「しまなみ海道」では唯一無二の島!? サイクリストの特権を使って小さな島へ

2022.04.19 Tue

大村嘉正

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

 島々と架橋をつなぎながら瀬戸内海を渡る「しまなみ海道」。開通以来「サイクリストの聖地」として人気だが、田舎らしさや自然を求めてペダルを踏む人は少しモヤモヤした気分になるかもしれない。
しまなみ海道の架橋の高さは水面から40~60m、まさに天空の散歩道だ。島々のあいだを行き交ういろんな船を眺めるのも楽しい。
 たとえば、「架橋からの瀬戸内海は最高だけど、隣を走る車の音と排ガスが」とか、「田舎の島だけどドラッグストアもコンビニもあるんだ」とか。そんな「なんだかな~」になりそうな1日を救ってくれるのが馬島だ。
四国側から見た馬島。かつては牧島と呼ばれ、今治藩(江戸中期)の馬の放牧地だったという。
 尾道からだと四国の寸前にあるこの島、しまなみ海道の旅人で上陸できるのは自転車か徒歩か原付バイクの人のみ。島に降りる手段がエレベーターなのだ。
馬島への入り口は、四国方面に開いている。尾道→今治方向へ自転車で飛ばしていると見落とすかもしれない。架橋と馬島をつなぐエレベーターは、自転車2台なら余裕で乗れる。
 島の面積は0.5㎢(コンンビニ約50軒分の広さ)で、車道の総延長は約2.5㎞。島民は約20人(平成27年国勢調査)、宿は1軒——となれば、馬島に忙しげなものはない。観光客を待つ気配もない。まぶしい砂浜にはささやくような潮騒。島は、アオサギの羽ばたきさえも耳に届く静けさだ。ときおり、大気に色を添えるように、イソヒヨドリの明るい声が響く。
馬島にある、昔ながらの船着き場「雁木」。干満差が大きい瀬戸内海では、港での積荷の揚げ下ろしがしやすいよう、岸壁を階段状にした。馬島の南端、馬島神社付近の磯は、干潮時に散策できる。海蝕洞もあり、ちょっとした峡谷探検だ。馬島の砂浜からのしまなみ海道。
 ここで時を告げるのは小さなフェリーぐらいだ。1日に5~6便が島の港に入り、浮桟橋に接岸する。
馬島の港。ここからフェリーで小島と来島を経由し、四国上陸も可能(愛媛県今治市の波止浜へ着く)。来島には戦国時代に活躍した来島村上水軍の城跡がある。
 昼の便ではおばあさんをひとり降ろした。島から乗り込む乗客はない。フェリーが出港し、おばあさんは小さな足どりで波止場を横切り、集落に消え、時が止まったような景色に戻っていく。眠気を誘う島の昼下がり。
馬島神社の裏手にあるウズ鼻灯台。その付近の海域は激しい潮流によって渦が巻くことも。
 馬島にあるのは素顔の瀬戸内だ。しまなみ海道で観光地ではない島を望むなら、自転車ごとエレベーターへどうぞ。
ウズ鼻灯台の下にある海蝕洞。



 

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