやかに「こんにちは、どんな魚が獲れます?」と挨拶しても、期待した反応はないだろう。
夏の四万十川の風物詩、アユの火振り漁の準備をする人たち。
【じつは私有地だったりする】
川や河原は公共のもの。だが、そこへの細道や、川辺の空き地は私有地だったりする。たいていは通行も利用も黙認されるが、よそ者がわがもの顔で騒いだりゴミを放置すれば……。私は四国の川で30年以上遊んできたが、立ち入り禁止になった例をいくつか見ている。
よい川さえあれば、あれこれとアウトドア用具を持ち込まなくてもいい。
【フィールドの広さに見合ったアウトドア用具で】
支流で川遊びに適した場所は、むかしから地元の子の遊び場。もし、そこの河原が狭いようなら、大きなタープやテントで場所を占拠するのはNGだ。子どもらが近寄りにくいような雰囲気を醸し出すのも避けたい。
地元の川ガキたちは、大きな石を抱えて川底を歩いて行った。
それでは、四国の清流でよい夏を!
(文・写真=大村嘉正)