• 山と雪

【低山ガイド】西のよい山ひくい山 —— インスタ映えで大人気、瀬戸内海を見渡す山並み

2021.11.16 Tue

大村嘉正

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

 冬の訪れとともに、西日本の低山を歩くベストシーズンがやってきました。今回は瀬戸内海の大展望と、ちょっと変わった史跡に出会える縦走です。


稲積山(いなづみやま/404m)~志保山(しおやま/426m)縦走  
香川県観音寺市・三豊市

稲積山~志保山の縦走路からの瀬戸内海(撮影5月)。
 うどん王国・香川県でよく目にするのが、日本昔話の挿絵みたいな『おむすび型』の山。大昔に大量かつ広範囲の溶岩噴出があり、その名残りだといわれています。

 香川県の西海岸、七宝山(しっぽうさん)・稲積山(いなづみやま)・志保山(しおやま)を有する『七宝山塊』も溶岩が起源。おむすび山を従えながら、平野と海岸から忽然と、衝立のように立ち上がっています。低山らしくない高度感を味わえる山域です。
高屋神社下宮からの登山口。
 スタートは、高屋神社の下宮から。ここから稲積山の高屋神社本宮までは、神輿が往来する参道なので歩きやすい。登り始めはしばらくコンクリートの急坂で、振り返れば瀬戸内海を従える江甫草山(つくもやま/153m)の姿が秀麗です。
香川県に数多くある『おむすび型』の江甫草山(つくもやま)。画像の右中ほどに見える、江甫草山の麓の集落『室本』は、室町時代から続く麹づくりの町。
 落葉した雑木林の九十九折りを登ればまもなく、わが身を天界にさらすような石段が現れます。高所恐怖症の人はちょっと苦手かも。
荒々しい参道の石段をふり返れば燧灘の絶景が。
 観光客に人気の『天空の鳥居』が見えてきたら、稲積山頂上の高屋神社本宮。トイレがあります。しかし、この頃やたらと「天空の~」が目に付くのは気のせいでしょうか。
高屋神社本宮。鳥居の奥に見えるのは伊吹島。この島で漁獲されるイリコは料理人によく知られるブランド食材。
 高屋神社本宮からは、少しだけ車道歩きを交えながら尾根のトレイルへ。眺めのいい場所にはベンチがあります。すぐに気づくのは、このあたりの海がかなり遠浅なこと。その光景は、干拓と埋め立てによって狭くなる以前の瀬戸内海を伝えています。
稲積山の少し北の尾根にあるベンチ。
 自然林残る尾根の広場を過ぎると、まもなく七宝山トンネル上の445mピーク。その北の分岐では左へ。照葉樹の多い雑木林をぬけるとまもなく眺めのいい芝生の広場(パラグライダー発進地)に着きます。
マイナーな低山ながら、トレイルはよく整備されている。芝生の広場(パラグライダー発進地)。
 尾根をさらに北へ進み、眺めのいい志保山(426m)から下山していくと分岐が2カ所。どちらも『風穴』方面のトレイルを選びましょう。
志保山から下山しているときの眺め。塩飽・笠岡諸島の多島美が(5月撮影)。
 一般的に風穴とは風が通り抜ける洞窟のことですが、志保山の中腹にある風穴はまるで古代遺跡。地中に堆積した安山岩の隙間を通っていく冷気を、石積みの穴を造ることで地表に吹き出させています。その実態は農業遺産。大正時代、この冷気を蚕(カイコ)の夏秋飼育に利用していたそうです。
風穴。大地に穴を掘り、石垣で補強している。山側の石垣のすきまから冷気が流れ出る。
 風穴登山口まで下山したら、道路を北西方面へ約2.4㎞下って仁尾町の市街地へ。仁尾庁舎から南へ5分ほど歩いた先の『父母ヶ浜』では、遠浅の渚を染める夕日がすばらしい。
下山後は、瀬戸内海有数の夕景が待っている。


稲積山~志保山縦走DATA
■稲積山(いなづみやま/404m)~志保山(しおやま/426m)

 瀬戸内海の展望がすばらしい縦走ルート。稲積山頂上にある高屋神社本宮の鳥居や、ゴールの仁尾町市街にある「父母ヶ浜(ちちぼがはま/日本のウユニ塩湖と称される)」は、インスタ映えスポットとして人気だ。
稲積山頂上にある高屋神社本宮から三豊平野と瀬戸内海を望む。
歩行時間計 3時間15分(そのうち、登山時間は2時間45分)
高屋神社下宮(45分)高屋神社本宮/稲積山(45分)445mピーク(15分)パラグライダー発進地(10分)志保山(40分)風穴(10分)風穴登山口(30分)仁尾庁舎

山行アドバイス 該当の国土地理院2万5千分1地形図は『観音寺』と『仁尾』だが、『パラグライダー発進地~志保山~風穴~風穴登山口』間の道は記されていない。『パラグライダー発進地~志保山』間は、南北に伸びる尾根道をたどる。『志保山~風穴~風穴登山口』は、山中の道標に従えばよい。コース上のトイレは高屋神社本宮のみ。水場はなし。
アクセス 高屋神社下宮へは、JR観音寺駅から三豊市コミュニティバス仁尾線の『詫間駅行き』に乗って約8分の『高室医院』下車、徒歩約15分。高屋神社下宮には乗用車十数台分の駐車スペースあり。仁尾庁舎からは、三豊市コミュニティバス仁尾線の『三豊総合病院行き』に乗り、約14分の『室本』で下車すれば徒歩約15分で高屋神社下宮、約24分で下車すればJR観音寺駅。または同仁尾線の『詫間駅行き』に乗れば約16分でJR詫間駅。三豊市コミュニティバス 
お弁当情報  JR観音寺駅から徒歩5分の地元民御用達スーパー『トマト』では、幕の内弁当(メインがハンバーグやトンカツ)や天丼が税込398円で量も多め。

大村嘉正

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

四国の瀬戸内海暮らし。仕事は自然・旅系ライター&フォトグラファーで、生きかたはバックパッカーでリバーランナー。著書はラフティングガイドたちの1年を追った『彼らの激流』(築地書館)。

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